夢だけでは始まらない!海の見える家を手に入れるまで

小説家&漫画家・折原みと!仕事漬け生活から地方移住を決めた理由

小説家&漫画家・折原みと!仕事漬け生活から地方移住を決めた理由

公開日:2026年03月26日

小説家&漫画家・折原みと!仕事漬け生活から地方移住を決めた理由

折原みとさんのエッセイ本『60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし』より、人生を変えた決断を綴った一節を紹介します。仕事一筋だった20代から一転、小笠原での体験をきっかけに地方移住へ踏み出した、著者のリアルな転機とは?

人生を変えた決断

人生を変えた決断
撮影/砂原文(『60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし』より転載

私が漫画家デビューしたのは、21歳の時。それから2年後に小説も書き始め、以来、漫画家兼小説家として仕事をしてきました。

20代の頃は、とにかく仕事一筋!

人生を変えた決断

当時は東京のマンションに住んでいたけれど、昼夜逆転の、完全な夜型生活。食事は仕事机の上で、カップラーメンやコンビニのお弁当を食べることが多く、睡眠時間もかなり少なかったと思います。

漫画の連載を2本抱え、その間に書き下ろしの小説を書いていたので、ひと締め切りが終わったら、数時間睡眠を取って、すぐ次の仕事に取りかかるのが普通の日々。息抜きといえば、たまに近所の公園に散歩に行くか、夜、友人と飲みに行くくらい。

当時は20代で結婚する女性が圧倒的に多かった時代だけれど、結婚なんて考える暇もありませんでした。

そんな余裕のない生活をしていても、書くことが楽しかったので、仕事は苦ではありませんでした。

「このままでいいのか?」という焦り

「このままでいいのか?」という焦り
撮影/砂原文(『60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし』より転載

でも、30代に入った頃からでしょうか。締め切りに追われる仕事漬けの毎日の中で、ふと、こんな思いが胸に浮かぶようになったのです。

「このままでいいのか……」と。

ものを書くということは、自分の経験や知識、感情をもとにして作品を生み出す作業です。20代の10年間は、自分の中にあるものをひたすらアウトプットしながら、脇目もふらずに書き続けてきました。だけど、このままの生活を続けていたら、いつか書きたいものがなくなってしまうかも……?

本能的に、そんな危機感を持つようになっていたちょうどその頃、取材で小笠原諸島に行くことになったのです。

衝撃を受けた小笠原の自然美

衝撃を受けた小笠原の自然美
barman / PIXTA

小笠原諸島は、東京港から1000km離れた南の島。民間の飛行場がなく、24時間も船に乗らなければ行けないことから、「世界でいちばん遠い島」と呼ばれています。

そんな小笠原で、2011年には「世界遺産」にも登録されたほどの自然と、美しい海に出合った時、人生観が変わるほどの衝撃を受けました。

私の今までの生活は何だったんだろう?

都会のマンションに閉じこもり、ろくに太陽の光も見ないような、不健康な生活をしていていいんだろうか?

このままでは、心も身体もダメになる。もっと、他の生き方があるんじゃないだろうか?
だとしたら、私は何をすればいい……?

「東京から、地方に移住しよう!」

そんな決意をしたのは、32歳の時でした。19歳で上京してから10数年、住み慣れた東京。便利で快適な、都会のマンション暮らし。そこからガラリと生活を変えることには、不安もありました。

でも、思いきって、自分を変えてみたかった。人生を変えてみたかった。だから、勇気を出して、一歩を踏み出しました。

その一歩の先に、今の私がいます。30代の私の、少し無鉄砲な勇気ある決断。60代になった今、あの時の決断が、私の人生を幸せな方向に導いてくれたのだと信じています。

夢みるだけでは始まらない

「脱・東京、地方移住!」

人生を変える決断をしたのは、32歳の時。 移住先は、海のそば。それだけは、はじめから決めていました。

小笠原に行ったことがきっかけだったのもあるけれど、じつは子どもの頃から、海の見える家で暮らすことが夢だったのです。

そしてもうひとつ。いつか犬を飼うことが、私の子ども時代からの夢でした。 ついに、その夢を叶える時。海の見える一軒家で、犬との生活を始めたい!

とはいえ、30そこそこの女性がひとりで地方に移住し、家を建てる……というのは、なかなかの冒険です。

しかも、当時の私は、漫画を描くことと小説を書くこと以外、何もしたことがなくて。

20代の頃、寝る間も惜しんで仕事をしていたおかげで、資金はなんとかなるけれど、問題はその先です。

何から始めていいかわからない…手探りの移住計画

何から始めていいかわからない…手探りの移住計画
撮影/砂原文(『60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし』より転載

土地って、どうやって買うの?家ってどうやって建てるの?

どこから手をつけたらいいのか、さっぱりわかりませんでした。

今でもそうなのですが、私は、お金の計算や事務手続き、契約書を読んだり印鑑を押したり、振り込み作業をしたりするのが、何よりも苦手!

ろくに土地勘もなく、20代の頃、寝る間も惜しんで仕事をしていたおかげで資金はなんとかなるけれど、問題はその先です。

 ……と言いたいところですが、当時の私は、そんな世界のことを何ひとつ知りませんでした。

一方で、一戸建てのひとり暮らしは、防犯的に大丈夫なのか。 免許も持っていないし、それまで車を運転するなんて考えたこともありませんでした。

「おひとりさま」の地方移住計画は、我ながら無謀で、不安がいっぱい……。

それでも、人間、本気でやろうと思えばどうにかなるものです。

土地探し、購入、契約、建築会社や金融機関とのさまざまな交渉。

幸い、頼れる身内や周囲の人たちに助けられて、そのハードルをひとつひとつクリア。地方移住を決意してから1年半ほどで、湘南の海の見える高台に、念願の我が家が完成しました。

本気でやろうと思えばどうにかなる

本気でやろうと思えばどうにかなる

同じタイミングで、うちの子になったゴールデンレトリバーのキキと共に、新居に引っ越したのは33歳の夏の終わり。

その日のことは、今でもよく覚えています。 たくさんの人に助けていただいたとはいえ、とにかく自分の力で、子どもの頃からの夢を叶えた日。

地方移住を決意してから1年半の間に、私は車の免許を取り、犬の飼い方を学び、地方で生きていくためのスキルと覚悟を身につけていました。

望むものがあるなら、まず、思い切って一歩を踏み出すこと。 自分で調べ、学び、動き、自分でできないことがあれば、信頼できる人の協力を仰ぐこと。

夢みるだけでは、何も始まらない。それだけは、確かなのです。

【プロフィール】折原みと

【プロフィール】折原みと

おりはらみと。小説家、漫画家。作家業40周年を迎える。少女小説の第一人者として活躍後、現在は大人の女性に向けた小説やエッセイも多数執筆。逗子を拠点に多拠点生活を送りながら、弓道や日本舞踊など多彩な趣味を持つ。現在、HALMEK upアンバサダーにも参画。

※本記事は、折原みとさんのエッセイ本『60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし』からの抜粋です。


書籍紹介「60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし」

 書籍紹介「60代バツなしおひとりさま、毎日ごきげん暮らし」
折原みと(著) KADOKAWA

「ひとりは寂しい」「年を重ねるのは不安」――そんな思いに、やさしく新しい視点をくれる一冊です。
結婚する・しないに正解はなく、幸せの形は人それぞれ。60代バツなしおひとりさまのごきげんな日常を通して、「ひとり=自由で楽しい」という生き方を軽やかに描きます。

年齢を重ねたからこそ見えてくる景色や、自分らしく暮らす心地よさに気づかせてくれるエッセイです

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。