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- 落語自由自在~立川志の輔独演会~
古き良き日本文化である落語を聴いて楽しく笑うことで、身も心も元気になることができます。今回は東京會舘こけら落とし公演~立川志の輔独演会~の体験レポートをお伝えしていきます。ちょっと変わった落語会なので必見ですよ!
東京會舘こけら落とし公演
東京會舘(とうきょうかいかん)新本館落語会こけら落とし公演「立川志の輔独演会」に行きました。
東京會舘のリニューアル前は毎年2月は桂文珍独演会、3月は林家たい平独演会、5月は歌丸・円楽二人会、8月は志の輔独演会とたびたび落語会があり聞きに行っていましたが、東京會舘は建て替えのため、5年程休館していましたので、待ちに待った落語会です。
東京會舘の落語会はランチショー形式なので、まずは受付で予約券を指定席券と交換し、お食事会場に参ります。ネットでは早い段階で、キャンセル待ちになっておりましたが、案の定たくさんのお客様で、皆さんこの会を心待ちにしていたのだと実感しました。
美味しいお食事は以前よりボリュームがあり、メロンにラズベリー、竹筒に入ったマンゴープリンのデザート付きで、その上東京會舘の会員には珈琲が無料と至れり尽くせりでした。
お腹いっぱいになったところで、いよいよ落語会の始まりです。いつもは後ろの方の席でしたが、今回は最前列でそれだけでも、もうテンションが上がりました。
三遊亭全楽
全楽師匠は志の輔師匠の会にはいつも出演するので、なぜかと思っていましたら元は談志師匠のお弟子さんでした。立川流特有の上納金を滞納したため破門となり、その後五代目圓楽師匠の弟子となって、真打に昇格という逸話の持ち主です。
「日本一高価な落語会へようこそ、リニューアルに伴い料金もリニューアルされ、更にお高くなりました。生活の苦しい中、本当にありがとう」と、毎回お決まりの挨拶で拍手と笑いを取ります。お馴染みの古典落語「子ほめ」を一席、さすがは真打、前座との違いを見せつけました。
志の輔師匠
三味線漫談の立花家橘之助さんの後は、いよいよお目当ての志の輔師匠です。ミントグリーンの羽織と茶の袴で登場。
「今日は節分ですね。この後、豆まきの予定はありません」で笑いがおきます。「その代わり恵方巻を、皆さんにお配りしません」でまたまた大笑い。「高座を今年の方角、東北東にこさえました」で皆さん「あ~」と納得。師匠おもむろに「嘘ですよ」で大爆笑。この様に、二重三重に仕掛けて笑いをとるマクラは本当に楽しいです。
楽しいマクラはまだ続き、ベトナムでの落語会のお話になります。
「ベトナムでの落語会に初めて呼ばれた時、そこの大使夫妻か楽屋に訪ねてきて『感動しました。とても素晴らしかった』と言って『私なまの落語聞くの初めてだったんです』と言ったんです。『そうですか』と言いましたが、大使ともあろう者が日本の文化を知らないで、何たることかと腹が立ちました。60歳にもなって落語を聞いてないなんて、今まで何をしていたのか、顔では笑ってましたがね」と皮肉たっぷり。
「この間その会も10周年を迎え、折角だから大使がゲストを呼びたいと言うんです。『志の輔師匠の出身の富山にゆかりのゲストを』って言うので、『富山には白エビくらいしかありませんよ』と言いましたら『「こきりこ節」がありますよ。歌って貰いましょう』となりました。
高座を終え舞台横で聞いてました。『まどのさんさはデデレコデン』のくだりで、感極まって私不覚にも涙が出たんです。終わって大使に言いました。『富山には18歳までいましたが「こきりこ節」なまできいたのは今日が初めてだったのです』」
ここでどっと笑いがあふれます。
「だからいいんです。60過ぎてから落語聞いても、なんの問題もありません」
表情豊かに、程よい間で話され、さすがに名人だと思いました。会場の皆さんは笑い過ぎてお腹が痛いと言ってました。
八五郎出世?
さて噺の方ですが、袴姿ですので侍の出て来る演目、しかもおめでたい会ですので、アレしかないと思っていましたら、やはり「八五郎出世」(「妾馬」とも言います)でした。妹がお世継ぎを産んだため、長屋の八五郎がお屋敷に呼ばれての珍談奇談、酒を飲んで傍若無人に振舞ってしまうも最後はお殿様に気に入られて出世するという噺です。
と思いきや途中、風車の弥七が出てきたり、道具箱を質屋に預けたり、だいぶ話が違う方向にいってしまいます。茄子の古漬けを母が土産に持たせるあたりで、客席も皆首を傾げ始めます。やはり知られている「八五郎出世」とは違うようです。
大笑いの揚げ句に、八五郎は殿様からの折角の出世話も、断ってしまいます。「何も要らない、ただお袋に赤ん坊を抱かせてやってほしい」と八五郎が殿様に伝えるくだりで、ツーっと涙が流れました。ガサツな八五郎の、母を思う気持ちに打たれました。
終演後、貼りだされた演目を見たらまさかの「八五郎出世せず」。確かに断ったのですから「出世せず」ですね(笑)。
「60過ぎてから落語聞いても、なんの問題もありません」と志の輔師匠もおっしゃっていました。
みなさんもこういった素敵な落語会に参加してみてはいかがでしょうか。
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