50代からの夫婦関係、見つめ直して幸せ老後に#12

熟年夫婦の介護問題!事前に話しておくべきことリスト

公開日:2021/10/16

更新日:2022/04/18

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50~60代の女性150人に聞くと、夫婦互いの介護について不安視する人が多い結果に。そこで今回は介護・暮らしジャーナリスト・太田差惠子さんに、将来の介護の不安を減らすために事前に話しておくべきことについて聞きました。

熟年夫婦の介護問題!事前に話しておくべきことリスト

自分たちの介護:8割以上の人が「問題」「不安」に思っている!

自分たちの介護:8割以上の人が「問題」「不安」に思っている!

2021年6月、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」の女性150名(50~54歳=14人、55~59歳=32人、60~64歳87人、65~69歳17人)を対象に「夫婦関係に関するインターネットアンケート」を実施しました。

そこで、「今後、夫婦で話し合いなどによって解決したい問題はありますか?」と質問してみたところ、次のような結果となりました。※複数回答可 (有効回答人数: 129人)

(将来)問題があると感じているものは?(複数回答)

1位:お墓…34.1%
2位:実家や空き家について…28.4%
3位:家事分担(別紙参照)…21.7%
4位:自分たちの介護について…20.9%
5位:健康管理について…19.4%

(将来)「問題はないけれど、不安がある」ものは?(複数回答)

1位:自分たちの介護について…65.9%
2位:健康管理…45.7%
3位:老後のお金、年金について…39.5%
4位:相続について…35.7%
5位:家のリフォームや住み替えなど…34.9%

という結果に。さらに、熟年夫婦は「自分たちの介護」について、問題だと感じている人・不安に思っている人を足すと、実に85%にもなりました。

墓・相続問題は夫婦で話しやすいが「介護」の話題は避けられがち

墓・相続問題は夫婦で話しやすいが「介護」の話題は避けられがち

ハルメクWEBの人生相談で、介護の問題に答えてくださっている、介護・暮らしジャーナリストの太田さん。これまで、多くの事例に接してきた経験から、

「お墓のこと、遺産相続のことは話し合いやすいのに、介護の話題は避けられがち。それは、自分が主導権を握って話がしにくいからなのでは」と言います。

「今の50代・60代の人たちは、まさに親の介護に直面している世代。自分自身の介護のことまで、頭が回らない、あるいは、今自分たちが親の介護に悩んだり困ったりしている。だから『子どもたちには負担をかけたくない』と考えるのも自然なことかと思います」

その一方、年を取らない人はいません。介護は誰にとっても、いずれは訪れる問題です。

「今介護を受けていらっしゃる親世代の方たちだって、子ども世代に負担をかけたいとは思っていなかったはずなんです。しかし、現実には、介護離職をする人は年間10万人もいます。介護にはお金も、労力も、時間もかかる。

中には、親の介護のために、夫婦仲が危うくなるケースだってあります。これから介護を受ける世代は、その現実を受け止めた上で、少しでも備えておけることを考えておく必要があるでしょう」

人間は誰しも、いつかは一人。夫婦どちらかが介護を要する状態になったら、他方が面倒をみることになります。

そこで太田さんに、何から手を付けたらいいのか、どう考えたらいいのか、アドバイスしていただきました。

介護に関する将来の不安は、具体的に話し合うことで解消する

介護に関する将来の不安は、具体的に話し合うことで解消する

いざ介護となったときに、配偶者の、あるいは子どもの負担になることは何か具体的に考えてみましょう。まだ元気なうちに自分たちの希望を確認し、準備しておくことで介護をする人の心理的負担はかなり軽減されます。また、その希望を親戚や周囲の人たちにも周知して、介護をする人が責められないようにしておくことも大切です。

夫婦で話し合っておくこと1:いつまで・どこで・どう暮らす?

今暮らしている家には、いつまで居られるのか・居たいのか。できるだけ長く暮らし続けたい場合は、リフォームを考える必要があるか。あるいは、住み続けられない場合はどこに住み替えるのかなど、お互い思っていることを洗い出して検討しましょう。

【例】
妻の考え:現在60歳。そろそろ階段がつらくなってきたし、リフォームまでしてこの家に住み続けたいとは思わない。この家がこの先30年も40年ももつとは思えないし、その予算でどこかに住み替えたい。

夫の考え:現在62歳。がんばって働いて手に入れたこの家。どちらが先に要介護になるかわからないが、僕はぎりぎりまで、この家で暮らしたい(だからリフォームして住みやすくしよう)。

「このような場合、リフォームと住み替えと、両方のメリット・デメリットをリストアップして、さまざまな面から検討する必要があるでしょう。妻が家に対して抱いている最大の不満は何なのか、その解決策はどう考えられるのか? 現状を整理して、おおよその目安をつけておくと、今後どんな対策が考えられるかも見通しやすくなります」(太田さん)

