プロに学ぶ換気扇掃除!クリーニングビフォーアフター
2022.12.292022年12月28日
プロの掃除・片付けワザ・11
プロに学ぶ換気扇掃除!レンジフードの分解・洗浄方法
家事代行サービス「カジタク」スタッフが掃除・片付けのコツを紹介する連載企画。今回は特別編として、大掃除のお悩み上位・換気扇掃除を読者の自宅でプロが実践! 前編では、レンジフードクリーニングの分解・洗浄のコツを紹介します。
20年分の油汚れに挑戦!おすすめ頻度は2~3年に1度
「換気扇掃除をプロにお願いしたくても、どこまでキレイになるのかわからないし、知らない人を部屋に入れるのも不安で。だからといって、レンジフードの中の掃除方法もわからないから、ずっと外側のフィルターだけ掃除していました」
そう話すのは、ハルメクWEB読者の古橋さん(66歳)。
気付けば、今の家に引っ越してから約20年間、換気扇の内側の汚れはそのまま……。
揚げ物をする機会が多く、ご主人が室内でタバコを吸っていたこともあり、汚れが気になりつつも、自分では手が付けられずにいたそうです。
そんな古橋さんに、全国で家事代行サービスなどを展開するアクティアの「カジタク」サプライヤーチーム・鈴木健吾さんは「タバコを吸う人がいるご家庭や、揚げ物・油料理を頻繁にするご家庭は1年に1度、その他のご家庭でも2~3年に1度の換気扇掃除がおすすめです」とアドバイス。
「油汚れは換気効率を低下させ、部屋のニオイの原因になります。換気扇の故障や、油が垂れて火事になるリスクも。また、油汚れがこびりついたまま長い時間がたつと、換気扇表面の塗装に密着してしまうため、掃除するときに塗装が剥げることもあります」
実際、古橋さんも換気扇を入れるたびに油絵のようなニオイが気になっており、自分で掃除しようとして塗装が剥がれたこともあるそう。確かによく見ると、レンジフード左側に黒い塗装が剥げて茶色くなっている部分があります。
「ハウスクリーニングのプロは、長年の経験から、どのくらいの力加減でどの洗剤を使えば汚れが落ちるか、正確に判断できます。キレイに仕上げて掃除の効果を長持ちさせるためにも、頑固な油汚れはプロにお任せするのがおすすめです。とはいえ、20年分の汚れへの挑戦は久しぶりです……。どこまでキレイにできるか、がんばります!」(鈴木さん)
※今回、古橋さんにはカジタクのレンジフードクリーニングをモニターとして体験してもらいました。
クリーニング前の点検&養生で安心!コンロは必ずオフに
ハウスクリーニングのプロにお願いする場合、作業前に、異音がないかランプが点くかなど、動作に問題がないかを点検します。
さらに、清掃中に発生する水や汚れで周辺が汚れるのを避けるために、換気扇下のガス台はもちろん、キッチン全体をビニールシートでしっかり養生してから、作業を開始します。
自分で換気扇掃除をするときも、部品が落ちて傷つけることや掃除中に換気扇から汚れが落ちることがあるため、コンロの上に新聞紙やタオルなどを敷いておきましょう。
また、換気扇の下にガスコンロがある場合、掃除中に誤って触ってしまう可能性があります。ガスの元栓を閉めただけでは火花が出て火事の原因となるため、下記どちらかの方法をとることが推奨されます。
- 元栓を閉めて乾電池を抜く
- スイッチのロックをかける
※写真は複数あります。Yahooでご覧の方は写真上の「>」で写真をスライドしてご確認ください。
換気扇掃除の手順1:カバーとシロッコファンを外す
古橋さん宅の換気扇は、ブーツ型(深型)のドラム式換気扇です。
「ドラム式換気扇の場合、自分で分解できないからとハウスクリーニングのプロに掃除を依頼する方が多いのですが、分解自体はそんなに難しい作業ではありません。取扱説明書とドライバー、軍手があれば、簡単にファンを取り外せます。ただし、高所での作業になるので、脚立や椅子など安全に作業できる足場を準備して、十分注意して実施してください」(鈴木さん)
ドラム式換気扇は、主に以下のような構成になっています。
- レンジフード本体:コンロ上部に設置されたファンとカバーが一体となった換気設備
- フィルター:換気扇の内部に油が入り込むのを防ぐ
