【55歳ユミの場合】やっと素敵な男性に出会えた

【8】セカンドパートナーの沼!バブル世代の彼

公開日:2024.12.14

55歳ユミの恋愛ルポ第8話。最近耳にすることが増えた「セカンドパートナー」という関係。不倫とは違うと言いつつ…ハマってしまう人も多い。「既婚者マッチングアプリ」で出会った2人目の男性は、会話も見た目も素敵で、バブルの話題でも盛り上がり……。

前回までのあらすじ

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前回の話はコチラから。ユミ(55歳)の恋愛談を紹介しよう。姉にコンプレックスを抱きながら育ったせいで、自己肯定感が低い性格となってしまったユミ。

バブル崩壊後に会社で出会った夫と結婚したものの……妊娠中に浮気され、心を閉ざしながらも母親業にいそしむ日々が続いていた。

夫と喧嘩したことをキッカケに始めた「既婚者マッチングアプリ」。やりとりした人と初めて会うことになったが、その結果は…想像したものとは違い、盛り上がらない、つまらないものだった。

その後も既婚者マッチングアプリを続け…

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1度目の出会いの後も、既婚者向けマッチングアプリで別の男性たちとメッセージのやりとりを続けた。前回の教訓から、「あまりすぐには会わない方がいい」ことはしっかり学んだ。

2週間ほどたって、メッセージのラリーがスムーズに続いていたダイスケさんに「今度、食事でもしませんか?」と誘われ、ユミさんもやっとその気になった。
 
「ゆっくり食事でもしませんか、と。彼となら会話に困ることもなさそうだし、何よりメッセージのやりとりから優しさが伝わってきたので、OKしたんです。

当日になってから、夫に『急にパート仲間にアクシデントがあって、残業になったから、夕飯は食べてきて』とLINEをしたんです。夫からは『夫の食事より残業ですか、わかりました』と冷たい返事がきました。どうしてこういう言い方をするんだろうと……ムカつきながらも、私は彼に会いに出掛けました」

イタリアンレストランでのうれしい出会い

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彼が予約してくれたのはカジュアルなイタリアンレストランだった。店の中は陽気な雰囲気で、予約名を言うと奥の席に通された。写真とイメージが違わないダイスケさんがそこにいた。それだけで、なんだかうれしくなったという。
 
「自己紹介はもうメッセージのやりとりの中でも済んでいるし、気負わず緊張せずに向き合うことができました。

懐かしいバブル時代の話で盛り上がり

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『そういえばバブルの頃は、イタ飯とかいってイタリアンが流行ったよね』という話になり、私はまだ学生だったけど、アルバイト先の社員の人に連れて行ってもらって、ティラミスを初めて食べたことがあったと思い出しました。

『そうだよ、ティラミスとかナタデココが流行ったね!』なんて盛り上がって。かろうじてかすっただけだけど、バブルの頃の世の中の雰囲気は、お祭りみたいで本当に特別だった。今から思えばおかしいけど、あの頃、社会人ど真ん中だった人たちはそれなりに浮かれて楽しい日々だったんじゃないかとか。

私は、吉本ばななさんの『キッチン』が好きで何度も読んだなあと言ったら、『あの頃1989年にベルリンの壁が崩壊したよね』とダイスケさんが言いだしたんです。彼、当時、ドイツに短期留学していたそうで、自分の目で見た様子をいろいろ話してくれました。

そこに居たかどうかは別としても、本当に同じ時代を生きてきた人なんだなあということがよくわかって、時間も忘れてすごく楽しかったんです」

店を出る頃には、ユミさんの警戒心は緩みきっていた。「もう一軒、行かない?」と彼に耳元でささやかれ、ワインの酔いも手伝って、コクリと頷くとタクシーに乗せられた。

行きつけのお店が遠いのかしら……と思ったら、タクシーを降りた先はラブホテル街だった。

亀山早苗

東京生まれ。明治大学卒業後、フリーランスのライターとして雑誌記事、書籍の執筆を手がける。おもな著書に『不倫の恋で苦しむ男たち』『復活不倫』『人はなぜ不倫をするのか』など。最新刊は小説『人生の秋に恋に落ちたら』。歌舞伎や落語が大好き、くまモンの熱烈ファンでもある。

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