美容整形は、何歳まで許される?

シニア世代の手術数が増加中。アメリカの美容整形事情

公開日:2020/04/27

1

アメリカ・ニューヨーク州に在住のライター黒田基子さん(60歳)が、アメリカの暮らしを伝えます。誰しも、若々しさを保ちたいものです。そのためには、美容整形という手段もあります。アメリカでは、シニア世代の利用者が増えていると黒田さんは言います。

アメリカの美容整形事情

整形手術は、ダイエットと同じぐらいの感覚

まだアメリカに来て間もない頃、アメリカ人の友人の家に飾ってあった10代の頃の写真を見て「今とずいぶん感じが違うね」と言うと「そりゃそうよ、nose job(鼻の整形手術)したから」と言われて慌てたことがあります。が、本人はいたって普通に「ダイエットしたから」くらいな感覚で話していました。

nose jobは鼻を高くするのではなく、いわゆる鷲鼻といわれるカーブした鼻を削って真っすぐにするもので、アメリカでは最も一般的な整形手術です。整形というよりも調整くらいの感じで行われていて、蓄膿症などの手術をするときに一緒にやってしまう人もいるくらいです。ちなみにアメリカでは「鼻が高い」というのは誉め言葉にはなりません。
 

65歳以上にはまぶたの手術が人気

まぶたの手術

整形手術(plastic surgeryまたはcosmetic surgery)が調整感覚で行われるのは年齢が上がっても変わりません。鼻の手術に代わって、50歳前後から主流になるのは若く見せるための手術です。中でもポピュラーなのは年齢とともに下がってきたまぶたのたるみを切り取って、若い頃のような目を取り戻す手術(cosmetic eyelid surgery)。

あるとき、ママ友の目が腫れぼったいなと思ったら「昨日、目の整形手術をしたの」と言われて驚いたことがあります。イケイケのセレブ妻みたいな人ではなく化粧っ気のないアウトドア派の人だったので、驚きもひとしおでした。本人いわくずっとまぶたのたるみが気になっていたのだそうです。

それ以来親戚から友人まで、眼瞼手術をしたという話をあちこちで聞くことになり、整形手術といえば芸能人かよほど外見にこだわる人だけのものという、私の思い込みは見事にくつがえされました。今では久しぶりに見掛けた近所の奥さんの顔が変わって急に目がぱっちりしていたら、ああ整形したんだな、と普通に思えるようになりました。
 

美容整形市場で、シニア世代が一番伸びている

雑誌には、まぶたの整形のビフォア・アフターが並ぶ
雑誌には、まぶたの整形のビフォア・アフターが並ぶ

アメリカではシニア世代が今、美容整形市場で最も伸びている利用層です。65歳以上でまぶたの整形や、たるみやシワを取る手術を受ける人の数はこの20年で倍以上になり、特にここ5、6年の増加が顕著だそうです。手術に限らず、ボトックスなどのメスを使わない注射による施術や肌のピーリングも人気があります。あまり一般的ではありませんが、中には70代や80代になって乳房を形よくする手術をする人もいるそうです。

私の周囲のまぶたの整形をした女性たちは、皆一様にまぶたの下がった顔は自分の顔としてなじめなかった、手術をして自分の顔を取り戻した気がするといいます。

70代に突入したアメリカのベビーブーマー世代は「forever young」(永遠の若者)といわれる世代。自分の老いを受け入れることの難しさをしみじみと感じさせます。
 

新型コロナの影響で、セレブが老けこむかも?

新型コロナウイルスの影響で、緊急を要さない手術はすべて延期となっている今、美容整形手術はすべて中止。病院によっては美容形成外科医もコロナ対応に駆り出されています。

手術だけでなく美容目的のトリートメントを行う施設すべてに休業命令が出ているので、一部の富裕層がパニックになっているのが数か月ごとに注入が必要なボトックス。効果が切れて、がくっと老け込んだルックスになったらどうしよう、というわけです。

地獄の沙汰も金次第を地で行くアメリカで、ありふれたトリートメントがお金を積んでもどうにもならない事態になるとは誰もが予想もしていませんでした。

 

■もっと知りたい■

黒田基子

くろだ・もとこ 1960(昭和35)年、東京生まれ。ライター。88年よりアメリカに留学し、30年近くニューヨーク郊外で暮らす。ブログ「ニューヨークsuburban life」東海岸の暮らし、食べ物、ときどき政治https://nyqp.wordpress.com/

この記事をマイページに保存

\この記事をみんなに伝えよう/

ページ先頭へ