死に対するイメージ、少し変えてみよう対談(2)

有機還元葬?ポップに死を考える「Deathフェス」開催で見えてきたいろいろ

有機還元葬?ポップに死を考える「Deathフェス」開催で見えてきたいろいろ

更新日:2025年05月13日

公開日:2025年04月29日

有機還元葬?ポップに死を考える「Deathフェス」開催で見えてきたいろいろ

『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』の著者であり、終活スナック「めめんともり」のママ・村田ますみさん。今回は、「死」をよりポップに捉える場として話題の「Deathフェス」を共同主催する市川さんと小野さんとの対談から一部抜粋してご紹介します。

教えてくれたのは、村田ますみさん

むらた・ますみ 1973年東京生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。IT業界、生花流通業界を経たのち、亡き母を散骨したことをきっかけに 2007年 株式会社ハウスボートクラブを起業。2024年2月、死についてオープンに語り合えるサードプレイス「終活スナックめめんともり」を東京都江東区森下に、2025年2月には2号店となる沖縄店をオープン。著書に『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』(ブックダム刊)。

対談相手は、「Deathフェス」を主催するお二人

めめんともりには、1日だけスナックのママを体験できる「1日ママ」制度があります。

その「1日ママ」を体験した一般社団法人「デスフェス」の共同代表市川望美さんと小野梨奈さんのお2人。2024年4月に渋谷ヒカリエで開催されたイベント「Deathフェス」は、6日間で2000人を動員し、多くのメディアにも取り上げられ話題になりました。(2025年4月も開催)

市川望美(いちかわ・のぞみ) 
一般社団法人デスフェス共同代表・非営利型株式会社Polaris ファウンダー・社会デザイン学修士・日本ファンドレイジング協会 准認定ファンドレイザー

小野梨奈(おの・りな)
一般社団法人デスフェス共同代表・合同会社カレイドスタイル 代表

「生」だけじゃなく「死」もウェルビーイングに

Deathフェスの様子

村田:私たちが出会ったのは2023年の夏ですよね。みけらさん(棺桶デザイナーでチーママ)のアトリエでやっていた入棺体験に、小野さんがお仲間と一緒に来てくれて。そのときに「今度Deathフェスっていうのをやろうと思っていて…」と聞かされて、「それは一体何?」という感じで(笑)

エンディング業界とは関わりのないお二人がこのような企画をされたことに驚きました。

小野:私と市川さんは長い付き合いなのですが、一昨年、夜お酒を飲みながら「私は最近、有機還元葬に興味がある。私は火葬せずに微生物によって分解されて堆肥になりたい」みたいな話をしたんですね。そうしたら、お酒の勢いもあってか、周りも含めてすごく面白がってくれたんです。

市川:「私は海がいいな」みたいな話をしてね。

小野:すごく盛り上がりましたよね。誰でもいつかは死ぬのだから 死をタブー視するのではなく、「どんなふうに死を迎えたいか」とか、「死んだ後こうなったらいいな」などもっとカジュアルに話せてもいいよねという話になったんです。

それで、いろいろな情報や選択肢を知ることができるようなフェスをやろうとなりました。死をテーマにして「Deathフェス」っていうのをやろうって、その日のうちに決めました。

市川:4月14日を「よい死の日」にして、「みんながその日に自分の生や死を考えるというムーブメントを作るんだ、渋谷から!」みたいになって。それで翌年の4月14日の曜日を調べたら、日曜日だったので、もうこれは来年やるしかないと(笑)

村田:渋谷ヒカリエといったら、渋谷のど真ん中ですよね。そこで死をテーマにイベントをするということが、まずすごい。「渋谷だから若い人が来るのかな」と思ったら、意外とシニアの方も来ていましたよね。

市川:「死×○○」というテーマでのトークセッションをしたり、ワークショップをしたり、あとはみけらさんに「Deathフェス棺」を作ってもらって入棺体験も。めめんともりのような「Deathスナック」もやりましたね。

小野:さまざまな世代の方々がすすんで棺桶に入られたり、有機還元葬にも興味を持っていただけたりして。

市川:世代が違ってもそれぞれに等しく死についての思いがあるので、同じテーマでみんなが混ざり合って話すのはスナックのよさだなと感じました。

死をカジュアルに話せる場があるのが癒やしに

死をカジュアルに話せる場があるのが癒やしに

村田:お二人はめめんともりの「1日ママ」の記念すべき第1号なんです。やってみてどうでしたか?

