60代からのがんにかかるお金

更新日:2023年03月19日 公開日:2020年02月25日

もし明日、がんと診断されたら3

疑問スッキリ!60代からのがんにかかるお金のQ&A

疑問スッキリ!60代からのがんにかかるお金のQ&A

働き盛りの現役世代と年金生活に入る60代からでは、病気にかかるお金の考え方は違います。多くの人が抱くお金の疑問を、ファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんに教えてもらいました。

Qがん治療のために、いくら備えておくべき?

A 高額療養費制度に頼れば、月6万円以内に

患部やステージ、治療法の選択によってかかる金額は変わりますが、世帯年収370万円未満なら、手術・入院で100万円かかったとしても、高額療養費(表1参照)を使えば、入院が月をまたがない限り医療費は最大約6万円の負担で済みます。

手術後、通院治療が数か月間高額になった場合も、年金世帯であればこの制度は心強い味方になることも。1年以内で3回以上高額療養費の支給を受けると、「多数該当」となり、さらに負担が軽減します。

表2には、乳がんの治療費の例をまとめました。「ちなみに、乳房全摘出の場合、再建手術にかかる費用は、以前は保険適用外で数十万円の負担でしたが、5年前から高額療養費の適用対象になりました」(深田さん)。

■表1:高額療養費の自己負担限度額
金額は、医療費が100万円の場合の月額負担です。

高額療養費の自己負担限度額

※[ ]内は4回目(4月目)からの限度額。過去12か月以内に3回以上限度額に達した場合は、4回目から「多数該当」として、限度額が下がります。

■表2:ハルメク世代が乳がんになった場合の治療費(乳房温存のケース)や頼れる制度・保障の例

ハルメク世代が乳がんになった場合の治療費

※手術で病巣除去、乳房温存で、その後再発予防の通院治療を行ったケースの一例。
※年金収入が世帯で年370万円未満の場合で試算しています。
※抗がん剤は、3週に1回AC×4回、毎週パクリタキセル×12回の場合。
治療コースは人によって異なります。

Q 民間の医療保険(がん保険)は入っておくべき?

月額が高くなる60代以上の新規加入はNG

A 月額が高くなる60代以上の新規加入はNG

「お金のプロのがん体験記!お金以上に大切だったこと」の記事の通り、深田さんは乳がんと診断された当時、月々1800円のがん保険に加入していました。支給されたのは、診断給付金100万円、入院給付金日額1万5000円。

この体験を聞くと「やっぱりがん保険に入っておくと安心」と思いがちですが、深田さんは「オトナ世代にはこれから新規加入することはおすすめできない」と言います。

60代以上になってからがん保険に新規加入すると、月々5000円以上、通院給付金付きだと8000円近い支払いに。この金額は、年金暮らしになると毎月の家計に大きくのしかかります。既にがん保険に入っている人は無理に解約することもありませんが、高額療養費だけでも十分大きな助けとなります。

Q いざとなったら高額でも先進医療に頼るべき?

A 「先進医療=最高の医療」ではないことをお忘れなく

A 「先進医療=最高の医療」ではないことをお忘れなく

「先進医療と聞いて『最高の医療』という印象を持つ人も多いようですが、その認識は誤りです」と深田さん。先進医療の正体は、保険診療に含めるかどうか厚生労働省がまだ評価途中の治療技術。つまり、一概に最高の医療とはいえないのです。治療費は高額になりますが、高額療養費の対象外。さらに限られた医療機関でしか受けられない治療という実情を知っておきましょう。実施している医療機関は、厚生労働省のホームページで確認できます。

Q 「高い」とよく聞く差額ベッド料って何?

A 特別な病室に入院した場合の料金のことで保険適用外

A 特別な病室に入院した場合の料金のことで保険適用外

差額ベッド料とは、特別な病室に入院した場合の料金のこと。病院ごとに料金設定が異なり、健康保険の適用外。個室~4人部屋まで認められています。

差額ベッド料の請求は、同意書へ患者側のサインがないとできません。よくあるトラブルは「他に空きベッドがない」と言われ、やむを得ず個室などに入院するケース。同意すれば、差額ベッド代は支払わなくてはなりません。そんなときは、医事課に「大部屋が空き次第、移りたい」と頼んでおくといいでしょう。

取材・文=小林美香(ハルメク編集部)・清水麻子
※この記事は2018年10月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。


「がんへの備え」についてもっと知る

【インタビュー集】がんとの向き合い方

「がんへの備え」についてもっと知る
↑特集一覧は画像をクリック

乳がんや肺がん、多発性骨髄腫…。雑誌「ハルメク」では、さまざまながんサバイバーの生きざまに つい てインタビューしてきました。年齢も性別もがんの種類も違う人たちが、前向きに生きる軌跡の7つのインタビューを集めました。がんと向き合う専門医からのアドバイスも。

