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肌トラブルや毛穴を広げる可能性も!NGケアに要注意
角栓をピンセットで抜くのはNG!正しい毛穴ケア方法
うるおい皮ふ科クリニック 院長
豊田雅彦
公開日:2022.01.31
更新日:2022.08.03
角栓をピンセットや毛抜きなどで引き抜くケア方法は、肌に負担を与えてしまうNGなケア方法です。きれいにするどころか毛穴を広げ、余計に皮脂や角片を詰まらせる原因となることも。角栓の正しいケア方法について医師監修のもと詳しく解説します。
角栓をピンセットなどで抜くのはNG!
きれいにしても、いつの間にか詰まっている、鼻の角栓。角栓が目立ってくると、ついつい押し出したりして、自分で除去したくなってしまう人も少なくないようです。
楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングなどの通販サイトで、角栓を押し出したり、引き抜いたりできる角栓除去専用のピンセットや、医療用のピンセットなどが販売されているのを、見かけたことがある人もいるかもしれません。
しかし、角栓をピンセットや毛抜きなどを使って抜くのは、おすすめできないケア方法です。肌をきれいにするどころか、肌にダメージを与え、炎症やニキビなど肌トラブルを引き起こす原因となることもあります。さらに、毛穴に刺激を与えることで、角栓がより大きくなるといった悪循環に陥る結果にもなり得ます。
小鼻の周囲の皮膚は非常に敏感。ピンセットで無理に押し出したり、引っ張ったりすると肌に負担がかかり、色素沈着やシミ、シワの要因になります。
角栓ができる原因・メカニズム
角栓とは、毛穴に皮脂と剥がれた角質の破片が混ざりあった塊が詰まったもののこと。皮脂は毛穴から分泌されますが、角栓が毛穴を塞ぐと、皮脂のスムーズな排出が妨げられてしまいます。すると、角栓のポツポツや毛穴の黒ずみができ、いちご鼻や黒ずみ毛穴、角栓毛穴(詰まり毛穴)などと呼ばれる状態になるのです。毛穴が塞がれるため、毛包内部に存在するアクネ菌が貯留した皮脂を栄養として繁殖し、炎症ニキビに進行してしまうこともあります。
ピンセットで角栓を抜くと、すっきりして気持ちいいと感じるかもしれませんが、一度抜いてもまた角栓詰まりは起こります。
ダメージを与えることで逆に皮脂が過剰に分泌され、角栓が悪化してしまう可能性もあるため、毛穴をきれいにしたいのであれば、これから角栓が詰まらないように予防ケアをすることが大切です。
ここからは、角栓ができる原因やメカニズムについて詳しくご紹介します。
過剰な皮脂分泌
ベタつきやテカリ、メイク崩れの原因にもなる皮脂は、汗と混ざることでクリームのように肌表面で広がり膜を張って、乾燥や紫外線、細菌の侵入などから肌を守る働きも果たしています。
しかし、皮脂の分泌が過剰になるとスムーズに排出されず、毛包の常在菌であるアクネ菌により皮脂が成分変化し、それが毛穴の出口の角質を刺激し、毛穴を押し広げたり、詰まらせたりする原因に。ここに角質の破片や産毛などが混ざり合うと、角栓になります(炎症を伴わないニキビ=面皰ともいう)。
角栓が黒く見えるようになるのは、角栓が空気に触れた結果、活性酸素の影響で酸化したことが原因です。皮脂の分泌量は人によっても違いがあり、もともと体質的に皮脂の分泌量が多い人もいます(脂性肌)。
ターンオーバーの乱れ
毛穴は本来であれば、小さいうちに自然に排出されていきます。それが毛穴を塞ぐほどの大きな角栓となってしまうのは、肌のターンオーバーの乱れが原因です。
本来は新陳代謝によって排出されるはずの角栓が、ターンオーバーの乱れによって毛穴に留まり続け、そこに角質の破片や皮脂、汚れなどが加わることでどんどん大きく、硬く、毛穴から抜けにくい状態になっていきます。毛穴の出口の角質が変性した皮脂の影響を受け、ターンオーバーの乱れを生じた結果、毛穴詰まりの原因となるわけです。
なお、ターンオーバーとは、表皮の深い層(基底層)で生まれた細胞が表面の層まで押し上げられていき、最終的に垢となって自然に剥がれ落ちていく新陳代謝のこと。20代のターンオーバー周期は平均28日ほどですが、加齢によって周期は長くなり、60代では90日ほどになるといわれています。
ターンオーバーを乱す原因には以下のようなものがあります。
