真矢ミキ60歳! 意外にもネガティブで落ち込む性格
2024.08.102024年08月04日
エッセイ「いつも心にケセラセラ」から赤裸々トーク
真矢ミキ!宝塚学校で 黒木瞳さんをコッソリ似顔絵
宝塚トップスターとして活躍後、映画・ドラマの世界へ飛び込んだ真矢ミキさんが、仕事や日々の暮らし、家族について、赤裸々につづったエッセイ「いつも心にケセラセラ」を出版しました。本の内容や、宝塚時代のことなど、たっぷりとお聞きしました。
瀬戸内寂聴さんとの思い出。一番好きな言葉は?
――エッセイ「いつも心にケセラセラ」には真矢さんのあらゆることが詰まっていて、読んでいてとても元気をもらえました!この本を執筆したことで、何か変化はありましたか?
真矢ミキさん(以下、真矢ミキ)
ありがとうございます! 書き終わったら、自分というものが見えた気がします。自分の性格はあまり柔軟じゃないと思っていて、それが大人になると浮き彫りになってきたんですが、この本を書くことで、これまでのことを振り返ることができて、
どこのタイミング、又は環境で柔軟性に欠けたかなど自分自身を見つめ直すことができました。
――交友関係についても書かれていますよね。生前の瀬戸内寂聴さんに一番好きな言葉を質問したら、「情熱」という言葉が返ってきたそうですが、真矢さんの一番好きな言葉は何ですか?
真矢ミキ
あまり素敵な言葉は思いつかないのですが、「ユーモア」かな(笑)。割とユーモアで乗り切ろうと思っていることが多いです。
44歳で大人婚!夫はまるで「沼」!?
――俳優のお仕事や執筆をされながら、おうちにお花を飾ったり、旦那様とインテリアを楽しんだりなど、ご家庭内も充実させていらっしゃることが本からうかがえました。真矢さんの日常や、ご夫婦の時間について教えていただけますか?
真矢ミキ
午前中は自分の好きなことに時間を使います。お礼状やお手紙のお返事を書いていることが多いですね。あと、英語の勉強とか、新聞に載っているクロスワードをやったり。午前中に頭をウォーミングアップして午後から台本の読み込み、又台詞覚えに備えていきます
絵を描くのも好きなので、ちょっと描いたりもします。好きなことをやることで自分自身が整うので、一石二鳥なんですよね。お昼前には食事の支度をしてパートナーと昼食を取りながら、その日の予定を聞き合います。私は44歳で結婚したので、大人婚という言葉を使っていいのか分からないですけど、お互いにそれまでの生活というものがあって、それを尊重して、それぞれ自分の時間を持つことでうまくやっている感じなんですね。
――ケンカすることはないですか?
真矢ミキ
ないですねぇ。というのは、夫は言い返さないタイプなので。
私が何か意見を言うと、それが「沼に入ったボール」みたいに消えるんです。言い返してこないからケンカが始まらない。
――でも、ちょっとは返してほしくて、キーっなる時もありますか?
真矢ミキ
そうですね!今度、沼に入っていこうかな(笑)。
「宝塚の革命児」となれた理由は?
――本には宝塚歌劇団時代のお話も書かれています。真矢さんは「ヅカの革命児」と呼ばれていたくらい、たくさんのチャレンジをされていましたが、さまざまなアイデアはどのように湧き上がってきたのでしょうか?
真矢ミキ
もともと自分が宝塚のファンではなかったから、できた挑戦だったと思います。私は宝塚を俯瞰で見ていたんですよね。今の言葉で言う、゜推し゜がいたら熱も入ったと思うのですがあまり宝塚を観ずに入ったので。又、私が入団したきっかけは、かなり特殊だったので。
今回、本の中で初めて告白しましたけど、当時、両親が離婚するかしないかという状態で、15歳の私はそれをどうにかくい止めたいという想いで宝塚入団を決意したんです。
すごく不幸だったとも思っていないし、同じ境遇でもいろんなご家庭があると思いますが私の場合は気づけばそんな家族の状況が「宝塚に入って生きる」という道へと背中を押してもらったことになるんですよね。
「戻る場所がないかもしれない」という状況で、宝塚歌劇を18年間続けました。私が宝塚ファンではなかったからこそほかの人とは違う新しい何かを生み出すことができたんじゃないかなと思っています。
――革新的な男役トップスターとしてものすごい人気でした! 真矢さんのファンは、ファンであることに誇りを持っているのではないでしょうか?
真矢ミキ
うれしいです。よくぞついてきて下さったなと思います。私のファンになるのは危ない賭けだったんじゃないかな(笑)。ファンの皆さんとは、いまだ親戚のように仲良しです。
授業中……宝塚同期・黒木瞳をこっそり落書き!
――同期の黒木瞳さんとの思い出はありますか?
真矢ミキ
あります!あまりにもかわいくて授業中に見とれてました(笑)。少女漫画家の陸奥A子さんの作品から出てきたみたいな素朴な女学生な感じも漂っていて。
それがね、最近実家に帰って学生時代の譜面を片付けていたら、黒木瞳さんの似顔絵の落書きが出てきたんですよ!
――10代の真矢さんが描いた黒木さんの似顔絵ですか!?
真矢ミキ
そうなんです。かわいすぎて、思わず授業中に描きたくなったんでしょうね。
正直、入学当時は宝塚に全然染まらなくて大変だったんですが、「こんなにかわいい人が世の中にいるんだ」と感動したのを今でも覚えています。
宝塚退団後。18年間男性を演じてきたゆえの挫折
――貴重な青春の思い出話をありがとうございます! 宝塚退団後は映像の世界に入られましたが、大変だったことは?
真矢ミキ
映像作品のクローズアップで映すことになかなか慣れませんでしたね。舞台だと、どこから見ても分かりやすいように動きの大きい芝居をしていたので。
映像では最初、余計な動きをいっぱいしてよく怒られました。18年間培ってきた技法や自分の中のセンス、チョイスしてきたものが全部否定された感じでした。兎に角女性を自然に演じることが大変でした。
監督から「背中が健気じゃない」と言われた時は、「そりゃずっと背中で男語ってきたんだから、、」と心で沸々とつぶやいてました。
なので、兎に角オフから女になるぞと、それが唯一のヒントだと思って日々を過ごすようになりました
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真矢ミキ(まや・みき)
1964年1月31日、大阪府出身。81年、宝塚歌劇団へ入団。95年、花組トップスターに就任。日本武道館でのソロコンサート、篠山紀信撮影による写真集の出版などを行い、“宝塚の革命児”と言われた。98年の宝塚退団後は、俳優として各方面で活躍中。映画『九十歳。何がめでたい』公開中。『アングリースクワッド公務員と7⼈の詐欺師』が2024年11月公開予定。
作品情報
「いつも心にケセラセラ」(産業編集センター)
10代の思い出。宝塚入団からトップスター時代、そして退団まで。その後、映像世界に飛び込んでから今までのこと。自身が日々考えていることや人付き合いから学んだこと……。ヴィヴァーチェ(生き生きしている)と言われる彼女の、暮らし、仕事、恋愛、家族や愛犬との生活など、映像では見せない心のひだをつづった書き下ろしエッセイ。
取材・文=清水久美子 写真=yOU 編集=鳥居史(ハルメク365)