飲料容器の驚きの進化!鮮度を守る最新の技術とは?
2021.11.292022年03月22日
お茶の基礎知識・8
容器・容量で味を変えているお茶があるって本当?
ペットボトルのお茶といえば500mL~600mLなどの中容量のボトルが定番ですが、最近は飲みきりサイズの195mLペットボトルも人気。実はサイズ以外に、中身のお茶の味まで変えているお茶があるそう。理由を伊藤園に聞きました。飲み比べで検証も!
飲みきりサイズ・195mLペットボトルが人気!
長引くコロナ禍で、運動不足解消にお散歩やウォーキングをする人が増えています。でも、運動時の水分補給にお茶を持ち歩きたいけれど、中容量のペットボトルは飲み切れないし重い……。そう悩む50代・60代女性は多いものです。
「飲みきりサイズのペットボトルのお茶がほしい」そんな悩みを解決する商品がついに発売したと聞き、伊藤園・緑茶ブランドグループの鍋谷 卓哉さんにお話を伺いました。
「ペットボトル飲料の主流は600mLなどの中型サイズですが、短時間のお出掛けで飲み切るのは難しい。一方、『お~いお茶 緑茶』195mLペットボトルは、散歩や移動など短時間の外出時に持ち運びの負担が少ない製品です」と鍋谷さん。
「伊藤園ではこれまでも350mLや280mLサイズのペットボトルを販売していましたが、社内で『高齢の両親から、280mLでも多いと言われる』という声があったことも、195mLボトルを商品化するきっかけとなりました」
実際、195mLボトルは、シニア世代からも、バッグやポケットに収まるサイズ・量が丁度よいと好評だといいます。
ウォーキングなどの運動時以外に、首都圏に住んでいる人の平均通勤時間は50分と言われているので、通勤時の水分補給用にも195mLボトルはちょうど良さそうですね!
コロナ禍の会議・来客時のお茶出しにもおすすめ
コロナ禍ならではの困りごとも、195mLペットボトルの商品化を後押しする要因になったそう。
「コロナ禍で衛生面への配慮から、会議や来客時の飲料提供にペットボトル製品を利用する企業さまが増えています。しかし、感染対策として会議や接客の時間も短時間で済ませることが多くなったため、今までの小型ボトルでも飲み残しが発生するように。『もっと小容量のボトルはないか』と、お問い合わせをいただくことが増えていたのです」
こうした背景から、2021年12月に発売された195mLペットボトルは、当初の予想を上回る売り上げを記録しているといいます。
600mLと195mL、そして缶も…容量・容器でお茶の味が違う!?
と、ここで「195mLペットボトルの発売にあたって変更したのは、容器だけではありません。実は、中身のお茶の味も違うんですよ」と鍋谷さん。
「195mLというと、湯呑み1杯と同じくらいの量なんです。一般的に、湯呑みで飲むお茶はペットボトルのお茶より、濃い味の場合が多いと思います。それと同じように、飲み切ったときに満足していただけるよう、195mLボトルのお茶は、600mLボトルのお茶よりも旨みがぎゅっと詰まった、濃い味わいに仕上げています」
鍋谷さんによると、こうした味づくりの工夫は、新商品に限った話ではないそう。
「伊藤園では以前から、容器・容量に合わせて味づくりを工夫しています。例えば、2Lのペットボトルと600mLペットボトルでも味は違います」
ペットボトルのお茶と缶のお茶でも味が違うそう。
缶のお茶の場合、お弁当など食べ物と一緒に短時間で飲み切ることが多いため、飲みごたえを考慮した濃厚な味に仕上げているといいます。
一方、キャップができるペットボトルは、長時間かけて飲む人が多いため、飲み続けやすいすっきりとした味わいでありながら、バランスのよい渋みと旨みを楽しめるといいます。
缶とペットボトル、3種類の「お~いお茶」を飲み比べ!
そこで、ハルメクWEB編集部でも、缶・195mLペットボトル、600mLペットボトルの3種類の「お~いお茶」を飲み比べてみることにしました。
それぞれを透明なコップに出してみてすぐに感じた違いは、缶は濁りがあり、ペットボトルは透明という点!
缶に比べてペットボトルは、お茶の大敵である光などの影響を受けやすいため、劣化しやすい緑茶に含まれる余分な粒状の浮遊物・オリをフィルターでろ過しているんです」と鍋谷さん。缶とペットボトルの水色の違いはお茶の鮮度を守る最新技術によるものなのですね。
次に、ペットボトルの195mLと600mLを見比べてみたものの、あまり水色に違いはないようです。
少しだけ、195mLの方が濃く見えるような? でも、上から見ると、まったく同じように見えます……。
実際に飲んでみると、定番の600mLペットボトルはスッキリした味ですが、195mLペットボトルは飲んだ後に少し濃さを感じます。缶はペットボトルよりも香りが強く、最初はサラッとしていますが、飲んだ後は緑茶独特の渋みのようなおいしさを感じました。
「195mLは少量でもしっかり、満足いただけるように『旨みのある濃い味わい』、600mLは時間をかけて飲んでも、飲み飽きない『すっきり香り高い旨みと渋み』を実現しています。また、缶は195mLとも違い、一気に召し上がることが多いので『旨みがぎゅっと凝縮したキレのある味わい』に仕上げてあります」と鍋谷さん。
(さすがプロ……! 編集部員の拙いコメントでは伝わらない、細かなニュアンスをしっかり言葉で表現していただき、本当にありがとうございます。精進します)
見た目ではほとんど違いがないのに、飲み比べるとそれぞれ味が違い、3種で異なる味わいを楽しめることに驚きました!
「わざわざ飲み比べないとわからない。そこが、匠の技です。『気が付かなかった!』と言っていただけることは、つまり、その大きさの飲用シーンにぴったりに仕上げている証拠。どのシーンでもご満足いただける『開けた瞬間のおいしさ』を感じていただければ幸いです」
容量や容器に合わせて、いつでも・どこでもおいしいお茶を楽しめるように工夫されているのですね。
毎年、味や香り、苦味などをその年に合った味わいに変えている!
さらに、中容量のペットボトルの「お~いお茶」の味も、実は毎年少しずつ変化しているそう(気付かなかった……!)。
「伊藤園では、毎年春の訪れとともに『お~いお茶 緑茶』をリニューアルしています。今年は3月14日に2022年品質の『お~いお茶 緑茶』を発売しました。2022年品質の『お~いお茶 緑茶』は、上を向いてゴクゴク飲めるスッキリした味わいとともに、飲んだ後に落ち着きを感じられる爽やかな“喉越しの香り”を高めています」
「その変化はとても繊細で、感覚的に感じられるかどうかというもの」とのこと。気になった方はぜひ「お~いお茶 緑茶」195mLペットボトルと缶のお茶、そしてリニューアルした600mLペットボトルを飲み比べてみてくださいね!
お話を伺った人:鍋谷 卓哉さん
株式会社伊藤園 緑茶ブランドグループ チーフ。厚生労働省認定社内検定‧伊藤園ティーテイスター2級。
■取材協力:伊藤園
■もっと知りたい■