016:酒井りさこさん(57歳)

副業のつもりが起業!56歳で退職→経験を生かしてインスタグラム講師に

副業のつもりが起業!56歳で退職→経験を生かしてインスタグラム講師に

公開日:2025年05月31日

副業のつもりが起業!56歳で退職→経験を生かしてインスタグラム講師に

50代から新しい一歩を踏み出して、第二の人生を歩み始めた人たちを追う「わたしリスタート」。会社員の傍ら、副業で始めたブログやインスタグラムをきっかけに、34年勤めた会社を退職し、57歳でインスタグラム講師として起業した酒井りさこさん。ひとり暮らし、フリーランス、自分らしさを生かして暮らす術を得るまでの経緯を伺いました。

************

あなたの“リスタートのヒント”が、きっと見つかるはず。
 → 他のエピソードも読む!(毎月更新)

************

酒井りさこさんのリスタート・ストーリー

20代、30代と“バリキャリ”だった酒井りさこ(りさねーぜ)さん。

30代後半から仕事とプライベートに行き詰まり、会社を休職するまでに。40代後半には更年期障害や婦人科系の病に見舞われるなど、つらい時期も経験した。

大きな転機は54歳のとき。将来の年金生活に備えて始めた副業ブログをきっかけに、インスタグラムに挑戦すると、等身大の飾らないファションやグレイヘアスタイル、一軒家でのおひとりさま生活が多くの共感を呼び、総フォロワー数22万人超に。

56歳で34年勤めた会社を早期退職後は、フリーランスとしてインスタ講座(インスタの活用法を教える講座)などの運営に注力。2025年1月に会社を設立し、4月には初の著書『57歳、いきいきハッピーおひとりさま暮らし』(KADOKAWA刊)を上梓した。

57歳となった今、大好きな仕事をしながら、犬1匹と猫2匹とのんびり、ストレスフリーな暮らしを満喫している。

60歳までに月5万円の副収入があったらな…と思って

60歳までに月5万円の副収入があったらな…と思って

――SNSで発信を始めようと思ったきっかけは?

昔からSNSは好きで、20年前からミクシィやツイッター、フェイスブックなどいろいろなSNSをやってきました。そこでは知り合いや新たにつながった人たちとのやり取りを楽しむぐらいで、まさか自分がSNSで起業するなんて、想像もしていませんでした。

54歳のとき、将来の年金生活に備えて60歳までに月5万円ぐらい稼げたらいいなと、ブログでアフィリエイト(ブログやSNSに企業広告を掲載し、成果によって報酬を受け取る仕組み)を始めたんです。インスタを始めたのも同時期。ブログに誘導するための一つの手段としてアカウントを開設しました。

――ブログやインスタではどんな発信を?

発信のテーマを絞るのが難しかったので、まずはいろんな分野について書いてみて、反応が良かったものを出していこうと。そこで最もアクセスが伸びたのが「ファッション」の分野でした。

私自身がそうでしたが、50代って服選びに迷うことが多くないですか?

今まで着ていたものが似合わなくなってくるし、かといって若作りして痛い感じにもなりたくない。そこで「50代コーデ」で画像検索してみると、外国人のモデルさんや美魔女系のキラキラした女性ばかり……。

ナチュラル系のコーデもありましたが、顔を隠している画像が多かったので、「50代の顔に似合う服が見たいのに」と思っていたんです。

それなら自分が顔を出してコーデを紹介したら、みんなの参考になるかなと思って、「50代のファッション」をテーマに発信することにしました。

――ブログやインスタで収益を得られるまでにどんな苦労が?

始めた当初は、もちろん誰も見ていない状態(笑)。反応がなくても、日々試行錯誤しながらコツコツと発信を続けました。

ブログについてはSEOの知識があったので、こういうキーワードや話題を盛り込むと伸びやすいという感覚はつかみやすかったかなと。そのやり方をインスタのリール(最大90秒の動画を作成・投稿・視聴できる機能)にも応用すると、見てくれる人が徐々に増えていきました。

ブログは1年かかって、月1~2万円ぐらいの収益に。その後は 成長角度がグンと上がり、2年でブログとインスタを併せて月20万ほどの収益を得られるまでになりました。結局、成果が出るまでやり続けられるかどうか。そこに尽きるんじゃないでしょうか。

インスタのアフィリエイトやPR案件のほうが単価が高いことと、フォロワーさんたちとのコメントのやり取りが楽しいこともあって、インスタに力を入れるようになりました。

56歳で34年勤めた会社を退社…背中を押したのは

――インスタ講座を始めたきっかけは?

