- ハルメク365トップ
- カルチャー
- エンタメ
- 展開に期待しかない!「大豆田とわ子と三人の元夫」
コラムニストの矢部万紀子さんによるカルチャー連載。今回は火曜夜21時に放送中のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」。「東京ラブストーリー」「カルテット」を生んだ名脚本家・坂元裕二作品です。大興奮の矢部さんいわく「今後に期待しかない!」
第2話で波乱万丈の波が到来中。早く続きが見たい!
第1話を見て、すっかり満足しました。「波瀾万丈ではないけれど、笑えて切ないいいドラマね」と。第2話を見ました。なんということでしょう、波瀾万丈の波が近づいているではありませんか。早く続きが見たくてたまりません。
はい、4月13日から始まったドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」(関西テレビ系)の話です。坂元裕二さんが脚本で、松田龍平さんが出ています。2人ともマイ「この人の名前があったら無条件で見る」リストに載っています。そして、予想以上の面白さです。これからどうなるのか、期待しかないです。
第2話までのあらすじ
大豆田さん(松たか子)は建築設計事務所の社長です。一人娘・唄は最初の夫(松田さん)との子どもで、今は中学3年生。唄は2人目(角田晃広さん)と3人目(岡田将生さん)の義父を「シーズン2」「シーズン3」と呼んでます。
大豆田さんは、いとこの結婚式(おしゃれなガーデンウエディング)で挨拶を頼まれていました。が、「バツ3」が相手の親にバレて、キャンセルに。と、そこへ大雨が。一斉に逃げ出す出席者を横目に、「降れ、降れー、もっと降れー」とつぶやきます。横にいる唄がひと言、「世間は気にするな、私はすくすく育ってる」。帰り道、大豆田さんは引き出物とおぼしき大きなバームクーヘンをかじりながら、唄と楽しそうに歩いています。
大豆田さんは、最近母を亡くしています。お墓の関係で母のメールを開こうとしますが、「最初に飼ったペットの名前」がパスワードになっていて開きません。設定したのは元夫の誰かに違いないということで、3人に会いに行きます。主に大豆田さんと唄と3人が、1対1とか2対1とか1対3とかでしゃべりまくる、そんな第1話でした。ちなみに「対」という字の前が大豆田さんサイドの数、後ろが元夫サイドと思ってください。
坂元裕二作品ならではの台詞に注目を!
とにかく台詞(せりふ)が最高です。それぞれの性格を端的に表しつつ、毒とユーモアが適度なさじ加減で加わり、洒脱なのです。より面白くしているのが、伊藤沙莉さんによるナレーション。登場人物へのツッコミでありフォローであり、絶妙です。
大豆田さんとシングルマザーだった母の、回想シーンがありました。小学生の大豆田さんが離婚の理由を尋ねます。母は「お母さんって大丈夫すぎるんだろうね。一人でも大丈夫な人は、大事にされないものなんだよ」と答え、「とわ子は一人でも大丈夫な人、大事にされる人、どっちになりたい?」と聞きます。「一人でも大丈夫だけど、誰かに大事にされたい」と幼い大豆田さんは答えます。
少ししんみりとさせますが、センチメンタルに流れることはありません。回想シーンはすぐに終わり、3人の元夫を前にした大豆田さんのこんな台詞が笑わせてくれます。
「網戸がねー、外れるんですよ。外れるたびに、あー、誰か助けてくれないかな、とは思う。あー、また恋をしよう、今度こそ一緒にいられる人見つけて、4回目の結婚あるかなって思います。だけどそれはあなたたちじゃありません。これから出会う誰かに網戸を直してもらいます。私、幸せになること諦めませんので。心配ご無用、案ずるなかれ、おかまいなく」
ちなみに、3人とも大豆田さんがまだ好きみたい、というのが前提です。一種の「啖呵(たんか)」ですね。ラストは桜が散る公園で、大豆田さんと元夫4人がブランコを漕ぐ、とてもきれいなシーンでした。漕ぐ姿は松田龍平さんが一番かっこよかったです(ひいき)。切なく終わったのに、第2話から変わりました。
元夫たちの人生が動き出すのです。大豆田さんでない女性が大きく関わってくるようですが、恋愛関係になるのかならないのかはっきりしません。松田さんのお相手は、石橋静河さんです。えー、どうなるのー、続きが知りたーい。
