歌舞伎の世界をより身近に感じるために
2023.10.24翁
時間となりそろそろと揚幕があがり、面箱を持った方を先頭に橋掛かりから舞台へしずしずと皆様やってこられました。
着座され、音楽と共に千歳が始まりました。いつも屋外の舞台で感じますが、囃子方の音のボリュームは屋外用の音だなぁと痛感します。
千歳の間に翁役の後見の方が、もぞもぞと動き出され、何をしていたかと言うと舞台の上で翁の白い面を演者に取り付けられていました。
今までもそうだったと思いますが、舞台の千歳ばかりに目が行って、後見や翁の方まで見る余裕がなかったのでしょうか、やっと3回目にして他の方の動きに興味が出るようになりました。舞台上の千歳の舞もよく見えています。
千歳が終わり、いよいよ翁の謡と舞です。お正月らしい特別な能楽です。ここでも、翁が舞っている間に、狂言方の後見のお二人に動きがあり次の三番三の準備でしょうか。
翁の舞が終わり、能面を外し千歳の演者の方と二人でしずしずと橋掛かりから退場していきます。
大蔵流狂言方の三番三!
まずは面を着けずに力強い舞が行われます。
翁の舞の途中から雨が降り出し、霧雨から小雨に変わっていきました。つばのある帽子と水を弾く加工をしてあるダウンコートのおかげで、少々の雨は平気ですが、足元が濡れるので傘を広げ、膝から下を雨から防ぎます。少し雨がきつくなってきたので、首の所まで傘で覆いました。
その間舞台からは目を離さず、力強い舞を見ていました。途中で黒い面を着け、鈴を持ち鳴らしながらの舞です。小雨は全然やみません。
三番三が終わり、演者の井口さんも橋掛かりから揚幕へ退場され、翁の演目は終わりました。
ここでやっと頭の上に傘を持って来て雨を防ぎます。
屋島と福の神
夫がやってきて、いつものまだかコールです。この後、屋島も福の神も観るつもりなので、どこかでまた時間潰しをしてもらわねばなりません。余りに寒いとしびれをきらしますので、寒くなったら車で待ってもらうようにしました。
次は、舞囃子の屋島です。
屋島が終わり狂言が始まる前、舞台に三世千之丞さんが! 屋島の囃子方が座っていただろうと思われる、草の座布団(正式な名称を知りません。悪しからず)を片付けていました。
そして揚幕の方からは、丸石さんと松本さんがやってきて舞台が始まりました。お二人の掛け合いの後、あの独特の笑い声と共に茂山あきらさんの福の神がやってきました。三人のやり取りの後、福の神の謡と舞があり、舞台は進み朗らかに終わりました。
翁始式、演目全てで1時間半ほど、思っていたよりも雨はひどくなくすっかり満足し、きっと不機嫌で待っているであろう夫に急ぎ電話を入れました。
これを観ると新年を実感しますし、特別な能楽を直に体験できる(それも無料で・屋外で)貴重な場です。できる限りは、多賀大社での翁始式を観続けていきたいと思います(※次回からは電車を乗り継ぎ乗り継ぎし、一人で来なくてはなりませんが……)。
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