50代からの女性のための人生相談・201
人生相談:現在50歳。老後資金が不安で、お金を使うのが怖い……
人生相談:現在50歳。老後資金が不安で、お金を使うのが怖い……
更新日:2025年02月13日
公開日:2025年01月29日
50歳「老後資金が不安で、お金を使うのが怖い……」
この先の人生を、ごきげんに過ごすには、どのくらい貯金が必要なのかがわからず、いつも漠然とした不安を抱えています。
そのためか、お金を使うことに抵抗を感じるようになり、買いたいものがあっても我慢するクセがついてしまいました。
明日なにがあるかも知れぬ世の中で、我慢をし過ぎた生活は、精神的に良くないとは思います。
もちろん特段、贅沢をしたいというわけでもありません。
楽しく生きるためには節制ばかりではなく、適度にメリハリのあるお金の使い方をしたほうが良いことは理解しています。
ですが、最近では何が自分にとって快適なのか、わからなくなるときがあるのです。
心豊かに穏やかに暮らして行くためには、どのような意識でお金と向き合えばよいのでしょうか。
(50歳・chachachaさん)
名取さんの回答:老後資金の目安を試算し、目標金額を知っておく
“備えあれば憂い無し”といわれます。老後の資金があれば、生きていく上で憂いが一つ減るでしょう。
そのためには、 この先の人生に、どのくらい貯金が必要なのかを試算しておくといいでしょう。
WEB検索で年齢や既婚の有無、持病などの有無などの絞りこみをすれば、アッという間にAIが膨大な情報をもとに標準的な貯金の目安を提示してくれます。
「ライフプラン」で検索すれば、資金運用の情報も得られます。chachachaさんが取り引きしている金融機関にも、老後のライププランに合わせた総合的な資金運用などの相談窓口があるはずです。
「どのくらい貯金が必要なのかわからない」と不安を抱えているより、前に進むための目標金額を早めに一度、調べてみた方がいいでしょう。
買いたいものを我慢して節約する方向性は間違っていないと思います。
私たちは目標があれば我慢できます。逆に目標がなければ我慢できません
chachachaさんの目標は「この先の人生を、ごきげんに過ごす」なのですね。とても素敵な目標だと思います。
言い換えれば、将来“貧すれば鈍す(貧乏になると頭の働きが鈍くなる、また、品性がさもしくなる)”という状態になりたくないという“目標”のために、買いたいものを“我慢”して節約するのは、実に理にかなったやり方です。
よく言われるように、節約するには「欲しいものを買うな、必要なものを買え」「どうしようか迷ったら、とりあえず買うな」という線引きは有効だと思います。
しかし、「楽しく生きるためには節制ばかりではなく、適度にメリハリのあるお金の使い方をした方が良い」とおっしゃるchachachaさん。これも、その通りだと思います。
私が人生の師と仰いでいる村上正行アナウンサー(大正13年生。故人)はおっしゃりました。
「光熱費や学費、税金など、必要なものにお金を払って喜んでいる人はいません。他人から見れば無駄と思えるような玄関マットや焼き物や人形なんかを買ったときほど、人はいい顔をしているんですよ。無駄というのは、ある意味で“心の贅沢”なんです」
その通りだと思った私は、時により事により、村上さんの言葉を思いだして、心の贅沢を楽しんできました。その筆頭は、数千万年前の虫がすべての珠に閉じこめられた琥珀の腕輪念珠です。
何がごきげんな状態かは年齢とともに変わる
「最近では何が自分にとって快適なのか、わからなくなるときがある」ようですが、どんな状態が快適で、ごきげんでいられるかは、年齢とともに変わってくるでしょう。
仏教では、「すべての作られたものは、そのときの集まっている縁(条件)よって変化してしまうので、同じ状態を保たずに変化してしまう」という“諸行無常”という大原則を説きます。
この原則は「快適さ」にも当てはまります。そのときの縁の集まり具合によって「快適さ」は変化するのです。
当面は、年齢とともに変わる「快適さ」を楽しんでみてください。
その変化を楽しめる心があれば、貯金があるならあるなりに、足りないなら足りないなりに、周りのすべてが愛おしく、快適で、ごきげんな日々になると思います。
これからは、老後の資金が心配だから「~しなければならない」「~しておかないとあとが大変だ」という恐怖をもとに生きているのか(仏教では「有為(畏):うい」といいます)、
それとも「やった方がいいからやっている」「やりたいからやっている」という心境(仏教では「無為(畏):むい」といいます)でやっているのかを、少し意識する練習をされることをおすすめします。
もちろん、無為の状態が多ければ多いほど、心豊かに、穏やかに暮らしていけます。
生まれて初めて経験する50代。心の贅沢を楽しみながら、この10年を「やれるだけやったら、あとはなるようになる」という心境で過ごし、晴々した気持ちで還暦を迎えられることをお祈りしています。
回答者プロフィール:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所研究員。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『心がほっとする般若心経のことば』(永岡書店)など、著書多数。
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