国民年金が満額にならないケースとチェックする方法は
2024.08.122024年07月15日
【全3回】国民年金満額受給のためにできること#1
50代以上は注意!国民年金を満額もらえない恐れが
実は今の50代〜60代前半の多くは、国民年金を満額受給できない恐れがあります。国民年金を満額もらうために、これからできる対応策を3回連続でお伝えします。まずは、なぜ満額もらえないかもしれないのか、その理由をお話しします。
教えてくれた人
社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー
望月厚子(もちづき・あつこ)さん
大手生命保険会社を経て独立。望月FP社会保険労務士事務所所長。年金事務所で相談員を務めるなど年金や労働等の相談業務、新聞・雑誌等への執筆、各種セミナー講師として活躍。厚生労働省社会保障審議会年金部会・専門委員会委員や成年後見人も務める。
満額もらうには40年間保険料を納付する必要あり
国民年金は基礎年金とも呼ばれ、日本に住む20歳から60歳までの人が強制加入する公的年金です。
国民年金のうち老後の備えとなるのが「老齢基礎年金」。
国民年金に10年以上加入すれば受給資格が得られ、65歳から老齢基礎年金が受け取れます。
年金額は保険料を納付した月数に比例して決まり、20歳から60歳までの40年間、つまり480か月の間、1か月も欠けずに保険料を納付すると満額の老齢基礎年金がもらえます(※第3号被保険者である妻の場合、妻自身は保険料の負担なく、第3号被保険者だった期間が保険料納付済期間として将来の年金額に反映される)。
50代以上の大半が満額もらえない恐れがある
2023年度の老齢基礎年金の満額は79万5000円(※生年月日が1956(昭和31)年4月2日以降の場合)、月額にすると6万6250円です。ところが50代以上のハルメク世代には満額に達しない人が大勢いると考えられます。
理由は1991年3月まで、20歳になっても学生だと国民年金への加入が任意だったからです。
1991年3月以前に20歳になっている人というと、生年月日が1971(昭和46)年3月末以前なので、現在52歳以上の大半の人が該当します。
例えば22〜23歳ぐらいで社会人になり国民年金に加入した人は(※勤務先で厚生年金保険に加入することで同時に国民年金にも加入する<20歳以上60歳未満の間>)、保険料納付期間が40年に2〜3年足りず、老齢基礎年金は満額より4万〜6万円程度少なくなります。
保険料納付期間が40年に満たないケースは他にもいくつかあります。
次回は引き続き、保険料納付期間が40年に満たないケースと、満額もらえるかどうかを確認するための「ねんきん定期便」のチェック方法について解説します。
取材・文=萬真知子
※この記事は、雑誌「ハルメク」2021年10月号を再編集しています。