将来の自分の安心につながる!

年金生活の不安を消す3ステップ。年間赤字への備え方

公開日:2020.02.26

更新日:2023.11.13

老後2000万問題、いつの間にか記憶のかなたに……。油断していると大変! 年金生活は、お金の使い方を現役時代とは変える必要があるからです。「知る」「書く」「確認する」の3ステップで不安を解消! 100歳まで安心な年金家計をつくりましょう。

一生お金に困らない年金家計
一生お金に困らない年金家計

教えてくれた人

深田晶恵(ふかた・あきえ)さん
1967(昭和42)年北海道生まれ。生活設計塾クルー取締役、ファイナンシャルプランナーCFP(R)認定者・1級FP技能士。『まだ間に合う!50代からの老後のお金のつくり方』(日経BP)など著書多数。

3ステップで不安解消!「知る」「書く」「確認する」!

年金生活に入ると、収入の少なさから、「ここにお金を使っても大丈夫?」と日々心配になってしまうものです。でも、「大丈夫。家計を把握すれば、その不安は拭い去れます」とファイナンシャルプランナーの深田晶恵さんは言います。

すべきことは、「知る」「書く」「確認する」の3つ。家計簿で行っていきます。

家計簿

ステップ1 知る
「年金家計は年金収入だけでは回せません。貯金を取り崩す生活です」と深田さん。まずは、1年間で取り崩してもいい金額を知ります。

ステップ2 書く
次に、年金収入と月々の支出を書き、収支を把握します。「手を動かして、実感することこそが重要」(深田さん)。

ステップ3 確認する
書き出したら、今の赤字額が大き過ぎないか確認します。「ここで家計の問題が浮き彫りに」(深田さん)。問題点を見直して、“お金が貯まる家計”にしていきましょう! 

年間赤字は65万円。不足分は貯蓄を取り崩す

総務省の2017年家計調査報告によると、年金で暮らしている夫婦の平均的な収入は251万円、支出は316万円。家計収支は、年間65万円の赤字です(下図)。

総務省「家計調査報告(家計収支編)」(2017年)より
総務省「家計調査報告(家計収支編)」(2017年)より

「現役時代には月々の不足分をボーナスで補てんしていた方も多いと思いますが、年金生活ではボーナスがありません。年金家計では、その不足分には、老後資金の預貯金を取り崩して充てることになります」と深田さん。

赤字は当然という前提で、100歳まで生きると想定して、我が家(子どもが巣立って夫婦二人暮らしを想定)は1年でいくら取り崩していいのかを「知る」ことが大事です。

いくら取り崩していいのかを「知る」ことが大事

1年間で取り崩せる金額はいくら?

そこで、100歳まで生きた場合、夫婦の老後資金から1年間で取り崩してもいい額を知りましょう。

夫婦の老後資金

最初に銀行預金など「我が家の金融資産」をすべて書き出します。その合計額を、上の計算式の「老後資金」とします。

次に、「いざというときのためのお金」を考えます。一生に一度必要かどうかのお金です。「病気に備えて夫婦で200万円と、今後家のリフォームや車の買い替えが必要ならそれらも計上します。介護費は、年金収入の中で賄う人が多いので計上しなくても」(深田さん)。

ここまでわかったら、「老後資金」から「いざというときのためのお金」を引いてみましょう。それを、100歳までの残りの年数(100-今の年齢)で割ります。出た金額が、今後「1年で取り崩していい金額」の目安です。

「年間で取り崩していい額の少なさに驚くことでしょう。あくまでも目安ですが、ここで危機感を持つことが重要」と深田さんは言います。

ちなみに、「我が家の金融資産」を洗い出した際に複数の口座を保有しているようなら、この機会に整理を。年金振込用、老後資金貯蓄用、取り崩し用の3つに分けるのがおすすめです。

次回は、「書くだけでお金が貯まるシート」と使い方を紹介します。

取材・文=井口桂介、大矢詠美(ともにハルメク編集部) 監修=深田晶恵
※この記事は、雑誌「ハルメク」2019年3月号を再掲載しています。

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