片付け上手さんに学ぶ「捨てコツ&仕組み」#6

60代ですべき片付けとは?【実家の片付け体験談も】

60代ですべき片付けとは?【実家の片付け体験談も】

公開日:2021年12月22日

60代ですべき片付けとは?【実家の片付け体験談も】

片付け上手さんに、捨てるテクニックと心構えを学ぶ特集です。第6回は栄養管理士の本多京子さん。60代前半で実家の片付けを経験した本多さんは、家族に迷惑をかけないためにも自分の物を処分したそう。安心につながる一人暮らしの知恵も教わりました。

栄養管理士・本多京子さんのプロフィール

ほんだ・きょうこ 
1948年生まれ。医学博士・管理栄養士。実践女子大学食物学科卒業後、早稲田大学教育学部体育生理学教室研究員を経て東京医科大学で医学博士号を取得。日本体育大学児童スポーツ教育学部で「子どもの食と健康」を35年担当し、プロ野球などスポーツ選手の栄養指導などを行う。NHK「きょうの料理」などに出演し、栄養や食に関する著書は60冊を超える。

実家の片付けで実感!片付けは先延ばしにしてはいけない

たんすは処分し、物が取り出しやすい床下収納に。
たんすは処分し、物が取り出しやすい床下収納に。

本多京子さんが片付けに着手したのは、60代前半のことでした。夫が病に倒れて他界し、一人暮らしになり、老後のために家を建て直したことがきっかけでした。3階建ての一軒家を賃貸に出せるように各フロアが独立した住居に建て直し、生活拠点を1フロアにしたのです。

「居住空間を小さくしたので、かなり物を減らしました。さらに本棚や食器棚など背の高い家具は防災対策のために作り付けに。物を収納する箱自体が小さくなったことで30人分あった食器は6セットに、本は1/6の量に減らしました」と本多さん。

それからしばらくして父も他界。つらい出来事が続きましたが、残された母が住む家の片付けが大変で悲しみに浸る時間はなかったと言います。

「母は90歳を過ぎても3階建ての一軒家で一人暮らしでした。階段の上り下りはできていたのですが、家中が物であふれ、ごみ捨てがなかなかできずにいました。捨ててもいいかと母に聞いてもその判断能力がない。さらに『今に使うことがあるかもしれない』が口癖で、妹と二人で途方に暮れました」。

その後、母の施設入居が決まり本格的に家の中の物を処分することになりました。

「不要品の処分だけでもひと苦労でした。10年前に賞味期限が切れたペットボトルの水が数十本もあり、来客用の布団は10組、骨董品や重箱、大量のきもの……。不要品、ごみも入り交じっていました。しかも母は盗難対策として家のあちこちに現金を隠していたので業者に頼めなかったんです」

物を捨てる判断能力が衰えた母を見て、「年を取ると考えることが億劫になり、片付けも面倒になる。だからこそ、いずれそのうちに、と片付けを先延ばしにせず、自分ができるうちにやらないと周りに迷惑をかけるだけだ」と思ったと言います。

「以前使っていた物も“今”必要なければ“今後”使う機会は訪れません。まずは“今の自分の生活に合わせて必要な物”だけ残すことが大切です」

江戸時代の骨董品やブランド食器でも査定額は二束三文

江戸時代の骨董品やブランド食器でも査定額は二束三文

実家の片付けでは「中古品を売るとき、その時代の需要と供給で価値が決まる」ことに気付いたことも大きかったと本多さん。というのも、母親が集めた江戸時代の骨董品や漆器を業者に査定してもらったところ「中古品」だからと引き取り拒否。ブランド食器は美品にもかかわらず 500円の査定額でした。

「高いお金で買った物が二束三文にしかならず寂しく思うなら、人に譲るなり、役立ててくれる組織に寄付した方がいい」と思った本多さんは、食器や、母のきものは帯や小物とセットにして人に譲り、もらい手がない食器や雑貨は「ご自由にどうぞ」の看板と持ち運び用の紙袋をセットにして自宅前に並べました。

「今の時代、需要がない物を残しても家族は困るし、捨てるにもお金がかかります。人に譲るにしても、キレイな状態にするためには手間暇がかかります。実家の片付けで人に物をもらってもらうことがいかにエネルギーが必要か痛感しました」

土地など使っていなくてもお金がかかる物はすぐさま処分して、今使っていない物は潔く捨てる。片付けは根気と時間がかかるからこそ一朝一夕では終わりません。

実家の片付けで学びを得た本多さんは、自宅の片付けは3年計画を立てました。1年目は食器や本など重い物を中心に、その次は洋服など……。片付けは継続中です。

一人暮らしの本多さんは「もしも」への備えも万全です。「入院や震災時のために必要な物はスーツケースに入れて取り出しやすい場所に置くなど、あらかじめ策をとれば安心して過ごせます」

本多さんの片付けにまつわる転機

60代前半、一人になりこれからの人生を考えて家を建て直す

人生100年時代だから、と元気なうちに暮らし方全般を見直しました。各フロア独立した住居にして1~2階は賃貸用、本多さんは3階に生活拠点を移しました。家具は作り付けで防災対策も。

父が100歳で他界。母(96歳)が施設に入居し実家を片付ける

戸建てで一人暮らしをしていた母が施設に入居し大量の物を妹と二人で片付けました。漆器やきものなどを売りに出すも安値でショックを受けました。

片付けの3年計画を立てる

母を反面教師に、家の片付けの3年計画を立てます。最初は重い物から片付け写真や食器、本や洋服、雑貨を処分しました。

さらに暮らしを小さく

食品ストックの整理など日用品を片付けるように。今後、上り下りがつらくなったら3階から1階に引っ越す予定です。

本多さんの暮らしを快適に過ごすためのコツ

本多さんの物を片付けるコツをまとめると、以下の3つです。

【1】「今の暮らし」を維持するために何を残すかを基準にする
【2】長期的な計画を立てて重いものから少しずつ片付ける
【3】体力が落ちることを想定して、「物を取り出しやすい」仕組みに

この考え方を元に、買い替えたり、他のものに置き変えたりした物を教えてもらいました。

ダイニングテーブルはサイズ調整ができるものを使う

ダイニングテーブルはサイズ調整ができるものを使う

ダイニングテーブルは伸長式。家族が集まったときには大きく広げて使います。

コンパクトに万が一に備えておく

来客用布団は処分し、来客時はソファーベッドを活用。寝袋は災害用として用意。
来客用布団は処分し、来客時はソファーベッドを活用。寝袋は災害用として用意
入院用の荷物はスーツケースに入れて玄関に置いています。
入院用の荷物はスーツケースに入れて玄関に置いています

人生の歩みを1冊のアルバムに

人生の歩みを1冊のアルバムに

「重くて取り出せない大判アルバムは見返すのが大変」と写真を整理。家族や恩師など大切な人とのつながりを残しました。

最近の調べものは軽くて便利なiPadで。

最近の調べものは軽くて便利なiPadで。

手元に残したもの

手元に残したもの

染物職人だった父が描いた絵ハガキはお礼状として活用。母が所有していたシミ付きのきものはバッグやブラウスなどにリフォームしました。

取材・文=野田有香、児玉志穂(ともに編集部)、撮影=安部まゆみ、渡辺なお ※この記事は雑誌「ハルメク」2021年5月号を再編集しています。

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雑誌「ハルメク」
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