【全2回】火災保険を悪用した保険金詐欺に注意#2

トラブル回避!火災保険の知識と役立つ相談窓口

トラブル回避!火災保険の知識と役立つ相談窓口

公開日:2023年09月09日

悪質業者に勧誘されてもきっぱり断れるように、火災保険の取り扱いについて正しい知識を身に付けましょう。不覚にも悪質業者とトラブルになってしまった場合の相談窓口や、自然災害により住まいが被害を受けた場合の保険金請求の手順もご紹介します。

教えてくれたのは清水香(しみず・かおり)さん

清水香さん

ファイナンシャルプランナー 学生時代より生損保代理店業務に携わり、FP業務を開始。2001年に独立し、相談業務、執筆、講演、TV出演など幅広く活躍。財務省の地震保険制度に関する委員を歴任。自由が丘産業能率短期大学兼任教員。日本災害復興学会会員。近著に『どんな災害でもお金とくらしを守る』(小学館刊)など。

悪質業者に対してきっぱりNOと言うために

火災保険を利用した悪質業者にきっぱりNOと言おう

前回は、悪質業者の勧誘の手口とトラブル例のお話をしました。あの手この手で契約を迫る業者に気圧されずに、きっぱり「NO」と言うには理論武装が大事。火災保険の取り扱いについて正しく理解していれば断りやすくなります。そこで、火災保険で知っておきたいことを5つにまとめました。

火災保険で知っておきたい5つのこと

(1)火災だけでなく風水害など自然災害も補償(地震は地震保険が補償) 
(2)(1)による「偶然な事故」を補償。経年劣化など必ず起こる「必然な現象」は補償の対象外
(3)保険金が支払われるか判断ができるのは契約先の損害保険会社。第三者(コンサルタントを自称する業者など)には判断できない
(4)鑑定人による保険金の額の査定に疑問点があれば、調査を再度受けることも可能
(5)保険金請求の時効は3年だが、損害の証拠があるのなら、まず相談を

上記を順に見ていきましょう。

経年劣化による住まいの損傷は補償の対象外 

経年劣化による住まいの損傷は補償の対象外 

まず、(1)の「火災だけでなく風水害など自然災害も補償(地震は地震保険が補償)」。火災保険は火災だけではなく、風水害など自然災害による損害も補償対象になります(契約内容により、水災=水害は補償されない場合もある)。台風や豪雨により屋根が壊れた、浸水したという場合なども要件を満たせば損害額が保険金として受け取れるということです。

ただし、経年劣化により屋根が壊れたりする場合もあります。

(2)に挙げた通り、火災保険が補償するのは火災や風水害による「偶然な事故」です。一方、経年劣化は時間の経過とともに必ず起こる「必然な現象」なので、補償対象とはなりません。ここは勘違いしないように要注意です。

ところが経年劣化による損傷も「災害に遭ったことにして保険で修理しましょう」と持ちかけてくる業者もいます(悪質業者ではなくても、単に知識不足で経年劣化にも火災保険を利用しようと提案してくる業者もいるので気を付けて)。

うその理由により保険金を請求するのは「保険金詐欺」です。このことが保険金受け取り後に発覚すると、保険金の返還請求や保険契約の解除になるばかりではなく、刑事事件になることもあるので絶対にやめましょう。

まずは損害保険会社か代理店に連絡を! 

まずは損害保険会社か代理店に連絡を! 

また、(3)の通り、保険金の対象になる損害なのか、いくら保険金が受け取れるのかの判断は、契約先の損保会社が行うことです。第三者(コンサルタントを自称する業者など)には判断できません。

業者が「保険金が出るから」と高額な見積もりを出してきても、それが全額保険金として支払われる保証は全くありません。自然災害で住まいが損害を被った場合には、まず加入先の損保会社や代理店に連絡するのが手順だと覚えておきましょう(下記参照)。

火災保険の保険金請求の手順

1.損害の証拠を保全し、損害保険会社または代理店に連絡(損保会社の求めに応じ、損害状況の写真や発生費用の領収書を保存)

2.損害担当・鑑定人による損害調査(見積書の提出や写真で済むことも)

3.請求書など必要書類を提出

4.保険金が確定し支払われる(もれなく支払われているか確認)

※清水さん作成

契約している損保会社への不信感をあおられたら

契約している損保会社への不信感をあおられたら

業者は「損保会社は保険金を出し惜しむ」とか、「損害調査は一度しか行わないから、見落としがあると加入者が損をする」などと損保会社への不信感をあおりますが、そういったことは誤りです。

損保会社の専門の鑑定人は、損害の状況に応じた保険金の額を査定します。

そして(4)の通り、見落とし箇所があるなど根拠のある疑問点があれば、再度調査をしてもらうことも可能です。

また、(5)の通り、保険金の請求期限は事故から3年なので、損害状況の写真など証拠があるなら、まずは損保会社に相談をすることをおすすめします

もし業者と契約をしてしまったら……

もし業者と契約をしてしまったら……

仮に業者と契約してしまった場合でも、対処法はあるので泣き寝入りは禁物です。訪問や電話勧誘による契約の場合、業者が消費者に法定書面を交付することが義務づけられています。書面の交付から8日以内であればクーリング・オフにより契約が解除できます。そもそも業者が法定書面を交付していなければ、無期限で契約解除が可能です。

ただ、自分だけで対処するのは難しいでしょうから、実際にトラブルに遭った場合には、「消費者ホットライン188(いやや!)」に相談することをおすすめします。

トラブルに遭った場合の相談窓口

窓口:消費者ホットライン188 (いやや!)(消費者庁)
受付時間10:00〜16:00(原則、年末年始を除く毎日利用可)
「188」(全国共通3ケタ)とダイヤルし郵便番号等を入力すると、最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センターや消費生活相談窓口の案内を受けられる。

まとめ

依然、トラブルが多発しているので、とにかく勧誘には応じないこと。
ただし、うっかり応じてしまっても、対策は用意されているので泣き寝入りはしないで。

取材・文=萬真知子
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年7月号を再編集しています。

萬真知子
萬真知子

早稲田大学第一文学部卒業後、1987年日経ホーム出版社(現、日経BP社)に入社。月刊誌「日経マネー」に配属され編集記者に。1990年に退社後、フリーのマネーライターとなり、雑誌、ウェブを中心にマネー情報記事を執筆。金融機関等の顧客向けウェブサイトにも執筆。「ハルメク」の「知っ得!マネー学」を連載中