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- 思い込みと見た目は大事!脳の老化をストップする方法
最近「もう年だから…」「もうちょっと若かったら…」などの後ろ向き発言が増えていませんか。でも、心持ちと習慣次第で、脳は何歳からだっていい方に変わっていきます。老人脳を防ぐための方法を専門家に伺う企画の今回は、そんな心持ちと習慣についてです。
主観年齢を若くして生きると、本当に若くなる
面白い写真をSNSのInstagram(インスタグラム)にアップしている西本喜美子(にしもときみこ)さん(94歳/記事作成時)をご存じでしょうか。彼女のファンであるフォロワーは30万人以上もいて、今もっとも注目されているシニアの一人です。
西本さんのインスタを見ていると、健康の秘訣がいろいろ垣間見えて、とても参考になります。
西本さんは、72歳でカメラを始めたそうです。面白いことがとにかく好きで、そのための行動をいといません。カメラを始めたきっかけは、若い人たちが背中を押してくれたからだそうです。若い友達がいるというのも、脳にとっていいことです。
そんな西本さんは、年齢のことは考えたことがないそうです。自分の年齢を気にしていないんですね。
「主観年齢」という言葉がありますが、例えば、85歳でも自分は50歳だと思えば、主観年齢は50歳です。すると面白いことに、50歳のような行動をとるようになってくるのです。もちろん本気で思わないとそうならないのですが。
主観年齢を若くすることは、脳の老化も防ぎます。韓国の研究で、59~84歳の被験者68人の主観年齢と脳の状態を分析したところ、主観年齢を実年齢より「若い」と答えた被験者は、灰白質(かいはくしつ)の密度が高かった他、記憶力も良く、うつの傾向も低いことがわかっています。
「自分は若い」と本気で思うだけで、脳も体も若くなる
「学生時代の友人と久しぶりに会っていろいろ話をしたらすごく元気になりました。なんだか若い時代に戻ったみたいで、楽しかった」こんな話を70代の女性から聞きました。こういう経験がある人も多いと思うのですが、元気になったのには理由があります。
自分の若い時代に戻ったような感覚や自分は若いと思うことは、脳にとてもいい刺激をもたらすのです。
アメリカのハーバード大学でこんな実験がありました。70代になる8人が22年前の内装に仕上げた建物の中で5日間共同生活をするというものです。
内装だけでなく、例えばテレビは1959年当時に流行していた白黒テレビを置き、ラジオからは当時人気があった歌が流れてくる。本棚にある雑誌や本も、1959年のものを置き、環境そのものを22年前にして、5日間暮らしたわけです。
そして、この実験から驚きの結果が出たのです。
- 手先の器用さが向上した
- 姿勢が良くなった
- 視力がアップした
- 見た目が若くなった
- 考え方が柔らかくなった
これだけの若返り効果が表れました。自分は若いと思い込んで行動するだけで、脳に変化が生まれたのです。
見た目を若くしたら、体も若くなった
髪を染めて若く見えるようにしただけで、血圧まで下がったという実験もあります。
「ヘアサロン実験」というものなのですが、27歳から83歳の女性47名に対して、髪のカラーリングを行い、実年齢よりも若く見えるようにしました。すると、髪の毛を染めて若く見えるようになった人たちの血圧が、若い頃の血圧に戻っていたのです。
年配の人が若作りをしていると、「あの人は年齢も考えず若作りしていて恥ずかしい」なんてことを言う人もいますが、体にとっても脳にとっても、若作りはいい方向に作用します。
脳内のイメージを変化させ、それによって生理的反応(体内で起こる化学過程)にまで影響があり、健康状態がよりよくなっていくのです。
さらに、見た目年齢は血管年齢にも関係していると言われています。
「実年齢より見た目が若い人」と「実年齢より見た目が老けている人」の血管年齢を調査したところ、「見た目が実年齢よりも老けている人は、81%の人が血管年齢まで高くなる」という結果も。見た目の差でかなりの違いが出ています。
また、主観年齢が若い人ほど、将来の自分について前向きな見解をもっていることもわかっています。
「本気で」若いと思うことが何よりも重要。ぜひ心持ちを変えて、脳も見た目も若く美しく保ちましょう。次回は、年をとると頑固になるのはなぜ?という疑問にお答え! 自分が頑固な老人にならないための方法も教えてもらいます。
教えてくれたのは:西剛志(にし・たけゆき)さん
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、これまでに1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書は海外でも出版され累計31万部を突破。近著に『80歳でも脳が老化しない人がやっていること』(アスコム刊)
80歳でも脳が老化しない人がやっていること
いくつになっても脳が若いままの人と、脳の老化が進んでいく人の差はどこにあるのか?脳科学者が伝えたい「老人脳」にならないための方法を紹介。
食べるもの、運動、睡眠、考え方、人付き合いなど、日々の習慣を少し変えることで脳は若くなる、と本書は説明します。さらに、高齢になっても超人的な認知・身体能力を持つ人(スーパーエイジャー)たちの脳の使い方をひも解き、いつまでも若々しく幸せなシニアライフを送るきっかけを示唆します。
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