新年の訪れを感じる、特別な能楽

新春を寿ぐ。「多賀大社」翁始式(下)

公開日:2023.02.15

少し悪天候の中、いよいよ舞台が始まりました!

時間となりそろそろと揚幕があがり、面箱を持った方を先頭に橋掛かりから舞台へしずしずと皆様やってこられました。

翁
いよいよ翁の始まりです

着座され、音楽と共に千歳が始まりました。いつも屋外の舞台で感じますが、囃子方の音のボリュームは屋外用の音だなぁと痛感します。

千歳の間に翁役の後見の方が、もぞもぞと動き出され、何をしていたかと言うと舞台の上で翁の白い面を演者に取り付けられていました。

翁
千歳です。翁役の方はまだ面をつけていません
翁
能の後見の方が、翁の面を演者につけています

今までもそうだったと思いますが、舞台の千歳ばかりに目が行って、後見や翁の方まで見る余裕がなかったのでしょうか、やっと3回目にして他の方の動きに興味が出るようになりました。舞台上の千歳の舞もよく見えています。

千歳が終わり、いよいよ翁の謡と舞です。お正月らしい特別な能楽です。ここでも、翁が舞っている間に、狂言方の後見のお二人に動きがあり次の三番三の準備でしょうか。

翁の舞が終わり、能面を外し千歳の演者の方と二人でしずしずと橋掛かりから退場していきます。

大蔵流狂言方の三番三!

まずは面を着けずに力強い舞が行われます。

翁の舞の途中から雨が降り出し、霧雨から小雨に変わっていきました。つばのある帽子と水を弾く加工をしてあるダウンコートのおかげで、少々の雨は平気ですが、足元が濡れるので傘を広げ、膝から下を雨から防ぎます。少し雨がきつくなってきたので、首の所まで傘で覆いました。

大蔵流狂言方の三番三!
大蔵流狂言方の三番三が始まりました

その間舞台からは目を離さず、力強い舞を見ていました。途中で黒い面を着け、鈴を持ち鳴らしながらの舞です。小雨は全然やみません。

大蔵流狂言方の三番三!
画面の白い筋は雨です(雨が良くわかるように画面を明るくしています)

三番三が終わり、演者の井口さんも橋掛かりから揚幕へ退場され、翁の演目は終わりました。

ここでやっと頭の上に傘を持って来て雨を防ぎます。

屋島と福の神

夫がやってきて、いつものまだかコールです。この後、屋島も福の神も観るつもりなので、どこかでまた時間潰しをしてもらわねばなりません。余りに寒いとしびれをきらしますので、寒くなったら車で待ってもらうようにしました。

次は、舞囃子の屋島です。

屋島と福の神
面をつけずに、謡を舞う「舞囃子」 片山社中の皆様です

屋島が終わり狂言が始まる前、舞台に三世千之丞さんが! 屋島の囃子方が座っていただろうと思われる、草の座布団(正式な名称を知りません。悪しからず)を片付けていました。

屋島と福の神
藁か草の座布団のような物を片付けていました

そして揚幕の方からは、丸石さんと松本さんがやってきて舞台が始まりました。お二人の掛け合いの後、あの独特の笑い声と共に茂山あきらさんの福の神がやってきました。三人のやり取りの後、福の神の謡と舞があり、舞台は進み朗らかに終わりました。

屋島と福の神
福の神の舞と謡です

翁始式、演目全てで1時間半ほど、思っていたよりも雨はひどくなくすっかり満足し、きっと不機嫌で待っているであろう夫に急ぎ電話を入れました。

これを観ると新年を実感しますし、特別な能楽を直に体験できる(それも無料で・屋外で)貴重な場です。できる限りは、多賀大社での翁始式を観続けていきたいと思います(※次回からは電車を乗り継ぎ乗り継ぎし、一人で来なくてはなりませんが……)。

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黄緑・緑・青緑

もともと自分のブログ「黄緑・緑・青緑の日々徒然」で、ファッションやアート、まちあるき、狂言、お酒、漫画、産業、等々。脈絡もなく時々の興味のある事や好きな事・モノについて拙い文章ではありますが、ぼちぼちと書いています。ハルメクWEBでも、好奇心の向くままに書いていきたいと思っています。インスタグラム

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