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- 今も憧れ!ココ・シャネルの「香り立つエレガンス」
「ハルメク」でエッセイ講座を担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、ファッションデザイナーの「ココ・シャネル」。ファッション革命を成し遂げたシャネルの、時代に翻弄されながらエレガントに生きた姿とは…。
好きな先輩「ココ・シャネル」さん
1883-1971年 ファッションデザイナー
フランス生まれ。母親と死別し、孤児院や修道院で育つ。1910年に開いた帽子専門店「シャネル・モード」にはじまり、ブランドを確立。戦中戦後の15年間ファッション界から離れ、54年に復帰した。
隠そうとしても内面から香り立つ「エレガンス」
「ココ・シャネル」(フランス語でCoco Chanel)という名前が、わたしにはそも短いものがたりのように思えます。
ファッションデザイナー。シャネルNo.5。シャネルスーツ。特徴的なショルダーバッグ(マトラッセ)……。
考えてみると、香水No.5には縁がなく、シャネルスーツにも袖を通したことがありません。けれどそれらは常に憧れの対象として、存在していたのです。
わたしが憧れていたのは、おそらくエレガンス。その正体はいまもってはっきりとはわかりませんが、内面と関わりがあり、隠そうとしても香り立つのものだと思えます。
シャネルが提唱した自立した女性の哲学
さて「ココ・シャネル」というものがたりを、ここで少しばかり繙(ひもと)いてみましょう。
19世紀、欧米の女性の装いと云(い)えばコルセットでからだを締め上げるスタイルでした。『風と共に去りぬ』を映画で観たとき、主人公スカーレット・オハラの腰を侍女のマミーが締め上げコルセットをつけるシーンで、子どもだったわたしは仰天しました。ああ、この時代のアメリカに生まれなかったのは幸いだわと呟いたのです。
シャネルスーツが誕生したのは20世紀半ばでした。イギリスの紳士服の布地、仕立てを応用した、襟のないカーディガンスタイルです。女性服にポケットをつけたのも、画期的でした。シャネルが提唱した自立した女性の哲学が息づいていました。
ファッション革命を成し遂げたシャネルでしたが、生き方がじつに個性的でおもしろい……。彼女のまわりに存在した人びとが、その個性を際立たせているのです。
ミシア・セール(友/サロンの女王)。パブロ・ピカソ(画家、彫刻家)。ジャン・コクトー(芸術家)。ルキノ・ヴィスコンティ(映画監督、劇作家)。
そしてシャネルの死後、第二次世界大戦中ドイツ占領下のパリでナチに協力していた事実も明らかになっています。
シャネルはそれをどう考えていたでしょうか。エレガンスからもっとも遠い戦争について、ひとの存在と人生をコルセットどころではない締め上げ方をする戦争について、悩み苦しんでいたはずです。
ファッション界から離れていた大戦後、70歳(1954年)でカムバックを果たしたことを書き添えておきます。
随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。
※この記事は雑誌「ハルメク」2018年7月号を再編集し、掲載しています。
>>「ココ・シャネル」さんのエッセイ作成時の裏話を音声で聞くにはコチラから
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