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- 2021年ミドル~シニア世代で流行した8つのこと
雑誌「ハルメク」のシンクタンク「生きかた上手研究所」所長の梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は、2021年の総決算、流行したものを振り返ります。2021年を代表する8つのキーワードをチェック!
シニア女性のシンクタンク生きかた上手研究所の所長です
普段から私は、50歳以上の素敵な女性にお会いして(最近はオンラインで画面ごしも増えました)、誌面や商品開発の種になる話を伺ったり、アンケートを介して半歩先の未来を予見したりしています。読者との会話やデータで出てきた驚きや気付き・学び、ハルメク世代の実態や意識、日常の困り事や工夫からトレンドを汲み取ってお伝えしていきます。
2021年50代以上の女性に流行った現象
一年が経つのはあっという間。2021年も例年発表される「流行語大賞」「ヒット商品番付」などのアワードが目白押しで、メディアが騒がしくなっています。
私が所属するハルメク生きかた上手研究所でも、2021年の動向を振り返ったシニアトレンドを発表しました。当社では初の試みとなります(このコラム内では2019年からトレンドまとめを行っておりましたが……)。
50代以上のハルメク世代も、コロナ禍という激動社会に身を置いています。2021年は、ほぼ1年を緊急事態宣言下で過ごすことになりました。東京五輪、ワクチン接種、首相交代とさまざまな出来事がありました。ミドル~シニア世代の今年の傾向を8つにまとめました。
1:“親目線”推し活
若い世代の推し活はSNSを通じて、アイドルやアニメ・漫画など広域に向けての応援です。対して50代以上のハルメク世代は、オリンピックで活躍したアスリートやリーダーシップのある若い知事へ声援を送りました。息子や娘、孫世代に対して応援して見守る・育てるという目線です。次世代の今後の活躍や幸せを願っています。
2:スマートシニア元年
これまで「スマホは持ったが、利用機能は電話やLINE、写真撮影だけ」と積極的な活用は見られませんでした。ネットで買い物など消費行動に結びつかない方々が大半でした。しかしコロナ禍で一変します。
「感染リスクを減らせる」という確固たる動機付けにより、これまで起こりにくかったデジタルシフトが起こりました。ワクチン接種予約なども後押しし、キャッシュレス決済やオンライン予約など、怖いと思いながら乗り越えた年でした。
3:華やかマスク
コロナ禍の必須アイテムであるマスク。若い世代がマスク生活で眉やアイメイクなど顔の上半分を意識するのとは対照的に、ハルメク世代は顔の下半分を華やかにすることにこだわりました。
2020年は「呼吸が苦しくてコロナが終わったら早く外したい」と言っていました。しかし2021年は「口元のしわやほうれい線、たるみが隠せてむしろ都合がいい」と気付きました。またマスクは「服装や気分に合わせて気軽かつ華やかに個性を演出できる」新たなメイクアイテムになりました。関連会社「全国通販(ことせ)」では色や柄レースなど、顔が明るく見えるマスクが人気です。
4:本気いたわりグッズ
おうち生活で家に気持ちが向かい、コロナ疲れが出てきたのは全世代共通です。ハルメク世代はコロナ禍2年目に入り、慢性的な疲れがココロよりカラダに現れました。ハルメク通販でも「室内用のルームサンダル」「ラクに着られるリカバリールームウエア」「身体の寝ぐせを考えた敷き布団や枕」など、良質な疲れ取りグッズがヒットしました。
5:“おさぼり上手”料理
2021年の雑誌の企画で「たんぱく質が手軽にしっかり摂れる一汁一菜レシピ」が人気でした。一汁三菜でなくても一汁一菜で十分栄養が摂れるという提案です。通販でも一食で栄養や具だくさんの野菜をバランスよく摂取できる冷凍食品が好調でした。
冷凍食品を使うことに後ろめたさを感じていたハルメク世代の女性も、手抜きとは違う「手間抜き料理で賢く」使おうとなったわけです。外食できないストレスや食事を作ることに疲れたという心境が、新習慣が受け入れられた背景にあったと見ています。
6:カジュアル終活
自宅療養、終末期が身近になった2021年は、これまでオープンに語られなかった死についてカジュアルに語る“デスカフェ”というワークショップが話題でした。「死生観光トランプ」「414(よい死)カード」などのツールが開発されました。
また、ハルメク誌のインタビューにも長年ご登場いただいた瀬戸内寂聴さんが遺した前向きな死生観にも、共感の声が続々届きました。2021年は死や終活について身近に考える機会が増えたといえるでしょう。
7:古着でSDGs
ハルメク世代はSDGsと意識せずとも自然に取り組みます。衣類等の寄付が途上国のポリワクチンになる「ハルメク古着でワクチン」の寄付額がおかげさまで100万人分を突破しました。「何十年も着ていなかったが思い出のある服をただ捨てるのはもったいない」という片付けニーズと「誰かのために役立ちたい」という気持ちが後押しになったと分析しています。
8:おうちで検診
公益財団法人日本対がん協会は、2020年コロナ禍でがん検診の受信者が3割減ったと発表しました。コロナ禍で病院に行くことが難しい状況になりました。「血液・尿検査」を自宅で簡単にできる郵送型検査キット「おうちでドッグ」などの自宅ヘルスケアサービスの利用が増加しました。
みなさんの2021年のマイトレンドはどんなものでしたでしょうか。
生きかた上手研究所では、日々読者と接しシニア世代の価値観や本質を洞察しているからこそ見える変化や、生々しい情報を雑誌のコンテンツ発掘や通販の商品開発に役立てています。
「トレンドは若者が創り出すもの」というイメージが強いかもしれません。しかし近年、「終活」「グレイヘア」など世代特有の流行語が生まれています。人口の3割が65歳以上となった日本において、この世代が形成するトレンドや兆しは無視できなくなっています。この世代の関心や価値観を見つめている当研究所が、今後もハルメク世代の市場やトレンドを正しく理解して、伝えていければ、と考えています。
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