子どもに残すべきはお金?不動産?どちらがお得?
2024.12.122021年12月20日
人気の樹木葬に、海に還る海洋散骨も!
最新のお墓の値段は?負担の少ない樹木葬が人気に
自分が入るお墓をどうすればいいか、悩んでいる人は意外と多いようです。どんなお墓を購入するべきか、田舎のお墓をどうするべきか、決めることはたくさんあります。今回は、最新のお墓事情を紹介しながら、お墓にまつわる終活を考えていきます。
樹木葬を希望する人たちが急増中! その理由とは?
終活において欠かせない項目の一つとして、お墓に関する本人の希望をきちんと伝えることが挙げられます。自分がお墓に求めているイメージを明確にするためにも、まずはお墓の最新事情について探ってみましょう。
日本最大級のお墓ポータルサイト「いいお墓」を運営する鎌倉新書が2021年1月に実施した「第12回お墓の消費者全国実態調査(2021年)」によれば、お墓選びで重視したポイントは「お墓の種類(「一般墓」や「樹木葬」など)」でした。
2位の「自宅から霊園までのアクセス」に対して差をつけた結果となっています。
では、実際にどのような種類のお墓が人気なのでしょうか。同調査は毎年実施されていますが、前回(2019年)初めて一般墓を上回った「樹木葬」が21年も1位となりました。前回よりも5ポイント上昇して、今後も利用する人が増える見込みです。
樹木葬を選んだ理由としては、「後継ぎがいなくなるから」「自然に還るイメージが持てたから」「お墓の掃除が不要な点がいいと思った」「お花に囲まれたお墓が故人に一番似合うと思った」などが代表的な意見です。
樹木葬の人気の背景について、「いいお墓」お客様センターの責任者を務める佐藤信也(さとう・しんや)さんはこう補足します。
「樹木葬のほとんどは永代供養です。遺族の代わりに霊園や寺院がご遺骨を永代にわたって管理・供養してくれるので、後継者がいなくても大丈夫という安心感があります。また、墓石もプレートに用いるのみのため、相対的に値段も安くなります」
さらに、宗教・宗派を問わないケースが多いことも樹木葬のメリットと言えるでしょう。花や緑に囲まれて永眠できることに魅力を感じ、生前に自分のお墓として樹木葬を選ぶ女性も増えているとのことです。
最近のお墓の種類と気になる値段は?
一方、同調査において、樹木葬、一般墓に次いで3位に入ったのは「納骨堂」でした。いわばお墓版の分譲マンションで、基本的に永代供養です。東京都内を中心に人気を集めているようです。
気になるのはそれぞれの値段ですが、一般墓の平均購入価格は169万円、樹木葬の平均購入価格は71.7万円、納骨堂の平均購入価格は91.3万円となっています。
「一般墓の値段は高めですが、平均で5~6体の骨壺を収容することができます。樹木葬は墓石代がかからないことが多いため費用は一般墓より抑えられます。納骨堂は近年「自動搬送式納骨堂」が人気で、ビルの建設費など初期費用がかかるため、同じ永代供養の樹木葬より高くなる傾向があります」(佐藤さん)
他にも変わり種として、旅行を兼ねることでお墓参りを楽しいイベントにできるリゾート葬(人気の観光地での埋葬)や、あえてお墓を作らず“母なる海”へと還す海洋散骨なども登場しています。
リゾート葬は一般墓や永代供養墓の購入費に加え、別途旅費の負担があります。海洋散骨は、単独散骨が数十万円、合同散骨が10万円前後、委託散骨が5万円前後といったところが相場のようです。
また、種類によっては、購入費だけでなく管理費もかかります。
管理費がかかる場合は、一般墓、樹木葬、納骨堂ともに年間2000円~1万5000円程度となります。
先祖代々のお墓を「墓じまい」、自分のお墓を求める人が増えている
ふるさとに先祖代々のお墓がある、という人もいるでしょう。しかし、東京をはじめとする大都市圏に移り住んだ人たちの間では、今の生活拠点から遠くないエリアで新たにお墓を購入する動きが増えています。
なぜなら、お墓の管理やお参りで、この先、子どもたちに負担をかけてしまうと考えるからです。実際、自分たちもなかなかお墓参りに行けず、掃除などを代行してもらっているというケースも。
そのため、「墓じまい」を検討する人も増えています。「墓じまい」とは、遺骨を別のお墓に移すために、元々の墓石を撤去し、墓所を更地にして使用権を返還することですが、実際にはどのような手順で行われるのでしょうか。
「まずは新しいお墓を決めた上で、管轄の地方自治体に必要書類を提出し、その霊園やお寺などと契約している石材店にお墓の解体と区画の更地化を依頼します」(佐藤さん)
費用は、解体・更地化で40万円程度が平均的とのこと。ただ、例えば山の上にあり、重機が使用できないなどの制約があると70万円近くかかるケースもあるそうです。また、これまでのお礼の意味を込めて、住職などへのお布施も必要となります。
このように「墓じまい」はなかなか大変なイベントですが、生前に自分たちの入るお墓を整えておけば、子どもに負担をかけることもなくなるというわけです。
終活の一環として、生前にお墓のことを決めておこう
では、お墓(埋葬)に関して何も決めず、自分の希望ものこさず亡くなってしまったらどうなるでしょう。先祖代々のお墓の近くで暮らしているなど、既に埋葬についての意思が共有されている場合を除いて、遺族は悩んでしまうはずです。
新しいお墓を購入するにしても、どんな種類にすれば故人の希望に沿うのか。値段はどの程度のものにすればいいのか。そしてその費用はどう捻出すればいいのかなど、のこされた人に負担をかけてしまうことにもなります。
特に子どもと離れて暮らしていたり、配偶者に先立たれてひとりで生活している「おひとりさま」は、自分の入るお墓に関して、生前にしっかり考え、あらかじめ用意しておくことが必要です。
例えば、三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」なら、お墓に関して自分の希望を伝えておけます。永代供養、樹木葬、海洋散骨なども選択でき、より自分らしい埋葬が叶います。亡くなった後は、一般社団法人が希望通りの埋葬を手配してくれるので安心です。
また、費用もあらかじめ信託したお金から支払われるので、のこされた人に迷惑をかける心配もありません。
「おひとりさまの場合は、お墓の種類やエリア、こだわりなどをしっかり伝えておくことをおすすめします。これだけは譲れない、という部分ですよね。そして、それを第三者にしっかり託すということが大切なのだと思います」(佐藤さん)。
新型コロナウイルス感染拡大を経て、葬儀は簡素化する一方で、お墓参りは頻繁に行われる傾向があると佐藤さんは話します。故人を悼む時間をしっかり持ちたいという想いの表れかもしれません。
お墓は、故人が眠りにつく場所であり、のこされた人が手を合わせられる大切なシンボルといえます。生前にしっかり準備し、自分らしい埋葬を行ってもらえるようにしたいものです。
【鎌倉新書】
葬儀・お墓・相続・介護など終活関連のポータルサイト運営や冊子・専門誌を出版。累計相談件数150万件超。東証一部上場。ミッションは「明るく前向きな社会を実現するため、人々が悔いのない人生を生きるためのお手伝いをします」
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■記事協力=三井住友信託銀行