- 紫外線
- 間違ったスキンケア
- 栄養不足・食生活の乱れ
- 過度の飲酒
- 睡眠不足
- ストレス
- 冷え
- 喫煙
- 活性酸素
ターンオーバーの乱れは角栓ができやすくなるだけではなく、乾燥やシワ、たるみなどを進行させる原因となることも。
洗い残し・お手入れ不足
メイクや肌の汚れが残っていると、角栓ができる原因になります。顔の上の汚れは、その日のうちに落とすことが大切です。
メイクをした日は、洗顔だけではなく、クレンジングを使ってしっかり汚れを落とす必要があります。洗顔料は古い角質層や皮脂汚れを落とすことはできるものの、化粧品に含まれる油性成分までしっかりと落とし切ることはできないためです。
メイクと馴染む成分が入ったクレンジングを使い、メイクをきれいに落としてからスキンケアを行うといいでしょう。
角栓のNGケア方法
角栓の白いポツポツや、いちご鼻の黒ずみはどうしても気になってしまうもの。しかし、間違ったケアをすると、きれいになるどころか余計に悪化させてしまう可能性もあります。
正しいケアのためにも、角栓のNGケア方法をチェックしていきましょう。
角栓を押し出す・引っ張る
角栓をピンセットや毛抜きなどで抜くケアもNGですが、押し出すケアも同じくNGです。指や爪で無理やり角栓を押し出そうとすると、圧迫や摩擦によって肌がダメージを受けてしまいます。場合によっては、さらに毛穴の開きを悪化させてしまうケースも。肌への強い刺激により毛穴が炎症を起こしたり防御反応を生じる結果となり、角質が蓄積してさらに硬い角栓を形成してしまうのです。
洗顔の後、表面に少し飛び出している角栓を軽く指で押して取る程度であればOKですが、指で強く圧迫して角栓を絞り出すようなケアはやめましょう。
過剰な洗顔・スキンケア
必要以上に何度も洗顔するなど、過剰なスキンケアは肌に必要な潤いまで奪ってしまい、乾燥を招くことに。肌が乾燥すると皮脂の過剰分泌を引き起こすこともあり(インナードライ肌)、皮脂のベタつきが気になる場合でも、1日に何度も洗顔するのはNGです。
また、角栓を除去する角栓パックも周囲の肌の負担になるため、使い過ぎないことが大切。商品によっても推奨されている使い方や頻度は異なり、適正回数を守って使うのが基本です。角栓パックの後にはしっかりと保湿して、肌に潤いを補給しましょう。
ゴシゴシこする
角栓や黒ずみを除去するために手などでゴシゴシこすると、必要な皮脂まで落ちてしまいます。また、毛穴まわりの角質層が乱れることで肌のバリア機能の低下を招き、乾燥を引き起こす原因に。
肌を摩擦すると色素沈着が起きることもあるため、洗顔やクレンジング、スキンケアなど肌に触れるときはこすらないことを心掛けましょう。
保湿をしない
肌の乾燥は、ターンオーバーのサイクルを乱してしまう原因になります。角質がスムーズに排出されなくなり、毛穴に詰まって角栓になってしまうため、季節を問わず一年中、保湿はしっかり行いましょう。化粧水や美容液などで水分を補給し、乳液やクリームなどを使って油分で保護し乾燥を防ぎましょう。
角栓の正しいケア方法
角栓をピンセットなどで引き抜くケアは、肌への負担になるため、おすすめできません。ここからは、角栓の正しいケア方法をご紹介します。
食生活を見直す
もともと皮脂の分泌が多い人や、スキンケアを見直しても角栓が改善しない人は、食生活を見直してみましょう。
唐揚げや天ぷら、フライドポテトなどの揚げ物、甘いお菓子など脂質・糖質の多い食生活は、皮脂の主成分の一つであるトリグリセリドを増やすため、皮脂の過剰分泌の原因になります。表皮のターンオーバーの乱れを整える「オメガ3系の油」(エゴマ油、亜麻仁油など)を意識的に多く摂取する食生活が理想的です。
肌に良いビタミン(ビタミンA, C, E など)や、食物繊維を摂取できる野菜や発酵食品を積極的に摂取し、腸内環境を整えることも肌に良い影響を与えます。
生活習慣を整える
生活習慣の乱れは、さまざまな肌トラブルを引き起こす原因です。
肌は、人が夜眠っている間に分泌される成長ホルモンによって作られます。ターンオーバーを整え、肌をいい状態にするためにも十分な睡眠を取りましょう。
保湿をしっかり行う
皮脂量の多い人の場合、洗顔後に化粧水をつけただけでも潤って感じるかもしれません。しかし、油分は足りていても水分が不足していることがあるため、保湿ケアで水分を油分のバランスを整えましょう。
