人と人とのつながりの妙を描く短編集

【映画レビュー】1月に見るべき「偶然と想像」

公開日:2022/01/13

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女性におすすめの最新映画情報を映画ジャーナリスト・立田敦子さんが解説。今月の1本は、“偶然”をテーマに、人と人とのつながりや人生の豊かさを描いた、3つの物語からなる短編集。第71回ベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞した作品です。

「偶然と想像」
©2021 NEOPA / fictive

「偶然と想像」

7月のカンヌ国際映画祭で脚本賞他3賞を受賞した「ドライブ・マイ・カー」が公開されたばかりの濱口竜介監督だが、その4か月前にベルリン国際映画祭で審査員グランプリを受賞した「偶然と想像」が公開となる。約3時間の長編だった前作とは打って変わって、本作は3つの独立した物語からなる“短編集”である。

第1話「魔法(よりもっと不確か)」は、タクシーの中で、親友から新しい男性との出会いについて打ち明けられるが、それが2年前に別れた元恋人だと気付く、という三角関係を描く。

第2話「扉は開けたままで」は、セックスフレンドの男友達に頼まれ、彼の復讐のために大学教授にハニートラップを仕掛けるが、メールアドレスを間違えたため、事態が思わぬ方向へと向かっていく大学生の女性を巡るドラマ。第3話「もう一度」は、20年ぶりに仙台で偶然再会した二人の女性が思い出を語り合ううちにある事実が発覚する……というドラマだ。

どの物語も“偶然”の出来事により、主人公たちは思いがけない局面に立たされる。“偶然”という言葉はロマンチックな響きを持つし、シューマンのピアノ曲は軽やかさを演出するが、主人公たちはむしろ苦い現実と向き合うことになる。偶然は必然なのか。人と人とがつながりつつ広がっていく人生の豊かさ。短いながらも鋭い洞察に満ちた切れ味のいい短編は、その先の物語も見てみたいと思わせる。


監督・脚本/濱口竜介
出演/古川琴音、中島歩、玄理、渋川清彦、森郁月、甲斐翔真、占部房子、河井青葉他
配給/Incline
12月17日(金)より、Bunkamura ル・シネマ他、全国公開

https://guzen-sozo.incline.life/

今月のもう1本「世界で一番美しい少年」

今月のもう1本「世界で一番美しい少年」
© Mantaray Film AB, Sveriges Television AB,ZDF/ARTE, Jonas Gardell Produktion, 2021

巨匠ルキノ・ヴィスコンティの名作『ベニスに死す』で初老の作曲家を惑わせる美少年タジオ役を演じ世界的なスターとなったビョルン・アンドレセン。日本でも大旋風を巻き起こし、テレビCMや日本語でのレコードデビューも果たした。あの“ベルばら”のオスカルのモデルでもあった。あれから半世紀、若くして“幸運”を掴んだはずの男はどんな人生を送っているのか。その波乱に富んだ半生に迫る衝撃のドキュメンタリー。


監督/クリスティーナ・リンドストロム、クリスティアン・ペトリ
出演/ビョルン・アンドレセン他
製作/2021年、スウェーデン
配給/ギャガ
12月17日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿シネマカリテ他、全国順次公開

https://gaga.ne.jp/most-beautiful-boy/


文・立田敦子
たつた・あつこ 映画ジャーナリスト。雑誌や新聞などで執筆する他、カンヌ、ヴェネチアなど国際映画祭の取材活動もフィールドワークとしている。映画サイト『ファンズボイス』(fansvoice.jp)のチーフコンテンツオフィサーとしても活躍中。

※この記事は2022年1月号「ハルメク」の連載「トキメクシネマ」の掲載内容を再編集しています。

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