事実婚だと、「夫」「妻」と呼び難い?

アメリカは非婚同棲カップル増加中。伴侶の呼び方は?

公開日:2020/11/24

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アメリカ・ニューヨーク州に在住のライター黒田基子さんが、アメリカと日本の文化のギャップをお伝えします。今、アメリカでは高齢者の非婚同棲カップルが増加中。いわゆる事実婚の関係でも、暮らしの伴侶を「妻」「夫」と呼ぶのは英語だと違和感があるそう。

同性婚の夫婦はお互いをなんと呼ぶ?

事実婚の夫はカレシ?パートナー?

アメリカでは結婚せずに同居するカップルが増え続けています。その中で最も急激に増加しているのが高齢者の非婚同棲カップルです。アメリカの国勢調査によると、婚姻関係なく同居する伴侶がいる50歳以上は2000年には120万人だったのが、2010年には280万人と倍以上になっています。ここで注目されるのは、高齢者と若者では結婚しない理由が異なっていることです。

若い世代では同棲はお試し期間という傾向が強いのですが、50代以上の場合は、結婚を考えない事実婚がほとんどです。日本とは異なり結婚後の姓は同姓でも別姓でも自由に選べるので、事実婚の理由の多くは経済的なものです。再婚すると寡婦年金がなくなる、お互いの医療費の支払い責任や遺産相続が複雑になるなど、さまざまな理由で結婚しない方がお得と考えるカップルが増えているのです。

事実婚カップルの場合、伴侶の呼び方は?

事実婚だとお互いをなんと呼ぶか

そして、こうしたシニア事実婚カップルのほとんどが悩んでいるのが、お互いを他の人に紹介する場合の呼び方です。日本語なら「連れ合い」「うちのやつ」など適当にぼかした表現があるのですが、英語にはそういうあいまいな呼び方がありません。婚姻関係のない男女関係に一般的に使われる「カレシ」「カノジョ」にあたるのはboyfriend、girlfriendですが、シニアにboyやgirlはそぐいません。それに「カレシ」「カノジョ」では生活の伴侶であることは伝わりません。

それを強調するためにfiancé(婚約者)と言う人もいますが、何年たってもフィアンセというのもおかしなものです。届け出などに書く正式表現にはdomestic partner(同居しているパートナー)があるのですが、これはspouse(配偶者)と同じで、日常会話で使うにはあまりにも固すぎます。それならpartner(パートナー)ではどうかというと、パートナーという呼び方は同性愛カップルがお互いを紹介するのに使ってきたという歴史があるので、当人がそこにいない場合に使うと勘違いが発生する場合があります。

アメリカでは事実婚だと「夫・妻」呼びは抵抗あり

面倒くさいから夫(husband)とか妻(wife)と言ってしまえ、という方法も考えられますが、これは言う方にも聞く方にも「嘘である」という感覚が強く働いてしまいます。日本語の「つま」の語源は恋人という意味の大和言葉であるように、日本語の「妻」と「夫」にはどこか緩い感覚があります。

しかし、英語のhusbandとwifeは厳格に法的な関係を表す言葉なので、法的婚姻関係以外で使うことにものすごく抵抗があるのです。「君は心の妻だから」なんていう表現は英語では成り立ちません。英語の夫婦の呼び方はwifeとhusbandしかないので、日本のように夫をなんと呼ぶかでは迷う必要はありませんが、こうした英語のきっぱり感が事実婚カップルには大変不便なものになっているのです。

 

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黒田基子

くろだ・もとこ 1960(昭和35)年、東京生まれ。ライター。88年よりアメリカに留学し、30年近くニューヨーク郊外で暮らす。ブログ「ニューヨークsuburban life」東海岸の暮らし、食べ物、ときどき政治https://nyqp.wordpress.com/

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