化粧水をつけるときは、コットンでこすったり、パッティングなどで肌を叩いたりするのは避け、優しく手のひらで浸透させていきます。乾燥が気になる部分には、丁寧に重ねづけしましょう。
ホットタオルを使ったクレンジング
濡らしたタオルを500〜600Wのレンジで30秒ほど温めてホットタオル(蒸しタオル)作り、やけどしない熱さか確かめてから顔に載せて3分ほど置きます。
こうして顔や鼻の毛穴を開かせ、ほぐしてから洗顔やクレンジングを行うと、角栓の汚れが除去しやすくなります。角栓のふやけ過ぎはさらなる炎症の火種となることもありますので、適度に行うように心がけましょう。
ピーリング
スペシャルケアとして、ピーリングも角栓ケアに効果的です。ピーリング商品にはさまざまな種類がありますが、肌への負担を考え、ジェルや石鹸など、優しくケア角栓ケアできるものを選ぶのがおすすめです。
ピーリング後は肌が通常よりも薄くなり、水分を保持する力が弱くなるため、スキンケアでの保湿はいつも以上に念入りに行いましょう。肌質にもよりますが、ピーリングを毎日行うことは肌への負担が大きくなるため、できれば、翌日メイクする必要がない日のみに行うなどとすると、肌に負担をかけずに済みますよ。
収れん化粧水で引き締め
収れん化粧水とは、肌の引き締めや皮脂分泌を整える効果のある化粧水のことです。ケアできれいにした角栓が再びできてしまわないように、収れん化粧水を取り入れてみるのもおすすめです。皮膚に刺激を感じた場合は使用を控えましょう。
編集部おすすめ角栓ケアアイテム
ここからは、ハルメクWEB編集部おすすめの角栓ケアアイテムをご紹介します。
WHITE ピーリングジェル
「WHITE ピーリングジェル」は、皮膚に重なった角質を丸め込み、毛穴ケアをしながらしっかり美白(メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ)できるピーリングジェル。肌の炎症を抑えるグリチルリチン酸2K、保湿成分のレモンエキスやシルバーパイン果実エキス、ヒアルロン酸Na-2を配合しています。毎日使えるほどマイルドで、手間なく、つるつるのお肌に。
エリクシール ホワイト トーニングローション
「エリクシール ホワイト トーニングローション」は、毛穴のひとつひとつをキュッと引き締める、薬用収れん化粧水。余分な皮脂を吸着するパウダーが配合されているので、ベタつきを抑え、メイク崩れを抑えて、さらさらで透明感ある肌に保ってくれます。メラニンの生成を抑え、シミ・そばかすを防ぐ効果もあり、美肌のために角栓ケアに取り入れたい化粧水です。
角栓は日頃のケアの積み重ねが大切
気になる鼻の角栓は、ついついピンセットや毛抜きで引き抜いたり、指や爪で押し出したくなったりしてしまうかもしれませんが、周囲の肌にダメージを与えることになります。毛穴を広げてしまう可能性もあり、注意が必要なケア方法です。さらに、炎症を生じたり、赤ニキビへと進展した場合は、皮膚科専門医を受診して下さい。
一度ピンセットで角栓を引き抜いたとしても、また毛穴に皮脂や角質の破片が詰まれば、再び角栓はできます。ピンセットなどで無理に引き抜くより、角栓が詰まらないよう、予防ケアをコツコツ続けていくことが大切です。
※記事内の価格は2021年1月30日時点のAmazonのもので、すべて税込です。
監修者プロフィール:豊田雅彦さん
とよだ・まさひこ 医学博士。皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)。アレルギー専門医(日本アレルギー学会認定)。
うるおい皮ふ科クリニック院長。富山医科薬科大学(現在は富山大学)医学部卒業、1994年から2年半、米国ボストン大学医学皮膚科学教室に留学し、皮膚老化や神経などの研究を行う。2002年と2004年の国際皮膚科学会で、それぞれ臨床部門と研究部門の最優秀賞を単独受賞する。現在までに2000以上の医学論文・医学専門書を執筆。
また、国内外で、最も多い年で年250回以上の講演会・学会発表・保健所指導を行う。
2005年、千葉県松戸市に、うるおい皮ふ科クリニック(皮膚科・美容皮膚科・漢方皮膚科・アレルギー科・形成外科)を開業。
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