心も暮らしもラクに生きる!気にしない新習慣#10
負の感情を解決!後悔・妬み・悲しみから逃れる方法9
負の感情を解決!後悔・妬み・悲しみから逃れる方法9
公開日:2022年11月16日
教えてくれたのは、柿木隆介(かきぎ・りゅうすけ)さん
自然科学研究機構生理学研究所・教授。順天堂大学医学部・客員教授。国立大学法人総合研究大学院大学・名誉教授。神経内科医、日本神経学会専門医。福岡県出身。九州大学医学部卒業後、ロンドン大学医学部神経研究所を経て、現職。著書に『どうでもいいことで悩まない技術』(文響社刊)、『もう、人づき合いで悩まない技術』(扶桑社刊)など。
脳の「上書き」でくよくよ、イライラも気にならない生活へ

ストレスがつきものの人付き合いですが、そのストレスや悩みに対して「気の持ちよう」といった精神論ではなく、脳科学の視点で解決へと導く方法を提案している脳科学者の柿木隆介さん。
前回は、「不安」と「怒り」を制御する脳の仕組みや、6つのヒントを教えてもらいました。今回は、「後悔」「妬み」「悲しみ」についてです。
それぞれの負の感情のメカニズムを知り抑制することも重要ですが、柿木さんは「人のことを気にせず幸せを感じながら暮らすには、幸福ホルモンの分泌量を増やすことが鍵」と話します。
朝日を浴びて運動したり、花を飾って視覚、嗅覚によい刺激を与えたりを心掛けて幸せホルモンを出すようにしましょう。
“幸福ホルモン”を出す!人間関係をラクにする3か条
- 朝日を浴びる
- 朝夕30分ずつ歩く
- 家に花を飾る
60代女性の「後悔」についての相談

感情に任せて、友人に、いらないひと言をぶつけてしまいました。あんなことを言わなければよかったなあ……と、いつまでも後悔しています。(66歳・埼玉県)
柿木さんのアドバイス

これまで説明してきたように、年齢を重ね、65歳くらいを過ぎると、感情の抑制がきかなくなってきます。それは、相手も自分も、お互い様だとわかっているとラクです。
だから自分のひと言にくよくよ悩まずに、すぐに謝ってしまいましょう。
若い頃は、突っ張っていてなかなか謝るひと言が出てこないかもしれませんが、年を取ると意外とすぐ謝れるものです。そして他のことに意識を向けたり楽しいことをしたりして記憶の上書きをしていきましょう。
「後悔」を気にしない3つのヒント
くよくよ後悔することは、嫌な出来事が「長期記憶」として保存されているということです。もっと強烈な記憶を上書きするか、意識を別なところに向けることで、対応していきましょう。
後悔を気にしないヒント1:前向きで割り切れている人の真似をする

脳にはミラーニューロン(鏡のような神経細胞)があり、他人の言動を真似たりしたときに活動します。くよくよする人は前向きな人と話し、言動を真似てみましょう。徐々に自分もその考えを取り入れられます。
後悔を気にしないヒント2:ある事を対処できたら別の作業をする

くよくよしてしまうときは、嫌な気持ちに引きずられないように、意図的に環境を変える必要があります。対処を終えたら、「まず目の前のことを片付けよう」と部屋の掃除をするなど意識を切り替えるといいでしょう。
後悔を気にしないヒント3:プチぜいたくなどストレスホルモンを外に出す

ずっと心の中だけでくよくよと後悔しているよりは、独り言でも気持ちを口に出したり、スイーツを食べたりして、ストレスホルモンを排出し、楽しい記憶の上書きをするのも効果的です。
60代女性の「妬み」についての相談

友人によく身内の自慢話をする人がいます。私には孫がいませんが、友人の中で孫がいる人は勝ち組、いないと負け組のように見られます。ときどき孫の自慢話をされると、何だかモヤモヤします。(64歳・大阪府)
柿木さんのアドバイス

隣の芝生が青く見えるのは人類共通の感覚で、大なり小なり誰もが感じることです。
ただ、脳科学では「錯視」と呼んでいる現象があり、本当は同じ大きさでも周囲の影響で錯覚して同じ大きさに見えないことがあります。例えば、同じ顔の人でも色白の人に交じっていると色黒に見えるなどです。他人の状況が、実際以上によく見えてしまうこともあるのです。
自分の人生に満足していたら、他人はあまり気にならないもの。自分の状況を冷静に見る機会と捉え、下のヒントのような小さなことから試してみましょう。
「妬み」を気にしない3つのヒント
妬みを感じるとき、脳の大脳辺縁系の、特に痛みを感じる部分が働きます。人を妬むということは自分の脳や心が傷ついているということ。それを知り、快楽中枢など脳の別な部分を働かせる行動をとりましょう。
妬みを気にしないヒント1:人によく褒められたことを思い出してみる

褒められると脳の快楽中枢が働き、幸せホルモンのドーパミンが放出されます。褒められたことを思い出すだけでもドーパミンが分泌され、嫉妬から意識をそらせます。自分の長所を再確認でき、妬みも弱まります。
妬みを気にしないヒント2:定期的に物を捨てて、諦める癖をつける

妬みに対しては「諦める」という考え方を身に付けることも大切。不要品を処分して物を手放すことは、実は諦める練習になります。片付いた部屋にいると、脳が快感を覚え、ドーパミンがたくさん出る効果も。
妬みを気にしないヒント3:「本能に支配されかかっているぞ」と口に出して捉え方を変える

妬みは怒りと同じように、原始的な感情。「今、本能に支配されかかっているぞ」と口に出すと、理性の前頭葉が働き、気持ちを切り替えるきっかけになります。
60代女性の「悲しみ」についての相談

夫を亡くし、なかなか悲しみが消えません。気分が沈んだまま、毎日を過ごしています。(70歳・福岡県)
柿木さんのアドバイス

特に50代以上の方々にとって大切な人、存在を失うなど悲しい出来事は、決して時が解決するものではないと思います。存分に悲しみ、涙を流してください。
ただ、悲しい記憶はずっとそのままではなく「上書き保存」をしていくこともできると覚えておくといいでしょう。
十分に悲しんだ後、次の一歩が踏み出しやすくなると思います。50代以上の女性は、若い人よりも心がタフでたくましいということもお伝えしておきます。
「悲しみ」を気にしない3つのヒント
悲しみを癒やし、忘れることは容易ではありません。悲しい記憶はほぼ間違いなく長期記憶として保存されます。全く異なる種類の行動をしても記憶の上書きはされませんが、似たような行動をしてそれが楽しかったときは悲しい記憶が薄れ、上書きされることがあります。
悲しみを気にしないヒント1:思い切り泣くと、有害物質がすっきり流れる

涙を流すとストレス物質なども体外に排出されます。体を締め付けるものをはずすと心身がゆるむので、お風呂で泣くのはおすすめ。
悲しみを気にしないヒント2:1日1分、誰かと話す

お店のレジの人など1日1分でも話すと人と人のつながりを実感し、安心感が生まれ、悲しみを癒やすことにつながります。
悲しみを気にしないヒント3:楽しかったときの写真やビデオを見てみる

悲しい気持ちを紛らわせるには、視覚的に訴えるのも効果的。楽しかった思い出の写真やビデオを眺めるのもよい方法です。
2回に分けて、「不安」「怒り」「後悔」「妬み」「悲しみ」という負の感情を気にしないアドバイスとヒントを教えてもらいました。負の感情を気にせず、人間関係をラクにするヒントにしてみてください。
取材・文=野田有香(ハルメク編集部) イラストレーション=Meppelstatt
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年7月号の再編集しています。
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