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- もち麦でおいしく生活習慣病予防&お手軽レシピ3選
血圧やコレステロール値、血糖値が気になる人も、ダイエットがしたい人も、毎日の食生活にぜひ取り入れてほしいのが「もち麦」です。生活習慣病を予防するだけでなく、ダイエットもできる優秀食材「もち麦」の効果や取り入れ方について、専門家に聞きました。
教えてくれたのは、大妻女子大学・家政学部教授 青江誠一郎さん
食物繊維研究の第一人者。大妻女子大学家政学部教授、農学博士。日本食物繊維学会常務理事。大麦に含まれる食物繊維β-グルカンやアラビノキシランにいち早く注目して研究を続けている。食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する研究で同学会賞を受賞。『もち麦でやせる!元気になる!』(監修・主婦の友社)。
食物繊維の摂取量が減ると、生活習慣病に!?
「栄養的に優れているという観点から玄米を食べている人がいる一方、痩せるために白米をほとんど食べない人もいます。でもこれからは、穀物の健康効果をもっと意識して、生活習慣病を予防するためにも積極的に穀物を取る時代だと思います」と話すのは、食物繊維研究の第一人者である、青江誠一郎さん。
日本人の食物繊維摂取量は、戦後から大きく減少。その要因の一つは、パンやパスタ、うどんなどを主食にすることで、穀物から取る食物繊維の量が減ったから。特に、白米を食べる量は、1962年と比較すると、2020年はなんと半分にまで減ってしまいました。
「ここで注目したいのは、食物繊維を取る量の減少に伴い、生活習慣病である糖尿病の受療率や、大腸がんの死亡率が増えていることです。高血圧、糖尿病、高コレステロールなどの生活習慣病の原因は、栄養過多によるものというイメージがありますが、実は食物繊維を取る量が不足してきていることも大きな原因の一つなのです」(青江さん)
今、注目されている「水溶性食物繊維」とは?
そこで毎日の食事でぜひ取り入れてほしいのが「もち麦」です。
「大麦は、他の穀物や野菜に比べて水溶性食物繊維のβ-グルカンを豊富に含んでいます。大麦の中でも特に“もち麦”の水溶性食物繊維は、うるち性の大麦と比べても多く含まれています」
食物繊維は不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とに分類され、近年、それぞれの健康効果が明らかになってきています。
青江さんが注目するのは水溶性食物繊維を豊富に含む「もち麦」。すごい健康パワーが数々ある優秀な穀物だというのです。どんなパワーがあるのかさっそく見ていきましょう。
【その1】悪玉コレステロール値を低下させる
食べ過ぎや運動不足などによって血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪の値が高くなる脂質異常症。もち麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンは、消化する過程でコレステロールと結合して体外に排出します。
このβ-グルカンは、コレステロールから合成され腸管内で脂質の吸収に関与する胆汁酸を吸着して排泄を促進。それによりコレステロール値を減少させる効果があります。
また、β-グルカンが腸内細菌のエサとなり、腸内細菌由来でコレステロールが作られるのを抑えると考えられています。
【その2】血糖値をコントロール
食べた後に、血糖値が急上昇することは、インスリンの過度な分泌を促すため、肥満や糖尿病へとつながります。また食事のたびに血糖値を急激に上げるのを繰り返すことで、血管にもダメージを与えてしまいます。これは動脈硬化にもつながり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます。
食後の血糖値を急激に上げないために、「まず野菜から食べる=ベジタブルファースト」はよく知られていますが、「低GI値」※の食品を選ぶことも大切。白米だけのご飯は食後の血糖値を上げるGI値が高いのですが、白米ともち麦を混ぜたご飯は、もち麦の割合を高めて行くほど、GI値は下がり、糖の吸収が穏やかになります」(青江さん)
GI(Glycemic Index)値とは、糖質を含んだ食品が体内で分解されブドウ糖として吸収される際に起こる血糖値上昇の度合いを表現する数値。グルコース(ブドウ糖)100に対しての相対値。数値が高いほど血糖値が急上昇する。
【その3】セカンドミール効果
もち麦の「セカンドミール効果」にも注目が集まります。
「例えば、朝ごはんにもち麦を食べたとします。そうすると、次の食事(セカンドミール=お昼ごはん)の食後血糖値の急上昇を抑えることがわかっています」
もし、間食にも、もち麦のおにぎりやゆでもち麦をトッピングしたサラダなどを食べておけば、一日中、食後の高血糖を抑えることが可能というわけです。
