母の日に考える“ありがとう”のかたち~心に咲く、感謝の花束を~

母の日に考える“ありがとう”のかたち~心に咲く、感謝の花束を~

公開日:2025年05月10日

母の日に考える“ありがとう”のかたち~心に咲く、感謝の花束を~

普段はなかなか口に出せない「ありがとう」の言葉。母の日に寄せて、あなたの心の奥にあるやさしい記憶をそっと思い起こしてみませんか。

5月になると、やわらかな風やまぶしい緑、色とりどりの花々に心がほっと和らぎますね。  

そんな季節にふと、感謝の気持ちを思い出すことがあります。  

なかなか口に出せない「ありがとう」も、今だからこそ伝えてみませんか?

今回のコラムでは、母の日に寄せて、感謝の想いとともに心を整えるヒントを綴ってみました。あなたの心の奥にある、やさしい記憶にそっと寄り添えたらうれしいです。

吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

吉原友美

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。
自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。

「ありがとう」は、誰のために?

5月になると、街に赤やピンクのカーネーションが咲き誇ります。母の日の季節ですね。この時期、花屋さんでカーネーションを見るたびに、私はふと思うのです。

「ありがとうって、ちゃんと伝えられているかしら?」と。

子どもの頃は、折り紙で作った花を手渡したり、「いつもありがとう!」と無邪気に声をかけたりできたのに、大人になるほど言えなくなるのはなぜでしょう。照れくさいから? それとも、当たり前の日常に埋もれてしまっているから?

けれど、ありがとうの言葉は、誰よりもまず「自分自身の心を癒やすため」にあるのかもしれません。

見送ったあの人にも、届く想い

私はこれまで、グリーフケア士として多くの方の“お別れ”の場面に立ち会ってきました。そして、多くの方が口を揃えてこうおっしゃるのです。  

「もっと、ありがとうを伝えておけばよかった」と。

けれど、私は信じています。  “ありがとう”は、たとえ直接言えなくても、心に浮かべるだけで届いていく、と。

手紙にしてもいい。写真に話しかけるのもいい。心の中でつぶやくだけでもいいのです。その想いは、きっと風にのって、空の向こうにいる大切な人に届いている——私はそう信じています。

ある女性は、母の日に亡き母のためにカーネーションを1本買い、仏壇にそっと供えました。「お母さん、私も母になったよ。ありがとうね」とつぶやきながら。その姿はとても美しく、凛としていて、見ている私まで胸が熱くなりました。

母になった私たちへも、“ありがとう”

母の日は、「母に感謝する日」だけではありません。実はもう一つ、とても大切な意味があるのです。

それは、“母である自分自身”をねぎらう日。がんばってきたあなた自身に、「ありがとう」と言ってあげてください。 

家族のために尽くし、時に悩み、迷いながらも、ここまで歩んできた自分へ。ご飯をつくり、看病をし、時に自分のことを後回しにしても笑ってきた日々。それは、あなたにしか歩けなかった、かけがえのない人生の道のりです。

終活の現場でもよく言われます。「私、ちゃんとやれてたのかしら?」と。その問いに、私はこう答えます。

「十分すぎるほど、やってこられたと思いますよ」と。

今からでも遅くありません。あなた自身への“ありがとう”も、ぜひ、言葉にしてみてください。

今年の母の日、私は「ありがとう」と書いた小さなカードと一緒に、自分にラベンダーの香りのハーブティーを贈りました。湯気とともにふわっと広がるやさしい香りに包まれながら、「本当によくやってきたね」と、自分の心に語りかけてみたのです。そんな静かなひとときが、心の奥をやわらかくほぐしてくれました。

エンディングノートに感謝の想いを綴るのも、一つの素敵なかたちです。

未来の子どもたちへの贈り物として、「私はこんなふうに、あなたたちを育ててきました」という記録とともに、優しい言葉を残してみてはいかがでしょうか。

「ありがとう」が、未来の希望になる

“ありがとう”は、過去を癒やす言葉であり、同時に、未来を明るく照らす言葉でもあります。母の日をきっかけに、ぜひ一つ、“ありがとう”の行動をしてみてください。

電話を一本かける。写真を一枚選ぶ。ノートに一言メモする。その小さな一歩が、誰かの心をほぐし、自分の気持ちも軽くしてくれるはずです。

母の日は、花を贈るだけの行事ではありません。自分と向き合い、感謝を深め、人生を見つめ直す、大切な節目の一日です。

あなたの“ありがとう”は、きっと誰かの心にそっと咲く花となって届くでしょう。  

この5月、あなたらしい“ありがとうのかたち”を見つけてみてくださいね。


↓連載コラムの他の回はこちらをクリック↓

あなたの終活、間違ってます!

 東上セレモサービス加入者様(互助会会員様)は
初年度年会費無料でHALMEK upプレミアム会員登録ができます
詳しくはこちら

 

吉原友美
吉原友美 東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。家族が早くに他界した経験から死生観を育成して生きる大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い死生観について伝え、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説。セミナー参加数は累計2万人以上の人気を誇る。終活サポートサイト「今日から終活!」インスタグラムはこちら。