  1. 30年以上、5度のがん闘病。「がんと仲良く付き合う」方法
  2.      乳がんで「全摘」…それでも人生の変化と捉え楽しむ 
  3. 多発性骨髄腫で余命3年…病気になって感じた「幸せ」
  4. 93歳で胆のうがんを摘出!瀬戸内寂聴さんの死生観
  5. 「命を使い切る」全身がんとともに生きた樹木希林さん
  6. 腫瘍精神科の医師に聞く「心を前に動かす」方法
  7. がん哲学外来の医師が考える「限りある時間の生き方」の伝え方

【特集】もし明日がんと診断されたら

  1. 読者体験談!私はこうしてがんの不安を乗り越えた
  2. お金のプロFPのがん体験記!お金以上に大切だったこと
  3. 疑問スッキリ!60代からのがんにかかるお金のQ&A
  4. 賢い患者になる!よい医療の見つけ方・付き合い方
自分らしく。これからのために。50代からの女性のために厳選商品を紹介。自分らしく。これからのために。50代からの女性のために厳選商品を紹介。「無料」ハルメクが厳選した商品をご紹介する「ハルメク通販カタログ」無料でお申込みいただけます「無料」ハルメクが厳選した商品をご紹介する「ハルメク通販カタログ」無料でお申込みいただけます
雑誌「ハルメク」
雑誌「ハルメク」

女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

驚きの軽さ&使いやすさ!

1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール
1本で7つの効果
薬用美肌ヴェール

【PR】税公金を簡単にお得に支払うには?

税公金をスマホで払うと…

税公金の支払いはスマホからが圧倒的にラク&お得!「ゆうちょ銀行」では抽選で毎月1万名様に1,000円が当たるキャンペーン実施中!

2025.04.21
【PR】災害のために今備えたいのはポータブル電源!

便利すぎ!大容量ポータブル電源

地震・台風などの災害時に心強い「大容量ポータブル電源」は、普段使いで電気代の節約にも大きく貢献します!知らなきゃ損!

2025.04.16
【PR】部分入れ歯のウソホント!?正しいケアって?

部分入れ歯のウソ・ホント!?

部分入れ歯が不安定・外れそうで怖い…そんなお悩みは「ケアの仕方」に原因が!?間違えている人が意外に多い、部分入れ歯の「正しい使い方」を専門家が紹介します!

2025.03.12
【PR】50代の尿トラブル大調査! なんと8割の方が……

50代で8割以上!?尿モレの悩み

ヒトに話しにくい尿トラブルの話…「私だけ?」とお悩みの方も多いのでは?50代ハルトモさん達にアンケートを実施し、実態を調査しました!

2025.04.10
認知症のご本人の財産や権利をどう守るか?

お金に困りたくない!

認知症になると、不動産の手続きや預貯金の引き出しが自由にできなくなります!事前に知らないと苦労する「法律」とは…

2025.04.08
ご家族の認知症介護の進め方、向き合い方

もし親が認知症になったら…

家族が認知症になった時、介護や通院など一体何を準備すればいいのでしょうか?「もしも」の場合のスムーズな対応を解説!

2025.04.04
【PR】飽き症でも、ゼロから英語が話せるようになったワケ

ゼロから英語が話せる!

飽き症さんでもOK!たった60日で英語が苦手な人でも英会話ができるようになると話題の「インド式英会話」をご存知ですか?無料体験セミナー実施中です!

2025.02.05
おひとりさま女性のソロライフに備えよう!「おひとりさま老後」の資産運用

老後資金、こんなに要るの?

未婚に限らず、離婚・死別などで誰しも「おひとり様」になる可能性が。一人で生きていくための「お金の準備」は出来ていますか?

2025.03.18
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

お金のこと、なんでも無料相談

資産運用、相続、ローンまで!お金の「よくわからない」をプロに気軽に相談できる♪

2024.12.17
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17
「ひょっとして認知症かも」と心配になったらどうすればいい?(後編)

認知症の分かれ道!41%が…

認知症1歩手前「MCI(軽度認知障害)」と診断された場合、最大41%の方が健常な状態に戻ることが分かっています!認知症を「発症させない」ためにすべき事とは…?

2025.04.14
物価高の今こそ考えたい!インフレ時代に「資産運用」ってどうして必要なの?

本当に必要な「お金の準備」

物価が急激に上昇している今こそ、将来に向けて「お金の準備」が必要です!年金や退職金に頼らない、資産形成を進めるには?

2025.04.18

ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

「奇跡の60代!木村友泉 大人のリンパケアLesson」横隔膜をゆるめる動き