武田真一アナが向き合う「伝えるということ」
2024.08.192024年08月26日
【2】報道第一線で活躍してきた武田真一アナ
心を落ち着かせるためのメンタル習慣とは?
2023年にNHKを退局し、フリーアナウンサーとして情報番組などで活躍中の武田真一さん。ニュースや紅白歌合戦の総合司会を務めるなど、「生放送に強い」イメージの武田さんが、心落ち着かせるために行っている習慣とは?
武田真一さんプロフィール
たけた・しんいち
熊本県出身。元NHKエグゼクティブアナウンサー。NHK時代は「ニュース7」「クローズアップ現代+」や「紅白歌合戦」の総合司会を担当。フリーに転身後は情報番組「DayDay.」(日本テレビ)に司会として出演するなど活躍中。
実はアナウンサーではなく、ディレクター志望
武田真一さんの落ち着いた美しい声と穏やかな笑顔――。アナウンサーはまさしく天職だと思えるのですが、意外なことに、当初の第1志望はディレクターだったそうです。
「NHKの入局試験を受けたとき、志望職種を3つ書かされました。ディレクターが第1志望で、次がアナウンサー、3つ目が記者でした。職種はもっといろいろあるのですが、放送の現場に直接関わる仕事をしたかったので、この3つにしました。
なぜ第2志望のアナウンサーで採用されたのか、はっきりはわかりませんが、僕らの時代はエントリーシートを出しにいったときが一次面接。たまたまそのとき応対したのがアナウンサー採用の人たちだったのではないかと思います」
大災害や大事件の現場に身を置いて伝えてきた
アナウンサーになって33年、さまざまな事件や出来事を伝えてきましたが、中でも心に残っているのは、日本でたびたび起こってきた大震災だと言います。
「入局して5年目の1995年に阪神淡路大震災が起こりました。その後、新潟中越地震、東日本大震災、熊本地震、そして今年の能登半島地震。数年おきに日本を揺るがす大災害が起きる。その都度、報道の場に身を置いて伝えてきたことが強く印象に残っています。
災害以外にも9.11のアメリカ同時多発テロ、イラク戦争、北朝鮮からの拉致被害者の帰国など突発的なニュースが入ってきたり、この先どうなるかわからない状況になったりして、情報がなかなか入らないときがあります。
それでも現場にいる記者に電話で状況を聞いたり、送られてきた映像を見たりしながら、わかっている情報だけをもとに自分の言葉で伝える。視聴者のみなさんが知りたいこと、知るべきことは何かを判断して伝えていく。そこが一番難しいし、やりがいでもあります」
「落ち着け!」「目を覚ませ!」
そんな緊迫した報道現場で状況を伝える武田さんはとても落ち着いて見えるように感じるのですが……。
「そんなことはないんですよ。いつも心臓バクバクで、何かやらかすのではないかと思っています。でも、現場にいるのは自分しかいない。自分がしっかりしていないと、極端な話、視聴者のみなさんの命も守れないと言い聞かせる。
舞い上がっていたら『落ち着け!』、ぼーっとしていたら『目を覚ませ!』と鼓舞して、今やれることに集中するメンタルを作ってきたつもりです」
誰もが自分の意見を発信できる時代は歓迎したい
今はSNSなどで良きにつけ悪しきにつけ、いろいろな意見が飛び交う時代。テレビ画面に映る武田さんは目立つだけに何かと書かれることは少なくありません。
「好意的な意見はうれしく、そうでもないものはあまり愉快ではないけれど、多くの人が自分の意見を自由に発信できるようになったのは素晴らしいこと。昔のように自分の意見を発信する手段がない時代に比べると、自分のことをどうのこうのと言われるよりも、自由に発信できることの方が大切ですから!」
>>「同級生だった妻との遠距離恋愛をつないだものとは?」に続く
取材・文=柴本淑子 写真=西嶋祐二 編集=小林美香(ハルメク365編集部)
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