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- 「墓じまい」体験談! 費用と労力、そのリアルは?
終活の一つとして、最近増えているのが「墓じまい」。先祖代々受け継いできたお墓を閉じる墓じまいは、どのような手順で進められ、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。専門家のお話や、ハルメク読者のリアルな体験談も交えながら解説します。
「墓じまい」を検討する人が増加!その理由とは
墓じまいとは、お墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して更地に戻したのち管理者に返還することです。取り出した遺骨は、あらかじめ準備した新しいお墓に移す(改葬といいます)のが一般的です。
「お墓が遠方にあったり、承継者がいないことで、改葬・墓じまいを検討する人は増えています。少し前までは改葬・墓じまいは歓迎されていませんでしたが、最近はそれも仕方がないという風潮になってきています」と吉川美津子(きっかわ・みつこ)さんは言います。
先祖代々受け継がれてきたお墓を閉じることは、ご先祖様に申し訳ないと思う人も多いようです。
「でも、承継者に連絡が取れない、管理料が支払われないなどで放置されてしまい、無縁墓になってしまうケースもあります。ですから、墓じまいをしようと考えている方こそ、ご先祖を大事に思っている方だと思いますよ」
改葬・墓じまいはどのような手順で進めるの?
一般的に、墓じまいは以下の手順で進めることになります。
- 家族や親戚と話し合う
- 新たな納骨先と契約し、「受入証明書(または墓地使用許可証等)」をもらう
- お墓がある霊園・墓地に、墓じまいを行う旨を連絡
- お墓がある自治体で「改葬許可申請書」をもらい、お墓の管理者から「埋葬証明」を発行してもらう
- 「受入証明書」「改葬許可申請書」「埋葬証明」をお墓がある自治体に提出し「改葬許可証」を発行してもらう
- (仏教の場合)「閉眼供養(魂抜き)」を行ってから遺骨を取り出す
- 石材店に依頼し、墓石を撤去して更地に戻す
- 「改葬許可証」を提出して、新しいお墓に納骨する
改葬・墓じまいにかかる費用は
墓じまいを行うにあたり、あらかじめ決めておく必要があるのは、新たな納骨先です。それが決まっていないと、現在のお墓がある自治体から許可が下りません。墓石を購入して新しいお墓を作るのか、永代供養墓や納骨堂、樹木葬墓地などを選ぶのかで費用は大幅に異なります。
新たな納骨先が決まったら、お墓がある霊園・墓地に墓じまいを行う旨を連絡します。お寺の檀家になっている場合は「離檀(檀家をやめる)」という手続きを経ることになり、これまでのお礼を兼ねて数万円程度のお布施を包みます。俗に「離檀料」とも言われます。
そして、お墓がある自治体で「改葬許可申請書」を入手します。「改葬許可証」を発行してもらうには、今のお墓の管理者が発行する「埋葬証明」や、新たな納骨先が発行する「受入証明書(または墓地使用許可証等)」が必要になります。各書類の発行時には数百円から、1000円程度の手数料がかかります。
今のお墓から遺骨を回収する際には、仏教の場合「閉眼供養(魂抜き)」と呼ばれる儀式を行い、お経をあげてもらいます。そのためのお布施が数万円程度必要です。
遺骨を引き取った後は、石材店などに依頼して墓石を撤去し、更地にして管理者に返還します。更地に戻す作業費は1平方メートル当たり8万〜10万円が相場のようです。
その後、遺骨を新たな場所に納骨すれば作業はすべて終了となります。ただし、納骨の際に法要を営むケースが多いので、その際にはやはり数万円程度のお布施が必要となります。
このように、改葬・墓じまいを行うにはかなりの費用がかかります。離檀料や石材店への費用などは、事前に調べておくのが賢明でしょう。
気軽に墓参りできてうれしい! ハルメク読者の墓じまい体験談
ハルメク読者の中にも、実際に墓じまいと改葬を体験した人がいます。愛知県在住のTさんは、ご両親を亡くした後、近所の方々の協力を得ながら、島根県にある実家とお墓を30年近く守ってきたそうです。
「遠方ですから、自分自身が帰省できるのは年に4~5回。高齢になり、移動するのも大変になってきて、こんな苦労を次の世代に継がせたくないと思いました。5年ほど前から墓じまいを検討し始め、2020年に実行しました」とTさんは話します。
まず2年ほど前に、愛知県内の霊園で墓地を購入。ちょうどその頃、空き家バンクに登録していた実家も売却でき、いよいよ墓じまいを実行するタイミングが訪れたそうです。
「基本的に手続きは自分一人で行いました。墓石を撤去するために、2つの石材店から見積もりを取った結果、15万円くらい差が出てびっくり。きちんと更地にしてもらえばいいので安い方を選びましたが、それでも50万円弱とかなりかかりました」
墓じまい自体は、地元の知人たちからさまざまな情報が得られたので、順調に進んだそうです。大変だったのは、新しいお墓の手配。墓地は確保したものの、石材店のツテもなく、料金の交渉などで苦労したとか。
「実家のお墓に使っていた墓石を持って来られたら親はもっと喜んだかな、と思うと心残りです。ただ、それをすると費用面で負担が重すぎて。でも、お墓が近くなって、気軽にお参りできるようになったのはうれしいです」
今は、気が向いたらすぐにお花を供えに出掛けているというTさん。墓じまいをして良かったと話してくれました。
終活は元気なうちが鉄則!思い立った時がタイミング
実家を離れて暮らしている人にとって、墓じまいは決して他人事ではありません。一方、子どもは都市圏に移り住み、自身は地元で暮らし続けているという人も、将来自分が入るお墓について早急に考える必要があるでしょう。
跡継ぎがいないという問題を抱えている人ならなおさら、墓じまいも含め、気力・体力があるうちにお墓のことを考えてみてはいかがでしょうか。
また、のこされた人の負担を考えるなら、墓じまいと一緒に、自身の葬儀や埋葬の希望を家族が分かるようにのこし、場合によっては自身で手配しておくことも重要です。
例えば、三井住友信託銀行の「おひとりさま信託」なら、葬儀や埋葬に関する自分の希望を信頼できる第三者に託しておけます。埋葬に関しては、永代供養や樹木葬墓地、海洋散骨といった方法を選ぶことも可能です。
代々受け継いだお墓の継承者がいないなら、元気なうちに墓じまいを視野に入れ、「おひとりさま信託」で自分の死後を託す。こうしたサービスの利用も検討しながら、お墓についてしっかりと準備をしておきましょう。
取材・監修:吉川美津子さんのプロフィール
きっかわ・みつこ 葬儀・お墓・終活ビジネスコンサルタント。葬送・終活ソーシャルワーカー・社会福祉士。大手葬儀社、墓石・仏具店で実務を積み、葬儀ビジネスに関するコンサルティング業務を開始。著書に『ゼロからわかる墓じまい』(双葉社刊)など。
※この記事は2022年1月の記事を再編集をして掲載しています。
■もっと知りたい■
■記事協力=三井住友信託銀行
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