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- 女優・松嶋菜々子!大沢たかおのプレッシャーに屈せず
女優として常に第一線で活躍している松嶋菜々子(まつしまななこ)さん。年齢を重ねて変化した女優としての生き方、また仕事と家庭の両立など、大沢たかおさんと夫婦を演じた最新作「AI崩壊」の裏話とともにお届けします。
撮影現場の空気が、役作りに大きな効果を発揮する
![松嶋菜々子さん](https://halmek.co.jp/media/uploads/26f22032a66146eccea9f2deb304400b1581041872.7893.jpg)
松嶋菜々子さん出演の最新作は、サスペンス超大作「AI崩壊」。10年後の未来の日本を舞台に、天才科学者の夫・桐生(大沢たかお)と共に医療AIを開発する桐生の妻・望役を演じています。夫婦で開発に成功したにもかかわらず、病に侵されてしまう望という役について、また女優の仕事や家庭について松嶋さんにお話を伺いました。
――映画「AI崩壊」はサスペンス超大作ですが、松嶋さん演じる望のシーンは、家族愛をしっかり感じさせます。志半ばで病に倒れてしまう役は、難しかったのではないでしょうか。どのように考えて撮影に臨まれたのですか?
松嶋菜々子
私は、いつも脚本をいただいたら作品の主題と物語全体をつかんでから、自分の役割について絞り込んでいきます。そうすると、自分の中に役がスーッと入ってくるので。その後、撮影現場での共演者の方々とのやりとり、監督とのお話、照明の明るさや美術セットなど、現場の空気を大切にして「こういう世界の中で望は生きているんだ」ということを感じてお芝居に繋げています。
「AI崩壊」で私のシーンはそれほど多くはありませんが、現場で感じたことを大事にしていました。
![松嶋菜々子さん映画](https://halmek.co.jp/media/uploads/2dc2182e065df059d0cff77114bf3e131581042047.8184.jpg)
――生死をさまよう役というのは、精神的につらくなかったですか?
松嶋菜々子
死は誰にでも平等に訪れるので、死を通して、その役や周辺の人々の思いを表現できますし、死が作品を大きく左右することもあります。生死をさまよう役でも、私自身はそれほど精神的なダメージを受けることはありません。
けど、人がめったに経験しない場面、例えば警察に拘束されてしまうシーンなどは精神的に疲れることがありますね。手錠をはめられるシーンなど、決して1日中付けているわけではないのに、やはりいい気持ちはしないです。頭ではフィクションだとわかっていても、体は恐怖を感じて緊張するみたいです。
大沢たかおさんのプレッシャーは松嶋さんに通じなかった?
![松嶋菜々子さん](https://halmek.co.jp/media/uploads/28d47cfc224722db607a2df5c7caff4b1581042164.5836.jpeg)
――夫の桐生役の大沢たかおさんから、松嶋さんに「夫婦のシーンは重要だから」とプレッシャーをかけたというお話を聞きました。
松嶋菜々子
そうなんですか? 私、プレッシャーをかけられていたんですね、全然気が付きませんでした(笑)。
これまで大沢さんとは何度も共演していますが、撮影の合間に、お仕事の話をしない方なんです。もちろん、情熱を持ってお仕事に取り組まれていて、決して妥協しない信念のある俳優さんだということはわかっていますが、普段は「最近、何やってるの?」とか「この間○○にいたでしょ、見たよ」とかお話するんです(笑)。そんな他愛もない会話や冗談で常に場を和ませてくださる方です。
夫婦のシーンについても、たしかにお話はしました。したけれど、いつもの大沢さんの楽しいノリだったので、そんなに本気でおっしゃっていたと思いもしませんでした(笑)。
――良い雰囲気の中で撮影していたのですね。だから、家族の空気がきちんと表現されていたのだと思います。桐生や娘の中には望がいつも生きているという、彼女の存在感を映画から感じることができました。
松嶋菜々子
望は、夫と共同開発した医療AIの許可を生きている間に得ることができませんでした。けれど、人々が幸せになれるようにと科学者として必死に研究に没頭してきた女性です。そして、同じくらい家族にも尽くしてきた女性なんですね。私は、夫の桐生を通して伝えた娘へのメッセージこそ、望がいちばん伝えたかったことだと思っています。
脚本を読んだときから、この「もうプログラムは書かなくていいから。心とたくさん向き合ってあげて。」というセリフが一番大切な言葉だと感じたんです。私自身とても共感できたので、この映画を見てくださるみなさんにこの言葉をきちんと伝えられたら、望という女性は、この映画の中で生き続けることができると思いながら役を作り上げていきました。
結婚や子育ての人生経験が役の幅を広げてくれる
![松嶋菜々子さん](https://halmek.co.jp/media/uploads/7184dd7574ed3ab89a06af7b967ee43d1581042317.159.jpg)
――松嶋さんは第一線の女優としてキャリアが豊富ですが、これまで結婚したり、母親になったりと人生でさまざまな経験をされていますよね。そういった経験によって、やりたい役が変わったり、選ぶ役に変化があったりということはありますか?
松嶋菜々子
それは多少ありますね。やはり結婚、子育て、環境の変化など、経験を積むことで、演じられる役の幅は広がりますし、その役の心情を想像しやすくもなります。
けどその反面、この役は私に合っているのか、合っていないのか。合っていなくても、そのギャップを新鮮に感じてもらえるだろうか……など、演じる役について深く考えるようにもなりました。
やはりみなさんの中に「松嶋菜々子のイメージ」があると思うので、役の幅が広がると同時に「演じてみたいからやる」ではなく「私が求められているのは何だろう」と、その役の影響力などについて深く考えるようになりました。そこは大きな変化だと思います。
松嶋菜々子(まつしま・ななこ)プロフィール
1973年生まれ、神奈川県出身。96年NHK連続テレビ小説「ひまわり」のヒロインに抜擢され、97年『恋と花火と観覧車』で映画デビュー。以降、映画、ドラマなど多数の作品に出演している。主な出演作は『リング』(98)『ホワイトアウト』(2000)『眉山(びざん)』(2007)『祈りの幕が下りるとき』(2018)。ドラマ「GTO」(1998年フジテレビ)「救命病棟24時」(1999年フジテレビ)「やまとなでしこ」(2000年フジテレビ)「家政婦のミタ」(2011年日本テレビ)連続ドラマW「頭取 野崎修平」(2020年WOWOW)など。夫は反町隆史氏。
■『AI崩壊』
2020年1月31日(金)全国公開
監督・脚本:入江悠(『22年目の告白―私が殺人犯ですー』)
出演:大沢たかお 賀来賢人 岩田剛典 広瀬アリス 髙嶋政宏 芦名星 玉城ティナ 余 貴美子 松嶋菜々子 三浦友和
(c)2019映画「AI崩壊」製作委員会
取材・文=斎藤香 写真=窪徳健作 編集=鳥居史(ハルメクWEB)
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