アフィリエイトやPR案件だけだと、安定した収益にはならないので、自分で何か商品を持たないといけないなと思っていました。パーソナルカラー関連の資格を取ってファッションの仕事をすることも考えましたが、そこまでファッションを突き詰めたいわけじゃないなって。

インスタを教える仕事なら、自分なりに試行錯誤しながら伸ばしてきた経験を生かせるのと、きっとそうしたノウハウを知りたい人も多いんじゃないかと思い、講座を作ることにしました。

――インスタ講座を始めるためにまずしたことは?

まず講座の始め方がわからないので、起業塾に入塾。そこでオンライン講座の作り方や集客方法など、さまざまなノウハウを習得しました。

費用は6か月間で70万円ほど。期間や内容を踏まえると、それぐらいの金額が相場だと思います。おかげでスムーズに講座を始められ、たくさんの受講者さんに喜んでもらえていると実感しています。 

――「チャレンジするなら今だ」と思ったタイミングは?

56歳のときに、34年勤めた会社をやめたときです。

仕事の中心が若い人たちに移っていき、やや疎外感を感じていた40、50代。ずっと辞めたいとは思っていましたが、週2日はテレワークだったので、これぐらいのペースなら、副業のインスタの仕事もしながら定年まで続けられると思っていたんです。

ところが、会社の突然の方針転換でテレワークが廃止に。そこで会社に「ブログやインスタで培ったスキルを生かした業務に配置転換させてもらえないか。給料は下がってもいいからフルリモートで働かせてほしい」と交渉すると、「特例は認められない」とのことで許可がおりず。

これ以上は無理だと思い、「じゃあ、辞めます」と思わず口にしてしまいました。そのときは「言っちゃったよ~!」と数日不安に襲われましたが、「もう前に進むしかない」と腹をくくって。もし仕事がうまくいかなかったら、また会社員に戻ればいいし、パートで働いてもいい。「まだまだ元気で動けるんだから大丈夫」と自分で自分の背中を押しました。

50代、おひとりさまの起業!大切なのは仲間の存在 

50代、おひとりさまの起業!大切なのは仲間の存在 

――会社を辞めて独立起業。気持ちや生活にどんな変化が?

まず会社に行くストレスがないので、朝から憂鬱なんてことはありません。自分の大好きな家でマイペースに働けるので、毎日が超快適。普段の一日が「良い一日」なので、調子を上げるために何か特別なことをする必要がないんです。

インスタ講座は開始当初から順調でしたが、ビジネスをもう一段レベルアップさせたいと思い、新たな起業スクールでマーケティングを学び始めたところ、売上が大きくアップ。今年1月には会社を設立することができました。一歩前進すると次の扉がやって来る。その扉を次々と開けていくのが楽しみでなりません。

――失敗から学んだこととは?

正解のない道を進んでいるので、毎日が失敗と学びの連続ですね。

あるとき、インスタで投稿した内容が自分の意図と異なる受け取り方をされてしまい、炎上したことがありました。反論コメントはさすがに傷つくので、見ないようにしたり、コメント欄を閉じたり……。ほんの少しの表現の違いで誤解を生んでしまうこともあるんだと経験から学びました。

ただ、そこで怖気づくのではなく、ある意味“ネタ”にさせてもらって再開。「本当はこう言いたかった」と真意を伝えるべく、ストーリーズ(24時間限定で動画や画像を投稿できる機能)にアップしました。

50代、おひとりさまの起業!大切なのは仲間の存在 
47歳で建てた一軒家でともに暮らす相棒のペットたち(@risa_hitorinokodateより)

――ひとり暮らしでフリーランス、人付き合いは?

炎上したときもそうでしたが、何かあるときに支えになってくれるのが、SNSで起業しているメンターや仲間とのつながりです。

「こういうコメントにはどう対処するべきですか?」などと、相談できる環境があるので助けられています。失敗しても学びに変えて、前進できているのは、コミュニティの存在が大きいかもしれません。

2か月の休職、40代でがん……今までの苦労があったから

2か月の休職、40代でがん……今までの苦労があったから

――チャレンジするときに40代までの人生で役立ったことは? 

