50代からの夫婦関係、見つめ直して幸せ老後に#13

熟年夫婦の介護問題!施設入居の希望をまとめておこう

公開日:2021.10.16

更新日:2023.08.02

前回に続き介護・暮らしジャーナリスト・太田差惠子さんに、将来の介護の不安を減らすために夫婦間で事前に話すべきことについて伺います。今回は高齢者施設の入居の希望について具体的にしていきましょう。入居金額の目安など、読者の疑問にも答えます。

高齢者施設入居のタイミングを決めよう

高齢者施設入居のタイミングを決めよう

「いつかは施設に入る日が来るかも」「そうなったらどうしようか」など、夫婦で話し合っている人もいるでしょう。しかし「何をきっかけに」「どう決めたらいいか」まで、具体的に考えを進めておかなければ、何事も進みません。そこで、介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんの提案を見てみましょう。

「『もし、●●になったら、自宅を諦めて施設に入ろうね』と決めておくのです。その●●を、あらかじめ夫婦間で話し合っておくのがおすすめです」

例えばどちらか一方でも、「一人でトイレに行けなくなったら」。そして、その判断基準を、子どもたちや親族、周辺(友人など)にも周知しておく。親が決めておけば、子どもたちの葛藤も減り、心理的負担も軽くなります。夫だけ(妻だけ)が施設に行くことになっても、あらかじめ決めておいたこと、と言えば理解されやすくなります。

どんな高齢者施設にするのかを決めよう

どんな介護施設にするのかを決めよう

「夫婦のどちらかに介護が必要になったら、揃って施設に入居しよう」と決めるのは、「お勧めできません」と太田さん。

主な種類の施設

1~3は、介護保険で入れる施設です。★マークを記載している施設は、介護の必要度合いが進むと住まい続けられなくなる可能性があります。

1.特別養護老人ホーム

2.老人保健施設

3.介護医療院

4.有料老人ホーム(介護付き)

4.有料老人ホーム(住宅型)★

5.サービス付き高齢者向け住宅(介護型)

5.サービス付き高齢者向け住宅(住宅型)★

6.グループホーム★

7.ケアハウス(特定施設)

7.ケアハウス(一般型)★

「夫婦で入居できる高齢者施設といえば、サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)あるいは、住宅型有料老人ホームが多いのですが、これらの施設は住居の意味合いが強くて、介護の要素は低め。つまり要介護状態の夫と入居したら、妻にかかる介護の負担は大きくなります。サ高住は、その名の通り高齢者向けではあるものの、普通の『住宅』です。安否確認や見守りサービス、食事が頼めるなどのサービスが付帯しているものの、実情はあくまでも高齢者向けの賃貸住宅。

住宅型有料老人ホームも、住宅型、とついているように、提供されるサービスの内容は施設ごとに違います。要介護度が上がるとオプションの介護サービスが増えて費用がかさむ傾向に。場合によっては、もっと介護サービスの手厚い施設に移ることになります」(太田さん)

案ずるより、産むがやすし?施設見学で見えてくるものもある!

どんな介護施設にするのかを決めよう

 こうして書き出してみると、考えておかねばならないことは山ほど。「決めておきましょう」と簡単に言われても、何を基準に決めてよいやら? と戸惑う人もいるでしょう。

「不安に思うよりも施設見学に行ってみるなど、行動に移した方が早い場合もありますよ」(太田さん)

先に示したように、高齢者向け施設も今や多種多様です。そこで、夫婦ともに元気なうちから、見学して歩くのもよさそうです!

どこ(地域)の施設にするの?

「夫婦どちらかが、ふるさとに帰りたい、と希望している場合。ふるさとと、現在住んでいる土地とを比較して、最終的に今住んでいる場所を選ぶ人が多い印象です。自分のことをよく知ってくれている、かかりつけ医もいる。人間関係もある。使い慣れた店もある。細かいことのようですが、住み慣れた町にはメリットがたくさんあります」(太田さん)

施設に足を運んでみる

百聞は一見に如かず、とよく言いますが、高齢者向け施設についても足を運んで、自分の目で確かめるのが一番です。

「あまりにいろいろ種類もあって、規模も雰囲気もそれぞれ。始めは漠然とした印象しか持てないかもしれません。それでも、3軒、4軒と見て回るうちに、自分だったらどうしたい・こうであってほしい、という希望の指標ができてきます。

パンフレットだけではわからないことや、仕組みもわかるようになってきます。現在はコロナ禍の影響もあり、気軽に見学できない場合もあるでしょう。今はオンラインで見学できる施設もありますが、実際に見ることも欠かさないでください。それに、必ず、重要事項説明書をもらって、施設のケアの体制や料金などについてしっかり確認しましょう」(太田さん)

漠然とした介護の不安Q&A

施設にいろいろあることも、将来に備えて考えておいた方がいいこともあると、わかりました。とはいえ、それだけで不安が解消されるには、まだまだ道のりがあります。

ここからは、読者アンケート※で寄せられた、「将来の介護生活に向けての不安」のさまざまな声に答えていきます。
(※2021年6月、ハルメクのモニター組織「ハルトモ」150名(50~54歳=14人、55~59歳=32人、60~64歳87人、65~69歳17人)を対象に実施した「夫婦関係に関するインターネットアンケート」)

漠然とした高齢者施設の入居に必要な金額は?

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浅野裕見子

あさの・ゆみこ フリーライター・編集者。大手情報出版社から専門雑誌副編集長などを経て、フリーランスに。AERAや週刊朝日、宝島社ムックなどに執筆中。インタビュー記事やノンフィクションを得意とする。子どもの頃からの大の猫好き。現在は保護猫ばかり6匹と暮らす。日本BBQ協会上級インストラクターでもある。

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