- シロッコファン:たくさんの細長い羽根が付いた円形のファン(多翼送風機)
- カバー:料理で出た煙や油を効率よく吸い込むために、レンジフード本体に設置されている傘のような部分(機種によっては外せないものもある)
換気扇の掃除方法は、分解→洗浄→組み立ての順番で進めるのが基本。フィルターやファンに付いた頑固な油汚れは、つけ置き→ブラシで擦るを繰り返して少しずつ取ります。
- カバー・フィルター・シロッコファンを外す(分解)
- 外したパーツをつけ置き→擦り洗い(洗浄:フィルター、シロッコファン)
- ドラム内部の油汚れをそぎ落とす(洗浄:本体内側)
- レンジフード表面の拭き上げ(洗浄:本体外側・カバー)
- 組み立て
まずは、分解から作業スタート。レンジフード本体からパーツを取り外していきます。
カバーの外し方
「カバーが付いたままでも、フィルターやシロッコファンの掃除はできますが、作業の邪魔になるため、できれば外しておきましょう」(鈴木さん)
カバーを外すにはまず、電源プラグを先に外してから、換気扇本体とカバーを接続しているネジを緩めます(※機種によっては、ドライバーが必要な場合もあります)。
ネジは左右にありますが、両方を一気に外すと、カバーが落下する恐れがあるため、手でしっかり支えながら一つずつ順番に外します。
ネジを外したら、両手で支えながらカバーを垂直に持ち上げます。そのまま手前に引くと、カバーが外れます。
シロッコファンの外し方
フィルターを外すと、中央にカタツムリのような形のドラムが見えます。右上に見えるのは、換気扇の電源プラグ。危険防止のため、カバーを外さずに掃除を行う場合は、ファンを外す前に電源プラグを抜きましょう。
「シロッコファンの周りにある円盤状の部品(ベルマウス)を取り外してから、ドラム中央にある大きなネジを回すと、シロッコファンが取り外せます。シロッコファンが回転しないように手で押さえてから、ネジを緩めてください」(鈴木さん)
なお、ファンがささっている支柱は強い力が加わると曲がってしまうため、ファンを抜き取る際は、まっすぐ、慎重に抜き取りましょう。
※シロッコファンの取り外し方は、取扱説明書で確認してください。ベルマウスがない場合や、ネジを回す方向が一般的なネジとは逆方向(時計回り)の場合もあります。
換気扇掃除の手順2:外したパーツをつけ置き→擦り洗い
換気扇から外したパーツはすべて、シンクで洗剤を入れたお湯につけ置きします。部品がしっかりと浸かるように、大きいバケツやゴミ袋などを用意しましょう。
「つけ置きに使うお湯の温度が高すぎると、パーツの素材が傷んでしまうので、お湯は60℃くらいがベスト。給湯器などで一時的に温度設定を高温に変更すると便利です」(鈴木さん)
鈴木さんいわく、つけ置きしたまま長時間放置するのではなく、5分たったらブラシで擦って、汚れが残っていたら再度つけ置き……を繰り返して、5分×6回くらいに分けて擦るのがいいそう。
「頑固な油汚れは1度擦っただけでは落ちません。分厚い油汚れを少しずつ削り落としていくようなイメージで、複数回に分けて擦りましょう。私たちのようなプロの場合は、充電式のヒーターを持参してお湯の温度を60℃に維持しますが、自分で掃除する場合は、手で触ってぬるく感じる程度になったらお湯を入れ替えてください」(鈴木さん)
また、お湯に溶かす洗剤は、食器用洗剤(中性洗剤)よりも、アルカリ性の洗剤が適しているそう。
「換気扇の油汚れには、アルカリ性の洗剤が有効です。自分で自宅の換気扇を掃除する場合は、重曹やセスキ炭酸ソーダなどがおすすめです」(鈴木さん)
バケツからシュワシュワという音が!つけ置きで汚れが分解
つけ置きを始めてしばらくすると、バケツからシュワシュワ、ポコポコという音とともに、小さな泡が出始めました。
「クレヨンや油絵みたいなニオイがする!」と古橋さん。
「換気扇についていた油汚れが溶け出してきましたね。だんだん泡がなくなって、汚れが見えてくると思います」という鈴木さん。
その言葉通り、5分おきにパーツを取り出し、擦ってまたつけて、と繰り返していくと、30分後にはこの通り!
