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- 【書評】心療内科医・海原純子さんの新刊他
雑誌「ハルメク」の編集部員がおすすめする新刊情報を毎月お届けします。今月は、相手に嫌な思いをさせず自分の意見を伝えるようになる、心療内科医・海原純子さんの新刊『アサーティブコミュニケーションを学べる本など3冊をご紹介します。
海原純子著『誰でもできる!アサーティブ・トレーニング ガイドブック―みんなが笑顔になるために』
日常で自分の意見を言えない、嫌なことを断れない……そんな人に読んでほしいのが“アサーティブ”を解説したこの本。
アサーティブとは、我慢せず、相手に嫌な思いをさせず、自分の意見を伝えるコミュニケーションのこと。本書では、ランチ代を立て替えたのに、相手がそのことを忘れていたらどうする――といった例題を解きながらアサーティブを学べます。
著者の海原純子さんが特命教授を務める昭和女子大学とハルメクの共催で行っているアサーティブ講座は大人気。本書の最後には、参加者の論文も掲載されています。町内会の問題や同僚への不満をアサーティブによって見事解決した話に、胸がスカッとします。
緒方伶香著『きほんの糸紡ぎ スピンドルをくるくる回して羊毛を紡ぐ』
編み物はよくするけれど、毛糸は買うもの……そう思っている方にぜひ手に取ってほしいのがこの一冊。初めて糸紡ぎをする人へ向けて、紡ぎ方の基本から紡いだ糸で編む小物の作り方まで、丁寧に解説されています。紡ぎ方はスピンドルという長さ30㎝ほどの棒に羊毛の繊維をからませ、コマのように回すだけ。作業そのものはとてもシンプルですが、その魅力は奥深く、著者は「紡ぐ心地よさを知ると出来上がった糸は副産物と思えるほど」と語ります。本書には羊毛が糸に変化していく様子も美しい写真で紹介されていて、眺めているだけでも楽しい。冬の新たな楽しみとして、手紡ぎに挑戦してみたくなります。
ルシア・ベルリン(著)、岸本佐知子(翻訳)『掃除婦のための手引き書』
著者のルシア・ベルリンは家庭の事情で北はアラスカから南米まで、住まいを次々変えて4人の息子を育てつつ、創作活動を始めて徐々に頭角を現します。
表題の掃除婦から救急看護師、高校教師、電話交換手と職を変えながらも創作を教えるまでになり、晩年は大学の客員教授を務めました。しかし、脊柱側弯症が悪化し、肺疾患とがんで68歳の生涯を閉じます。
本書の魅力は、題材を彼女の実体験に求めながら、躍動する臨場感で読者をたちまち物語へと引き込む独創的な語り口にあります。令嬢然とした優雅な暮らしからアルコール依存に苦しむ病院生活まで、一人の女性が駆け抜けた多様な生き様を味わえる好著です。
※この記事は2019年11月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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