市川:「死にまつわる話をしてOK」という前提の中で、隣に座った人とカジュアルに話ができるというのがいいですよね。「死」は、普段の交際範囲の中では扱いにくいテーマですが、それを気にせずに話せるってとてもいいなと思います。

小野:「死」は誰も経験していないので、何が正解とかってないと思うんです。そういう捉え方や考え方もあるんだとか、あっていいんだとか、話すといろいろな角度から死を捉えることができるのがよかったです。

市川:私は父が去年急に亡くなったのですが、母がDeathスナックやめめんともりで自分の身に起きたことを聞いてもらう中で、心の整理をつけて、前に進む様子を見ているんです。 

だから家族や身近な人の死に直面したときとか、そういう気持ちを消化する上でも、こういう場があるといいなと思います。専門家ではなく、普通の人に聞いてもらうことで癒やされることもあると思うので、終活スナックはいろいろな場所にあってほしいです。

死んだら土に?海に?お墓だけじゃない選択肢も

死んだら土に?海に?お墓だけじゃない選択肢も
SA555ND / PIXTA(ピクスタ)

村田:小野さんが実現を目指している有機還元葬(※)は、アメリカのいくつかの州で合法化され、話題になっていますね。

小野:私はもともとお墓に入ることに抵抗があり、それ以外の方法を調べていたのですが、有機還元葬を知ったときに、自分の肉体はなくなっても、堆肥となって次の新しい生につながっていく、という循環をイメージすることができ「これを選びたい!」と思ったんです。

それからは自分が死ぬことに対してあんまり怖くなくなった気がします。そこで今、有機還元葬を日本で実現するための法人を二人で立ち上げる準備を進めているところです。

市川:私は「海洋葬」という、骨ではなく亡骸をそのままの状態で海に沈めるという方法ができるようになってほしいと考えています。私にとっての死とは「次の世界線への移行」のようなもので…。ずっと続いてる命が違うところに行くという感覚です。

こんなふうに今後もっと新しい選択肢が広がって、それぞれにとっていい選択ができるようになっていくといいなと思っています。

※有機還元葬(堆肥葬)遺体を微生物によって分解し、土に変える埋葬法。2019年に米ワシントン州で合法化され、スタートアップ企業を中心に実施されている(「Circular Economy Hub WEBサイト 「究極の循環のあり方、有機還元葬(堆肥葬)が問いかける生と死の意味」」(URL: https://cehub.jp/report/recompose/)より引用。

次回の記事では、「自分らしい最期を迎える、終活“3つの鍵”」を紹介していきます。

※本記事は、書籍『ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』より一部抜粋して構成しています。


■「50代から探す、私らしい“最期”の迎え方」をもっと読む■

#1:「終活スナック」で見つけた自分らしい死生観
#2: 50歳で生前葬をして気付いた「本当の私」
#3: 有機還元葬?ポップに死を考える
#4:遺された人を困らせない終活“3つの鍵”

もっと詳しく知りたい人は、村田さんの書籍をチェック!

もっと詳しく知りたい人は、村田さんの書籍をチェック!

ちょっと死について考えてみたら怖くなかった』(ブックダム刊)

終活スナック めめんともり。一風変わったスナックのママとして、カウンターに立つ村田ますみさんがつづる初のライトエッセイ。理想の最期について考えるヒント、入棺体験を通じた「生まれ変わり」のプロセス、終活の実践的なアドバイスまで、いずれ死を迎えるすべての世代に向けて語ります。

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。