「帰る実家」がなかったことが、いい意味で今の人生に生きているのかなと。

あまりいい家庭環境で育ってこなかったので、私には頼れる実家というものがなかったんですね。それにこれまで結婚したことがないので、経済的な面でもパートナーに頼ることもできませんでした。とにかく生きていくためには、働かなくちゃいけなかったんです。

でも、そのおかげで独立起業するときも「この道でしっかり稼いで生きていく」という強い覚悟が生まれました。逃げ道がないって、ある意味、生きる原動力になるのかも。

――夜眠れないほどの不安や悩みはある?

最近は、不安や悩みで眠れないことがないですね。きっと仕事のストレスがないというのもありますが、一番は「女性ホルモン」が関係しているんじゃないかなって。

私、20代の頃からPMS(月経前症候群)がひどくて、生理前はとくにイライラが止まらず、精神的に不安定になることも少なくありませんでした。40代後半から頭痛やほてりなどの更年期症状に悩まされ、49歳のときに子宮体がんに。幸い、早期発見とのことで子宮や卵巣の摘出手術をして完治に至りました。

その時期はつらいことも多かったですが、おかげで良いこともありました。それまで悩まされていたイライラや気分の浮き沈みが嘘のようになくなったんです。

おそらく子宮を取ったことや更年期を乗り越えられたことで、「女性ホルモン」の影響を受けなくなったからかなと。50代後半になった今、とても穏やかに過ごせているので、年を取ったり、病を経験したりすることも悪いことばかりじゃないと気付きました。 

――あなたの座右の銘は? 

「働かざる者、食うべからず」かな(笑)

これはあくまで私が私に対して思っていることで、「すべての人が働くべき」だと言いたいわけじゃありません。「食べていくために、生きていくために、しっかりと働く」。その信念はいつも根底に持っている気がします。

2か月の休職、40代でがん……今までの苦労があったから

――あなたにとって幸せな人生とは?

自分が心から幸せだと思える時間を生きることです。

でも、若い頃はそう思えていなかった。他人から幸せそうに見えるかどうかを気にして、「他人軸の幸せ」ばかり追っていたんです。だから自分にあるものよりも、ないものばかりに目が行って、30代後半から結婚も出産もしていない自分に焦りを抱くようになりました。

その頃、仕事もうまく行かず、心身ともに限界が来たのか、ある日会社に行けなくなりました。病院で診断書をもらい、2か月休職。その頃出合ったのが「内観療法」という心理療法でした。

奈良県のお寺に1週間、寝泊まりして、一日中自分の内面について振り返るのですが、それが私にとっては本当に良かった。例えば「母に対して(父に対して)感謝していること」など、過去を思い出していきます。ひとり静寂の中、自分と深く向き合ったことで、これまで抱え込んでいた重荷をおろすことができました。

それからです、自分にないものではなく「あるもの」に目を向けられるようになったのは。他人から見て幸せそうかよりも、自分が幸せかどうか? 40歳目前になってようやく得たこの大きな気付きが、今の自分を形づくってくれた気がします。

50代のリスタートに必要な3つの備え

新しい世界に踏み出す前に悶々と悩み続ける人が多いですが、結局あれこれ勉強しようが、準備に明け暮れようが、「やってみないとわからない!」のが正直なところ。お試しでいいので、まずやってみる。「案外簡単だった」と感じるかもしれませんよ。

1.「呪いの言葉」をやめる

「自分はどうせできないし、続かない」「もう年だから無理」「今さら自分がSNS始めても遅い」……。そうした後ろ向き発言が口癖になっていたら要注意。これから先の輝くはずの未来をつぶしてしまいます。リスタートしたいなら「呪い言葉」は封印しましょう!

2.「長期的快楽」にお金を使う

目の前の欲求を満たすためだけにブランド品や好きな物を次々と手に入れる。そうした「短期的快楽」にお金を使うよりも、経験や学びなどの「長期的快楽」にお金を使う方がこれから先の人生に喜びをもたらしてくれます。大切なお金を何に使うべきか、ぜひ見直してみて。

3.「時間がない」を言い訳にしない

すべての人に平等に与えられているのが「時間」。あの大谷翔平さんだって、私たちと同じ「1日24時間」しかないんです。だから「時間がないからチャレンジできない」なんて、本当はあり得ないこと。もし、あなたに時間がないなら、無駄なことに費やしていないかチェックしてみるといいかも。

取材・文=伯耆原良子 写真=masaco 企画・構成=長倉志乃(HALMEK up編集部)

************

あなたの“リスタートのヒント”が、きっと見つかるはず。
 → 他のエピソードも読む!(毎月更新)

************

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。