熟年夫婦で暮らす家のリフォームの検討例

熟年夫婦で暮らす家のリフォームの検討例

 現在の家の、どこに・どんな危険があるか。どんな対策が必要か考えましょう。

【階段】
・階段の手すりはあるか? ない場合は、取り付けを検討する
・階段の上り下り自体がつらい場合は、ホームエレベータや階段昇降機を取り付ける選択肢も。ただし、取り付けるだけのスペースと予算があるかどうかを確認する。

【トイレ】
・トイレは足腰が弱ったときに使いやすい状態か? 使いにくい場合は、和式トイレなら洋式にリフォームしておく。

【お風呂場】

冬、お風呂場や脱衣所、トイレは寒くないか? 寒い場合はリフォームや暖房の設置を考え、ヒートショック対策をする。トイレの場合は、小型のヒーターを置くなどの方法も。

【室内の動線】
・寝室、トイレ、玄関、廊下など、室内の動線に介助してもらうだけの空間的余裕があるか? ない場合は、片付けやリフォームを行い、介助をするための動線を確保する。

「万が一自宅で倒れたとき、いち早く気付くにはどうしたらいいのか。救急搬送したり、ベッドまで運んだりすることを考えて、動線のいい家にしておくことも大切です」(太田さん)

ポイント!介護のためのリフォームには助成金が出るかも

ポイント!介護のためのリフォームには助成金が出るかも

介護のためのリフォームについては、場合によっては自治体などから助成が受けられる可能性もあると太田さんは言います。

「夫婦どちらかが要支援1以上なら、介護保険で20万円まで住宅改修を行うことができます。2人なら40万円まで。自治体によっては、介護予防の観点から、介護保険とは別枠で住宅改修の助成しているところも」(太田さん)

介護保険でできる住宅改修の種類

※必ず、事前に地域包括支援センターやケアマネジャーに相談しましょう
1 手すりの取り付け
2 段差の解消
3 滑り防止や移動を円滑にするため等の床、または通路面の材料の変更
4 引き戸等への扉の取り替え
5 洋式便器等への便器の取り替え
6 上記1~5の各工事に付帯して必要と認められる工事

住み替えの検討例

住み替えの検討例

今ある家を引きはらって住み替える場合、どこへ行くのか。どんな家にするのかを考えましょう。

  • 住み替えはどこにするか? 現在住んでいる自治体にとどまるのか? 子どものそばに行くのか?
  • 賃貸にするのか・購入するのか(高齢になってからでは、賃貸が難しいケースもある)
  • どのぐらいの広さの家に? マンションか一戸建てか? あるいは高齢者住宅?予算はどのくらい?など

夫婦で話し合っておくこと2:施設入居は、いつ? どこへ?

夫婦で話し合っておくこと2:施設入居は、いつ? どこへ?

 「高齢者施設への入居は、誰が・いつ決断するか。その判断は、誰がするのか。高齢者施設への入居を否定的に考えたり、入居させることに罪悪感があったりする人はまだまだ多いと思います」と太田さんは指摘します。

  • 住み慣れた家で介護を受けたい(はず)
  • 施設に配偶者を押し付けたことになるのでは?
  • 配偶者の面倒も見ない、配偶者を見捨てた と非難されるのでは?

「こうした考えが根強くあると、施設に入居させることを決断する人はつらい思いをするかもしれません。本人の意思が汲み取れなくなってから(認知障害が出始めてから)施設に入ることになると、子どもや配偶者は申し訳なさを感じてしまいがちです。

また、夫婦間の介護で何とかなると思っていても、限界はあります。例えば、夫が急に脳梗塞で倒れ、要介護状態になったとします。 

後遺障害も残り、子どもたちは妻(子どもたちから見たら母)の負担を心配し施設への入居をすすめたとしても、『いいわ。私が何とかするから』と断り、がんばってしまう。お母さんががんばる、と宣言した場合は、子どもたちも手伝わざるを得ない。こうして、子どもたちが巻き込まれてしまうんです」(太田さん)

次回も引き続き、「いつ」「どこの」高齢者施設へ入居するのかについて、夫婦間で話し合いやすいように具体的に説明をしていきます。

太田差惠子さんのプロフィール

太田差惠子さんのプロフィール

おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト。『子どもに迷惑をかけない・かけられない!60代からの介護・お金・暮らし』『高齢者施設お金・選び方・入居の流れがわかる本』(ともに翔泳社)など著書多数。

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浅野裕見子

あさの・ゆみこ フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。AERAや週刊朝日、宝島社ムックなどに執筆中。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子どもの頃からの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹と暮らす。日本BBQ協会上級インストラクターでもある。

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