私が坂元裕二さんの脚本作品が好きな理由
最後に少しだけ、私はなぜ坂元さんの脚本が好きなのかを書きます。作品は洒脱なもの、切ないもの、問題告発型のもの、といろいろあります。でも、すべてに共通するのが、肯定される感覚です。それはある人物だったり、あるシーンだったりするのですが、「あー、こういうことでいいんだなー。こういうことがいいんだなー」と思えます。
例えば大豆田さんに、親友が言います。「離婚っていうのは、自分の人生に嘘つかなかった証拠だよ」。離婚体験があるわけではないですが、「自分は自分のままでいいんだ」と思えます。こういう感覚が通底するのが坂元作品で、だから好きなのです。
大ヒット中の映画「花束みたいな恋をした」は、坂元さんの脚本です。20代男女の恋愛模様を描いたものですが、60歳の私も帰り道、はずんでました。「好きなものがあるっていいことだ!」と思えたのです。
ちなみに最初の方に書いた「期待しかない」という表現は、ヒロインの有村架純さんが「次の早稲田松竹の」二本立て映画について言った台詞。これからヘビロテで使いたいと思っています。
矢部万紀子(やべ・まきこ)
1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。「アエラ」、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、書籍編集部長。2011年から「いきいき(現ハルメク)」編集長をつとめ、17年からフリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)、『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔 生きづらさを超えて』(ともに幻冬舎新書)
イラスト=吉田美潮
■もっと知りたい■
- 「夫さん」に感銘。外れなしの脚本家・坂元裕二ドラマ
- 映画「ノマドランド」年を重ねてからの孤独と向き合う
- 草彅剛主演ドラマ「ペペロンチーノ」が問う被災と支援
- 山口百恵さんの引退コンサートは40年ぶりなのに新鮮
- 小泉今日子に思う50代こそ攻めの姿勢と政治的センス
- 沢口靖子さんは朝ドラ「澪つくし」から沢口さんだった
- まりや&薬師丸の人生応援ソング、なぜ居心地が悪い?
- 沼落ち必至「愛の不時着」は重厚な大人の恋愛ドラマ
- 愛の不時着ロスの特効薬!おすすめヒョンビン沼作品
- 朝ドラ「おちょやん」違和感で思い出した菅首相の言葉
- 自由で正直!ドラマ「朝顔」山口智子さんの着こなし力
※矢部万紀子さんの記事は月2回更新です。更新情報は、ハルメクWEBメールマガジンでお届けします。会員登録はページ下部からお手続きをいただけます
-
スマホで医師に健康相談
24時間365日OK!30秒以内に医師・看護師・薬剤師などの医療チームがあなたの「健康相談」に応答してくれる♪ -
最高のワイナリーツアー♥
東京から2時間!家族・友だちと行きたい富士山を一望できる絶景ワイナリーでワインのテイスティングはいかが?お得なクーポンも! -
やばっ、冬の尿モレ
寒い冬、なぜ尿モレが増える…?3つの原因&4つの「効果的な尿モレ対策」を専門医に教えてもらいました! -
人生で1度は訪れたい場所
熊本・宮崎・鹿児島の3県には温泉、グルメ、絶景など、心もからだも癒やされる魅力が盛りだくさん!人生で1度は訪れたい名所がいっぱいです! -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
体験談:50代やって正解
銀行は断然「紙の通帳」派!そんな「デジタル嫌い」の私が 銀行アプリを使ってみたら想像よりもはるかに便利すぎて… -
年金生活…まさかの大出費
年金に頼った生活は、突然の出費によって耐えられなくなる恐れが。退職後も、老後資金を確保する3つの方法とは? -
認知症リスクに40%も差
最近、驚きの研究結果が…!「犬を飼っている人」は「飼っていない人」に比べて認知症リスクが… -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます! -
自分に似合う「眼鏡」は?
見た目の印象が若返る♥「自分に似合う眼鏡」を知って、ワンランク上のおしゃれを!