50代からの女性のための人生相談・68

人生相談:無気力な毎日…夢中になれる趣味を探したい

公開日:2022/04/18

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「50代からの女性のための人生相談」は読者のお悩みに専門家が回答するQ&A連載。今回は57歳女性の「気力が湧いてこない」というお悩みに、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く住職・名取芳彦さんが回答します。

人生相談:無気力な毎日…夢中になれるものを探したい

57歳女性の「気力が湧いてこない」というお悩み

「気力が湧いてこない」というお悩み

3人の子どもが独立し、夫は単身赴任中。親は数年前に看取りました。

新型コロナウイルスの影響でパート勤務が減る中、一人で毎日生活していますが、気力が湧いてきません。たくさんある時間が虚しいと感じています。

友達と電話やLINEで連絡を取り合ったり、いろいろな本を読んだり、散歩したり、趣味で続けている水泳をしたりしていますが、一人で何か向き合えるものがないか模索したいと思っています。でもぼーっとしてしまいます。

ぼーっとしてしまうのも悪くはないと思いつつ、何かを探したいと葛藤しています。

(57歳女性・いるかさん)

名取さんの回答:自分が必要とされることを探すのも一つの手

手が千本もあるという千手観音(せんじゅかんのん)は、自分のために使う手は一つもなく、すべての手を他の人のために使うといわれます。誰かの役に立てることは、自己存在の大きな意味にもなるでしょう。

お子さんたちが自立し、単身赴任中のご主人にも手がかからず、ご両親のケアも仏様にバトンタッチした今は、いるかさんをわかりやすく必要とする人がいなくなってしまった状態でしょう。家族のために生活することが大きな生きがいだったし、支えだったのに、その土台が大きく揺らいで、手を持て余しているのかもしれません。
 
そこで提案です。やみくもに自分でできることを探すのではなく、自分が必要とされることを探してはいかがでしょう。

自分が必要とされることを探すのも一つの手

私の知り合いの声優さんは、「役者は必要とされなければ仕事ができません。だから、自分から動くことにしました」と、ファンのために自主公演を旗揚げしました。

いるかさんの場合なら、お子さんたちやご主人に料理を作って届けてあげるのも一つです。「助かった」「おいしかった」という言葉だけでも、やりがいや生きがいにつながります。ある意味でサービスの押し売りかもしれませんが、家族なら上手に受け取ってくれるでしょう。

あるいは、ボランティア活動に関われば、いるかさんを必要としてくれる人がそこにいるでしょう。自治体のホームページに募集案内があると思いますから、一度調べてみるといいかもしれません。ボランティアに関わる気力も湧かないなら、今はボランティア活動を「最後の切り札」として、残しておけばいいと思います。

ちなみに私は、誰かのために何かやろうとするとき、この年まで生かしてもらったご恩返しだと考えて気力を奮い立たせ、重い腰を上げるようにしています。

人生が趣味と考えれば、ぼーっとしている時間も趣味の一環

一方、誰かのためにならなくても、一人で向き合えるものを持つのは、心の大きな支えになります。

アートの専門的な教育を受けていない人が、発表を考えずに自由に制作した作品は“アール・ブリュット”と呼ばれ、日本でも注目を集めています。

それらの作品に刺激を受けた私は、コロナ禍でも一人でできる、自分の好きなことをしてみようと考えました。そこで、小さなスケッチブックを使って手描きの「言いたい放題地蔵日めくり」を作り始めました(私の場合は発表を前提にしています)。すでに300冊が完成し、楽しいライフワークになりそうです。

「言いたい放題地蔵日めくり」

一人で向き合える趣味を探す手掛かりは、大型書店の趣味コーナーにあります。書棚の隅から隅までご覧になることをおすすめします。「こんな趣味があるのか」とびっくりしたり、琴線に触れるような分野がきっと見つかります。

“趣味がないのは寂しい人”という同調圧力が働いているためでしょうか、恥ずかしそうに「私は無趣味なんです」とおっしゃる方がいます。

かく言う私も、自分のための、自分一人に向き合った趣味と呼べるものはありませんでした。「無趣味で結構」と開き直ることもできますが、趣味を聞かれて「ありません」と答え続けるのも癪なので、50歳を過ぎてからは「人生そのものが趣味みたいなものです。生きているのが趣味です」と答えるようになりました。

そのように考えれば、人生の中の寄り道や回り道も、ぼーっとしている時間も、すべて趣味の一環です。

自分が必要とされることを探しながら、書店の趣味コーナーに足を運び、生きているのが趣味かもしれないと思いつつ、今は気力が湧いてくるのを楽しみにして、じっと待っていればいいと思います。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

回答者:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)など、著書多数。

構成=渡邊詩織(ハルメクWEB)

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