「もち麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンが腸内細菌のエサとなって、短鎖脂肪酸が作られます。短鎖脂肪酸はインスリンに関係したホルモンの分泌を促し、血糖値の急上昇を抑えてくれるのです」(青江さん)
【その4】内臓脂肪が減少する
中年になると、いつの間にかお腹に溜まってしまう内臓脂肪も、もち麦ごはんを食べ続けることで内臓脂肪面積を減らすことができます。
もち麦に含まれる水溶性食物繊維のβ-グルカンの健康効果は、これだけではありません。
「腸内環境を整え、大腸のぜん動運動を促して便秘を解消することもわかっています。さらに心血管疾患のリスクを下げる、脳卒中などの死亡リスクを少なくする……といったことでも世界中で研究報告がなされています」(青江さん)
ダイエットをしたい人こそ「もち麦」を
長いこと、痩せるためには「糖質制限」することが有効と言われてきましたが、最近では、糖質を制限するだけのダイエットでは、たんぱく質や塩分を取る量が増えて腎機能に負担がかかったり、動物性脂肪(脂質)を取り過ぎたりする傾向を懸念する声が専門家から上がっています。
「ダイエットをしたい人も白米をまったく食べないのではなく、白米にもち麦を混ぜて炊いて、糖質と水溶性食物繊維をバランスよく取ることをおすすめします。そうすれば食後の血糖値の急上昇を抑えることができるので、中性脂肪も増えません。
またもち麦は、脂質と一緒に取ると、脂質の吸収を抑えることができます。これが健康への早道であると同時にダイエットの新常識です」(青江さん)
基本のもち麦ご飯の作り方
毎日の食生活にもち麦ご飯を取り入れるなら、まずは白米2合に対して50gの“もち麦1.5割ご飯”からスタートしてみましょう。白米2合をいつもの水加減にした後、もち麦50gと水100mLを足して炊きます。プチプチした食感は感じますが、白米だけとそんなに変わらず食べられるはず。
「少し慣れてきたら、もち麦を3割、5割と増やしていくのが良いですね。もし家族がもち麦入りご飯は苦手でしたら、もち麦をゆでておいて自分のご飯にだけトッピングするのも手ですよ。まとめてゆでて冷凍しておくことをおすすめします」(青江さん)
おかずやスイーツにも!お手軽もち麦レシピ3
主食をもち麦入りご飯にするだけでなく、メインのおかずの材料に加えて肉の量を減らしたり、スイーツにしたり。プチプチとした食感もクセになります。そこで、簡単に作れる3品をピックアップしました。
炊飯器で炊くだけ!パラパラもち麦入りチャーハン
【材料(4人分)】
<A>
白米…2合
もち麦…100g(米カップ約2/3)
水…600mL
ウインナー…5〜6本
中華調味料…大さじ2
ごま油…大さじ1
___
卵…2個
青ネギ…20g
塩、こしょう…適量
【作り方】
- ウインナー、青ネギは適当な大きさに輪切りにする。
- Aの材料をすべて炊飯器に入れて混ぜて、炊く。
- ボウル型の耐熱容器に卵を溶き、ラップをかけて電子レンジ(600W)で1分加熱する。一度取り出し全体をかき混ぜ再び40秒加熱し、好みの大きさまで細かくする。
- [2]のごはんが炊きあがったら、青ネギと[3]の卵を混ぜる。好みで塩、こしょうをかける。
ひき肉を減らしてもち麦でカサ増し!もち麦入り餃子
【材料(4人分)】
ゆでもち麦…100g
豚ひき肉…100g
キャベツ…150g
ニラ…50g
しょうが…20g
にんにく…20g
餃子の皮…40枚
サラダ油…適量
<A>
塩、こしょう…少々
ごま油…大さじ1
醤油…大さじ1
【作り方】
- キャベツ、ニラ、しょうが、にんにくは細かく刻む。
- 豚ひき肉と[1]にAを加え、粘り気が出るまでよく混ぜる。
- [2]に残りの材料を加え、混ぜ合わせる。
- 餃子の皮で[3]を包む。
- フライパンに油を引き、蒸し焼きにする。
寒い日もほっこりヘルシー!もち麦ぜんざい
【材料(2人分)】
ゆでもち麦※…75g
あずき缶(市販)…200g
水…100mL
【作り方】
あずき缶を開けて水と一緒に鍋に入れ火にかける。
全体が混ざり温まったらゆでもち麦を入れる。
<※ゆでもち麦の作り方> 出来上がり約300g
【材料】
・もち麦 100g
・水 1L
【作り方】
- 鍋に水を入れて沸騰させ、もち麦を入れる。
- ふつふつする程度に火を弱め、ときどきかき混ぜながら15〜20分ゆでる。
- 好みの硬さにゆで上がったら、ざるにあげ、流水でぬめりを洗い流す。
- しっかり水気を切って、容器に移す。
ゆでもち麦をサラダのトッピングやスープにプラスすれば、手軽に食物繊維量をアップできます。冷凍保存もできるので、常備しておくと便利ですよ。
レシピ協力:おいしい大麦研究所(はくばく)
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