「種種雑多な世界」水木うららさん
2024.11.302023年04月25日
山本ふみこさんのエッセー講座 第9期第2回
エッセー作品「偶数月15日の買い物」大竹昌子さん
随筆家の山本ふみこさんを講師に迎えて開催するハルメクのエッセー講座。教室コース 第9期の参加者の作品から、山本さんが選んだエッセーをご紹介します。今月のテーマは「お茶」です。大竹昌子さんの作品「偶数月15日の買い物」と山本さんの講評です。
偶数月15日 の買い物
月が替わって10日ごろから、冷蔵庫の片付けを兼ねた献立が増えてくる。
食品庫の乾物も賞味期限をみながら調理する。冷凍庫のプチ整理も。
こうしてすっきりして、15日気合で買い物に出かける。
そうです、その日は年金支給日だからです。
ちょっと込み合っている郵便局で食糧費を引き出す。広告片手に、購入品目をみながらかごに入れる。
4割ぐらいは生協宅配で済ませているから、そんなにむきになって買い物をする必要もないのにと思う。
そうじゃない、昔からお給料日にはちょっと気張ってご馳走にする、そんな習慣が続いている。
だから、その前日までは質素な夕食にする。そのメリハリが良い塩梅に刺激になっている。
月半ばに近隣のスーパーは、中華フェアとか、ご当地フェアとか買い物心をそそってくる。今月は「九州・沖縄フェア」であった。
1月に沖縄に旅行したがいつになくお土産を控えたので、ここぞとばかりに、広告のきれいな写真に〇をつけた。
旅先では見合わせた、重たいさんぴん茶や、オリオンビール、沖縄そばも購入。
その日の献立は、ふーチャンプルとタコライスになった。
もちろん、ビールも泡盛サワーもいただく。ちょっとハレの日。
そんな、月半ばの買い物の帰りにはお一人様お茶をする、懐かしの喫茶店とか、今風のカフェのランチとお茶もある。
ショッピングセンターにあった、某お茶園カフェが閉店したのは残念だった。
その店の後はなんと、ゴディバになった。
気になってはいるが、あの、チョコレートの飲み物には手が出せないでいる。
スイミングの帰りに孫を誘ったら、「お腹こわしそう」と断られた。
奇数月は20日のアルバイトの給与振り込みにやっぱりお茶をする。
働いていたころ、「一人でお酒」をして悦に浸っていたが、お茶なんてかわいくなったな。
山本ふみこさんからひとこと
自立をことさらに主張することもないのに、「偶数月十五日の買い物」からは、それが伝わります。
お孫ちゃまの「お腹こわしそう」というセリフも効いています。
こういうとき、だからどうだなんて書く必要はありません。
事実だけを(セリフだけを)書くと、こうも伝わるというわけです。
著者のセンスに脱帽です。
山本ふみこさんのエッセー講座(教室コース)とは
随筆家の山本ふみこさんにエッセーの書き方を教わる人気の講座です。
月1本のペースで書いたエッセーに、山本さんから添削やアドバイスを受けられます。
募集については、今後 雑誌「ハルメク」誌上とハルメク365イベント予約サイトのページでご案内予定です。
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