「うわぁ、真っ黒! まさか、こんなに汚れているなんて思いませんでした。フィルター掃除だけじゃ、やっぱりダメなんですね」と古橋さんも思わずびっくり。
まさに、百聞は一見に如かず。「2~3年に1度の換気扇掃除がおすすめ」という理由がよくわかります。
換気扇掃除の手順3:ドラム内部の油汚れをそぎ落とす
パーツのつけ置き時間で同時並行で進めるのが、レンジフードやドラムの内側の掃除です。
「まず、表面の油汚れをヘラでそぎ落とします」
鈴木さんがドラムの内側に手を入れて、ヘラでグイっと側面をこすると……
あっという間に、ヘラいっぱいの油汚れが取れました!
「ドラム式換気扇の場合、使っているうちに内部に油汚れが溜まっていきます。汚れがひどくなると、シロッコファンの回転を邪魔することもあります。内部に溜まった油はちょっとやそっとでは取れません。高所作業かつ、力のいる作業なので、無理せずハウスクリーニングのプロにお願いするのがおすすめです」(鈴木さん)
ここまでアップの写真ばかりで、作業場所の高さが伝わっていないかもしれないのですが、実際にはずっと2mくらいの位置で掃除しています。
「そんな高い場所で、ファンの奥まで手を入れて力作業をするなんて。最初は費用がかかるから、やり方を覚えて自分でやろうと思ってたけど、やっぱりプロに頼んだ方が安心かも」と古橋さん。
換気扇掃除に限らず、力仕事が多いハウスクリーニング案件の95%以上は男性スタッフが訪問するそう。50代・60代になったら、安心・安全のためにも、換気扇内部の掃除はプロにお任せするのが無難と言えそうです。
「残った油汚れは、洗剤を吹き付けた後、約30秒置いてから擦ります。弱い洗剤から順番に使用し、弱アルカリ性の洗剤で落ちない頑固な油汚れには、強アルカリ性の洗剤を使用します。汚れを拭き取る際は、表面の塗料を傷めないように、キッチンスポンジやタオルなど柔らかいものを使いましょう」(鈴木さん)
換気扇掃除の手順4:レンジフード表面&カバーの拭き上げ
最後に、弱アルカリ性洗剤とタオルで、レンジフード表面の汚れを落としていきます。
「掃除の鉄則は上から下へ。洗剤が垂れるのでフードの上から順番に掃除していきます。内と同じように、弱アルカリ性の洗剤→強アルカリ性の洗剤の順番で使用します。レンジフードの表面は外からも見える場所なので、塗装が剥げないように、やさしく拭き上げましょう。拭き染みを防ぐために、仕上げにタオルで乾拭きするのがポイントです」(鈴木さん)
以上、プロに学ぶ換気扇掃除!レンジフードの分解・洗浄方法でした。
果たして、シロッコファンがどれくらいきれいになったのか? 続きは、後編・クリーニングビフォーアフターの記事でご紹介します!
教えてくれた人:鈴木健吾さん
すずき・けんご アクティアが運営する家事代行サービス「カジタク」でハウスクリーニングスタッフとして勤務。換気扇だけではなく、お風呂やトイレ、エアコン掃除まで、さまざまな場所の掃除を担当。現在は、スタッフへの研修講師としても活躍中。大学で学んだ生物学の知識を生かした、科学的根拠に基づいた汚れの落とし方には定評あり。
取材・撮影・文=竹下沙弥香(ハルメクWEB)
取材協力:カジタク
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