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- 疑問スッキリ!60代からのがんにかかるお金のQ&A
働き盛りの現役世代と年金生活に入る60代からでは、病気にかかるお金の考え方は違います。多くの人が抱くお金の疑問を、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに教えてもらいました。
Qがん治療のために、いくら備えておくべき?
A 高額療養費制度に頼れば、月6万円以内に
患部やステージ、治療法の選択によってかかる金額は変わりますが、世帯年収370万円未満なら、手術・入院で100万円かかったとしても、高額療養費(表1参照)を使えば、入院が月をまたがない限り医療費は最大約6万円の負担で済みます。
手術後、通院治療が数か月間高額になった場合も、年金世帯であればこの制度は心強い味方になることも。1年以内で3回以上高額療養費の支給を受けると、「多数該当」となり、さらに負担が軽減します。
表2には、乳がんの治療費の例をまとめました。「ちなみに、乳房全摘出の場合、再建手術にかかる費用は、以前は保険適用外で数十万円の負担でしたが、5年前から高額療養費の適用対象になりました」(深田さん)。
■表1:高額療養費の自己負担限度額
金額は、医療費が100万円の場合の月額負担です。
※[ ]内は4回目(4月目)からの限度額。過去12か月以内に3回以上限度額に達した場合は、4回目から「多数該当」として、限度額が下がります。
■表2:ハルメク世代が乳がんになった場合の治療費(乳房温存のケース)や頼れる制度・保障の例
※手術で病巣除去、乳房温存で、その後再発予防の通院治療を行ったケースの一例。
※年金収入が世帯で年370万円未満の場合で試算しています。
※抗がん剤は、3週に1回AC×4回、毎週パクリタキセル×12回の場合。
治療コースは人によって異なります。
Q 民間の医療保険(がん保険)は入っておくべき?
A 月額が高くなる60代以上の新規加入はNG
「お金のプロのがん体験記!お金以上に大切だったこと」の記事の通り、深田さんは乳がんと診断された当時、月々1800円のがん保険に加入していました。支給されたのは、診断給付金100万円、入院給付金日額1万5000円。
この体験を聞くと「やっぱりがん保険に入っておくと安心」と思いがちですが、深田さんは「オトナ世代にはこれから新規加入することはおすすめできない」と言います。
60代以上になってからがん保険に新規加入すると、月々5000円以上、通院給付金付きだと8000円近い支払いに。この金額は、年金暮らしになると毎月の家計に大きくのしかかります。既にがん保険に入っている人は無理に解約することもありませんが、高額療養費だけでも十分大きな助けとなります。
Q いざとなったら高額でも先進医療に頼るべき?
A 「先進医療=最高の医療」ではないことをお忘れなく
「先進医療と聞いて『最高の医療』という印象を持つ人も多いようですが、その認識は誤りです」と深田さん。先進医療の正体は、保険診療に含めるかどうか厚生労働省がまだ評価途中の治療技術。つまり、一概に最高の医療とはいえないのです。治療費は高額になりますが、高額療養費の対象外。さらに限られた医療機関でしか受けられない治療という実情を知っておきましょう。実施している医療機関は、厚生労働省のホームページで確認できます。
Q 「高い」とよく聞く差額ベッド料って何?
A 特別な病室に入院した場合の料金のことで保険適用外
差額ベッド料とは、特別な病室に入院した場合の料金のこと。病院ごとに料金設定が異なり、健康保険の適用外。個室~4人部屋まで認められています。
差額ベッド料の請求は、同意書へ患者側のサインがないとできません。よくあるトラブルは「他に空きベッドがない」と言われ、やむを得ず個室などに入院するケース。同意すれば、差額ベッド代は支払わなくてはなりません。そんなときは、医事課に「大部屋が空き次第、移りたい」と頼んでおくといいでしょう。
取材・文=小林美香(ハルメク編集部)・清水麻子
※この記事は2018年10月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。
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