片付け上手さんに学ぶ「捨てコツ&仕組み」#7

79歳で移住!物を1/3捨てて身も心も軽くなった

公開日:2021.12.22

更新日:2022.09.13

片付け上手さんに、捨てるテクニックと心構えを学ぶ特集です。第6回は、60歳から物を減らし始め、79歳で東京から石川県に移住した作家の竹田真砂子さんが登場。80歳と85歳が体力の境界線だから、その前に片付けられて良かったと語ります。

作家・竹田真砂子さんのプロフィール

大聖寺川沿いを、毎日散歩しています
大聖寺川沿いを、毎日散歩しています

たけだ・まさこ 
1938(昭和13)年、東京・牛込神楽坂生まれ。法政大学卒業。82年『十六夜に』でオール讀物新人賞、2003年『白春』で中山義秀文学賞を受賞。京都「鴨川をどり」など邦楽舞台作品の台本なども手掛ける。近著に、新田次郎文学賞受賞作『あとより恋の責めくれば 御家人大田南畝』『桂昌院 藤原宗子』(ともに集英社刊)、『美しき身辺整理 “先片付け”のススメ』(新潮文庫)などがある。17年10月、神楽坂から石川県加賀市に移住。現在、新潮社ウェブサイトに「竹田真砂子の加賀便り」を連載中。

79歳で移住!広さ半分以下の家に入る量に減らしました

新居の棚には、厳選した本と、家族の写真が飾られています。
新居の棚には、厳選した本と、家族の写真が飾られています

石川県加賀市の古い空き家をリフォームした、竹田さんのコンパクトな住まいは、床暖房が完備され、すっきりと片付き、所々に愛らしいぬいぐるみが飾られています。

2017年、79歳のとき、竹田さんは、生まれたときから住み続けた東京・神楽坂を離れ、加賀市に引っ越しました。

「神楽坂は便利で愛着がある街でしたが、人生は冒険だと思う私は、一度も住む場所を変えずに人生を終えていいのか、と自問自答いたしましてね。石川県は、私のデビュー作の挿絵を担当してくださった西のぼるさんの出身地で、以前イベントに呼んでいただいて以来ずっと、ご家族ぐるみでお付き合いいただいている場所でした」

他にも候補地を考えたものの、竹田さんも上演に関わった復曲能『敷地物狂』の舞台である加賀市の神社の近くに移住を決意。広さ半分以下の新居に入る量にするため約1年かけて本格的な片付けを進めます。 

戦争中、黒焦げになった父の桐だんすは江戸指物の名工に修理していただいて新天地に。「私の死後も当地で役立てていただくようお願いしてあります」
戦争中、黒焦げになった父の桐だんすは江戸指物の名工に修理していただいて新天地に。「私の死後も当地で役立てていただくようお願いしてあります」

もともと竹田さんは、59歳までは年を“取り込む”、60歳以降は年を“取り除く”ものと考え、還暦から物の片付けを開始。1万枚あった写真をシュレッダーにかけて1/10に、たんす3棹のきものは親戚などにあげて1棹の量にしました。

「69歳の頃、茶道具をご縁のあった市に寄付するなど物を減らしてきましたが、本は作り付けの本棚にぎっしり。79歳での片付けはひと苦労でした」と言います。かなりの量を数人の知人に引き取ってもらいましたが、最終的にはブックオフを活用いたしましたし、その他諸々の雑貨はリサイクルショップを利用しました。段ボールが足りずコンビニでもらったり、額に本をぶつけてけがをしたり。知人にも手伝ってもらいましたが、80歳を過ぎてからでは難しかったと思います」

60歳~還暦を迎えてから減らし始めたもの
戦時中、父が疎開先まで満員電車の中、持って来てくれた人形の鶴子ちゃん、額の中の写真、きものは、すべてお棺の中に入れる物です(死装束のきものは決めています)。

 

70代後半、最後の片付け。本を厳選、食器は一部だけ残し、79歳で転居
70代後半、最後の片付け。本を厳選、食器は一部だけ残しました

 

本格的な老い、病の前に片付けられました

お世話になっている神社の宮司さんと。「私が勝手に身元引受人と思っている方です」
お世話になっている神社の宮司さんと。「私が勝手に身元引受人と思っている方です」

「私も含め亡くなった母や周囲の方を見ていると、80歳と85歳が一つの境界線。それ以降は体力、気力がガクンと落ちると思います」と竹田さん。片付け後、加賀に持っていったのは、厳選した本と家族の写真、死んだら棺に入れてほしいというきもの、人形などです。

「この地に移住して5回目のお正月を迎えますが、ご近所の方に恵まれ、若い方と女子会をするなど、80代の今、身軽ですがすがしい毎日です。今後は、本当に書きたい作品に取り組みたいと思います」

竹田さんの物を片付けるコツ

大切なぬいぐるみは、捨てずに残しました。
大切なぬいぐるみは、捨てずに残しました

【1】大切な物から、行き先を考え始める
【2】リサイクルショップ、寄付など人脈やプロの力をフル活用する

■片付け上手さんに学ぶ「捨てコツ&仕組み」特集■

  1. 誰でもできる「捨てる決心」がつく3つのステップ
  2. 中山庸子さん5つの捨てコツ「損得で考えない」
  3. 捨て活プロ伝授!台所から始める無理なく捨てる仕組み
  4. 捨て活プロ伝授!冷蔵庫で実践「物を溜めないコツ」
  5. 一級建築士が教える!リバウンドを防ぐ収納術
  6. 60代ですべき片付けとは?【実家の片付け体験談も】
  7. 79歳で移住!物を1/3捨てて身も心も軽くなった
  8. 寄付・譲渡…社会に役立つ手放し方2つのポイント
  9. ハルメク厳選!死蔵品が社会に役立つ寄付先リスト5

雑誌「ハルメク」

女性誌売り上げNo.1の生活実用情報誌。前向きに明るく生きるために、本当に価値ある情報をお届けします。健康、料理、おしゃれ、お金、著名人のインタビューなど幅広い情報が満載。人気連載の「きくち体操」「きものリフォーム」も。年間定期購読誌で、自宅に直接配送します。雑誌ハルメクサイトはこちら

マイページに保存

\ この記事をみんなに伝えよう /

注目企画