プロに聞く!花を最後まで楽しむテクニック

懐かしさスパイシーな香りが魅力「ストック」を飾ろう

公開日:2024.02.27

春の花「ストック」を飾りませんか?「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の連載で「二十四節気の花あしらい」を担当する谷中直子さんに、みずみずしさとスパイシーな香りが魅力のストックの楽しみ方を伺います。

懐かしさとスパイシーな香りが魅力「ストック」

懐かしさとスパイシーな香りが魅力「ストック」

ストックは古くから香りのよい花として、愛されてきた花です。ストックの香りはカーネーションの香りと似ていて、クローブ(丁子)のスパイシーな香りとほのかに甘いパウダリーな香りが合わさった「オイゲノール」と呼ばれる、強い芳香が特徴。


原産地は南ヨーロッパで日本には江戸時代初期に渡来したとされ、大正時代には切り花用として栽培されていたストックですが、ヨーロッパでは古代ギリシャ、ローマ時代から薬草として栽培されていた、長い歴史を持つ花です。


花の咲き方は一重咲き、八重咲きのタイプがあり、色は白の他にも濃淡のピンクや紫、黄色などがあります。

ストックの飾り方1:ボリュームのある姿を楽しむ 

ストックの飾り方1:ボリュームのある姿を楽しむ 

ストックには大きく2つのタイプがあります。枝分かれせず棒状に花を咲かせるスタンダードタイプと、今回使った枝分かれして花を咲かせるスプレータイプです。

今回は純白のスプレー咲き品種「パールフェアリー」を選びました。スプレータイプは枝分かれしてブーケのようにたくさんの花を付けますので、1本だけでもかなりボリューム感があってお得な印象です。


葉がたくさんついている場合は少し間引いて風通しをよくすると、見た目もすっきりする上に、蒸れを抑えられて日持ちもよりよくなります。

ストックの飾り方2: 他の花を合わせてみる

ストックの飾り方2: 他の花を合わせてみる

ストックだけでナチュラルな雰囲気を楽しむのも素敵ですが、違う花を合わせてみると印象がガラッと変わります。

まず最初は「ホワイトレースフラワー グリーンミスト」を合わせてみました。ストックとレースフラワーはまんべんなくミックスするのではなく、コントラストがつくように別々に添えるイメージで生けてスタイリッシュに仕上げています。

エアリーな花はストックとも相性ぴったり。白とグリーンの組み合わせは簡単におしゃれっぽさを演出できるので、花選びに迷ったらぜひお試しくださいね。

今度は「カスミソウ」を合わせてみました。

今度は「カスミソウ」を合わせてみました

スタイリッシュな印象に仕上げたいときは、先に飾り方で紹介したレースフラワーのように、同じ種類の花を固めて生ける「グルーピング」と呼ばれる方法をよく使います。しかし今回は、春霞の優しそうなイメージを表現してみたくて、ストックにカスミソウをまんべんなくまとわせて、ふんわりと霞がかかったように生けてみました。

写真のような白いガラスの花器に生けることで、スタイリッシュな雰囲気もプラスして演出しました。

バスケットに入れたストック

先ほど白い花器に生けた花を、そのままバスケットに入れてみました。同じ花とは思えないほど、一気にナチュラルな雰囲気に。ストックとカスミソウはボリューム感がありますので、大きなバスケットとも相性ぴったりです。

ストックの飾り方3:小分けにして楽しむ

白いストックに「ハイブリットスターチス サフォラライラック」を合わせてみました。イメージしたのは枕草子の一節『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる』です。

だんだんと白くなっていく山際の空が少し明るくなって、紫がかった雲が細くたなびいている…そんなシーンを想像して、白いストックを山際に、ハイブリットスターチスを紫がかった雲に見立ててみました。

日本人が昔から遊び心で楽しんできた「見立て」の世界を、普段の花あしらいに取り入れてみると、もっと花が楽しくなりますよ。

ストックの飾り方3:小分けにして楽しむ

小さな一輪も楽しみつくすストックの飾り方

ケーキスタンドをお持ちでしたら、花あしらいにぜひ活用してみませんか? 普段はあまり出番のないケーキスタンドですが、小さめのグラスに生けた花を集めて飾るとドレスアップ!

対して生ける器や花はあえては形を揃えず、ラフなイメージで生けるとスタンドとのバランスが取れて、今っぽい仕上がりになると思います。

少しだけ余ってしまった花や、お手入れのときに取り除いた部分などもこうやって飾ると主役級の花に変身しますので、捨てずに組み合わせを楽しんでみてくださいね。

ストックの飾り方4:小さな一輪も楽しみつくす

ストックの花は折れやすいので、お手入れの際などに折れてしまった花をカップアンドソーサーに生けてみました。カップだけではなくソーサーも付けるとバランスよく、きちんとした印象に。

白くふわふわした花は、まるでミルクの泡のようで、眺めているとほっこりした気持ちになります。

白くふわふわした花を小瓶に並べる

お手入れを続けて花が少なくなってきたら、花を茎から切り離して小さな器に生けましょう。

小さな花を生けるイメージで身近なものを探してみると、小さなジャムの空き瓶や調味料入れなど、意外なものが似合うことがわかります。そんな小さな器に一輪をあしらって、ストックの花を存分に楽しんでみてくださいね。

ク、最後の一輪をオブジェに添えて飾って楽しみました

長い間楽しんだストック、最後の一輪をオブジェに添えて飾って楽しみました。半日程であれば水につけなくてもこのような姿をとどめることができます。

ストックの香りは集中力を高める効果もあるとか。近くに置いて、かわいらしい姿とともに、香りも楽しんでくださいね。

「ストック」の基本情報

●出回り時期:10月~5月
●香り:あり
●学名:Matthiola incana
●分類:アブラナ科アラセイトウ属
●和名:紫羅欄花(あらせいとう)
●英名:Stock
●原産地:南ヨーロッパ
●花言葉:「永遠の美」「愛情の絆」「求愛」など 

構成・写真=石川恵子(第一園芸・花毎)

花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。花毎の書籍に『 花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)

■もっと知りたい■

※この記事は、花毎での連載「二十四節気の花あしらい」を基に制作しています。

花毎(はなごと)

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