50代の心に響く、人生を重ねた恋の物語
トキメキも涙も!大人だからこそ深い…50代からの恋愛映画5選
トキメキも涙も!大人だからこそ深い…50代からの恋愛映画5選
公開日:2025年12月25日
年齢の壁を超えた愛。中山美穂の最後の主演作「蝶の眠り」
2024年12月に急逝した中山美穂。彼女の凛とした美しさが刻まれた最後の主演映画は、今こそ見直したい一作です。本作は韓国の女性監督チョン・ジェウンが手掛けた日韓合作映画。中山さんは、韓国の人気俳優キム・ジェウクと共演し、切なくも高潔な大人の恋を演じました。
演じたのは、遺伝性アルツハイマー病を宣告された50代の作家・松村涼子。次第に記憶を失う恐怖の中、彼女は最後の小説を完成させるため、作家志望の留学生チャネ(キム・ジェウク)に代筆を依頼します。2人の関係は、次第に年齢の壁を超えた深い愛へと変わっていきます。
病に抗う以上に、作家として、一人の女性としての尊厳を保ったまま「人生をしまう」ことを選んだ涼子。その潔い姿は、大人世代の胸を打ちます。
公開当時、中山さんは「始まりは恋愛のようですが、そこから人間愛に変わっていく」と語っていました。本作を観れば深く納得するはず。不世出のスター・中山美穂が遺した真実の輝きをじっくりと味わってください。
韓流スターたちが描くとびきりハッピーな群像劇「ハッピーニューイヤー」<劇場版>
クリスマスや新年を祝うホリデームードに満ちた高級ホテルを舞台に、幅広い世代の恋模様が描かれる本作。「猟奇的な彼女」や「ラブストーリー」のクァク・ジェヨン監督が放つ、韓国版「ラブ・アクチュアリー」ともいえる心温まる群像劇です。
長年愛する人への告白をためらうホテルのマネージャー、イケメンでクセ強のCEO、公務員試験に失敗し続け、恋人にも振られた就活生。
さらに、夢を追うミュージカル女優、人気アーティスト、超スピード婚へと突き進むラジオプロデューサーとピアニスト、お見合いをする整形外科医、初恋の相手と40年ぶりに再会するドアマン、告白チャレンジに巻き込まれた高校生カップルなどが登場。
演じるのは、ハン・ジミン(ドラマ「私たちのブルース」)、イ・ドンウク(ドラマ「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」)、カン・ハヌル(ドラマ「椿の花咲く頃」)ら豪華キャストたち。
若者から熟年層までの恋にドキドキハラハラしつつ、ぽっと温かい希望を灯してくれる秀作です。
デジタル配信中、各種動画配信サービスで視聴可
韓流スターたちが描くとびきりハッピーな群像劇「ハッピーニューイヤー」<劇場版>
芥川賞作家・平野啓一郎の小説をベストセラー小説を、福山雅治と石田ゆり子共演で映画化した本作。
福山さんが演じるのは、天才ギタリストの蒔野聡史役、石田さんは、通信社に勤務するジャーナリスト・小峰洋子役で、東京、パリ、ニューヨークを舞台にした運命的な恋が紡がれます。
出会ってすぐに恋に落ちるも、それぞれに生きがいとなる職業に就き分別のある大人だからこそ、自分本位の恋愛に突っ走りません。でも、そんな二人だからこそ、お互いに一生を捧げたいと思える特別な相手であると、最初から見抜いていたと思います。
出会いから6年、完璧主義のため、自分の演奏に満足が得られず、苦悩していく蒔野と、テロに遭遇する洋子。待ち望んでいた再会を果たす二人の逢瀬の時間が、美しいギターの調べとともに紡がれていきます。
蒔野が語る「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいるが、未来は常に過去を変えている」という台詞が実に深い。熟成されたボルドーワインのような、香り高い大人のラブストーリーを堪能して。
芳醇な香り高き大人の恋を紡ぐ「マチネの終わりに」
半世紀以上生きてくると、もしもあの時、別の道を選んでいたら……という「たられば」の思いを誰しもが一度は抱くはず。
そんな「もしも」の物語を静かに綴った本作は、各国の映画祭を席巻しました。物語のキーワードは、前世からのつながりや運命を意味する韓国の言葉「縁(イニョン)」
12歳でカナダへ移住したノラと、韓国に残った幼なじみのヘソンが、24年の時を経てニューヨークで再会します。「縁」とは、見知らぬ人と袖が触れ合うことさえ、前世“PAST LIVES”での深い関わりがあったから、という考え方。
二人が「あの時」の選択を回想し、心の奥底にあった“忘れられない恋”の記憶を揺り起こします。
単なる初恋の再燃ではなく、現在の夫も交えた3人が、互いを尊重しながら誠実に「今」と向き合っていく姿には、成熟した大人ならではの節度と知性が漂います。ノラが最後に下す決断は、きっとオトナ世代の女性の心に深く刺さるはず。
「選ばなかった未来」に思いを馳せつつ、今の自分の人生をも肯定させてくれる上質な感動作です。
24年ぶりの再会で向き合う過去と今の自分「パスト ライブス/再会」
新聞やテレビ、雑誌で取り上げられ、創作落語にもなったある夫婦の実話を、笑福亭鶴瓶、原田知世共演で映画化した本作。脚本&監督は、「今日も嫌がらせ弁当」(2019年)の塚本連平監督で、夫婦愛が心に染みわたる感動作となりました。
戦時中に生まれた65歳の西畑保は、十分な教育を受けられず、読み書きができないまま大人になりました。保は自分を支え続けてくれた最愛の妻・皎子(きょうこ)に、感謝の気持ちを手紙で伝えようと、夜間中学に通い始めます。
とはいえ、老齢で物覚えも悪い保は、なかなか上達しないまま、5年以上の歳月が流れ、気づけば結婚35年目を迎えることに。
不器用な保役の鶴瓶さんと、懐の深い皎子役の原田さんが織りなす日常の積み重ねが丁寧に描かれる分、クライマックスでの展開には涙を禁じえません。また、夫妻の若かりし頃を演じた重岡大毅(WEST.)と上白石萌音の好演も話題に。
長年連れ添ってきた伴侶に、自分の言葉で想いを伝えることの大切さに、改めて気付かされる一作です。
自分のこれまでを重ねながら、年末年始のひとときに、ゆっくり味わってみてください。




