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- 「援助・寄付」多し!シニア女性の給付金の使い道とは
雑誌「ハルメク」のシンクタンク・生きかた上手研究所の所長・梅津順江が、ミドル~シニア世代の女性のトレンドを読み解きます。今回は新型コロナ対策の特別定額給付金の使い道について読者291人にアンケート。年金世代と現役世代で大きく表れた違いとは?
シニア女性の98%が、「給付金を受け取る」と回答
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急経済対策の一つ「一律10万円の特別定額給付金」。
総務省は2020年7月3日、7月1日までに約4354万世帯で給付済みとなり、給付率は総世帯数の74.4%になったと発表しました。「コロナ禍で苦しむ生活の足しに」という意図で、事業費総額が国家予算の一割強に値する12兆8802億円(事務費1458億円込み)を使って現金給付が行われましたが、安定した収入源である年金を受け取っている年金生活者と、そうでない世代とでは、どのように考えに差があるのでしょうか。
ハルメクのシンクタンクである生きかた上手研究所では、2020年5月18日から6月3日にかけて、55~74歳女性291人※に、「新型コロナウイルスが問題になってからの意識や行動の変化」に関する郵送調査を行いました。(※55~59歳37人、60~64歳94人、65~69歳64人、70~74歳54人)
「政府は申請した国民への一律現金10万円の給付を発表しました。あなたはこの10万円を受け取る予定ですか?」という質問に、98.3%(286人)が「受け取る」と回答しました。「受け取らない」を選択した者は72歳1人だけでした。なお、3人(58歳、66歳、73歳)は「検討中」、1人(69歳)は「無回答」です。
年金受給開始前(55‐64歳)、年金受給開始後(65‐74歳)にかかわらず、「受け取る」と回答したことになります。受け取らずに、使い道を国に任せようと考えた人は1人のみでした。
「旅行」「貯金」「子どもや孫への援助」が10万円の使い道TOP3
続いて、受け取ると答えた286人に「10万円を何に使いたいですか?」と問いました(複数回答)。
「旅行に使う」が57人(19.9%)、「貯金する」が56人(19.6%)、「子どもや孫への援助に使う」が48人(16.8%)でした。「まだ決めていない」「その他」を選択する人も多く、それぞれ54人(18.9%)、49人(17.1%)いました。
「旅行」や「貯金」は想像がつきますが、「援助」はハルメク世代ならではなのかもしれません。
55~64歳(年金受給前)は、「生活費」「旅行」「貯金」に使う
年代別にみると、年金受給開始前(55‐64歳)と受給開始後(65‐74歳)とでは異なる傾向でした。50代後半で受け取ると答えた47人は、「外食に使う(23.4%)」「家電を買う(19.1%)」「食・飲料を買う(17.0%)」など生活まわりの必要経費をイメージする人が目立ちました。
60代前半(109人)は、「旅行に使う(23.9%)」「貯金する(21.1%)」と回答した割合が他年代と比べて多かったです。
年金受給前(配偶者も含め)世帯は、まだ働いている人も多く、子どもの学費にお金を要するケースもあるでしょう。新型コロナウイルスによって、経済的打撃を直接受けた層ともいえるのではないでしょうか。「家計の足しにする」「長期化に備えて蓄える」というマインドが伺える結果でした。
60代後半は「個の消費」、70代の4人に1人が「子どもや孫への援助に使う」
年金受給後の年代(65‐74歳)の給付金の使い道は、どうでしょうか。年金収入があるこの年代は、年金受給前の年代(55‐64歳)とは10万円の使い道が大きく異なりました。
60代後半は68人が受け取るとし、「旅行に使う(22.1%)」「洋服を買う(11.8%)」「習い事やジムの費用に使う(8.8%)」「化粧品を買う(4.4%)」という結果でした。自分のために消費する割合が他の年代と比べて高いです。また「その他(自由回答)」が29.4%あり、「車検・自動車税」「眼鏡」「寝具」「サンダル」と、こちらでもプライベートな消費が目立ちます。
70代前半で受け取ると答えた62人は「子どもや孫への援助(24.2%)」を選びました。その割合は、60代前半(12.8%)の約2倍、50代後半(17.0%)の約1.4倍ということになり、年金受給前の年代と比べ、圧倒的に多い割合です。
「受け取った上で支援や寄付、応援消費をする」70代女性
もう少し70代前半に焦点を当てると、「子や孫への援助」だけでなく、「支援」「寄付」をすると答えた人が目立ちました。
「寄付をする」を選んだ比率も、他年代と比べて4~5%高くなっています。50代後半が8.5%、60代前半が9.2%、60代後半7.4%であるのに対し、70代前半は12.9%でした
また、「その他(自由回答)」でも、援助や支援に関する内容が際立っていました。例えば、「困難な状況にある人を支援したい(74歳)」、「私自身はコロナで経済的被害には遭っていないので、困っている人のために使いたい(70歳)」「近所の飲食店に協力する(69歳)」などです。自分ではなく、困っている他人に視線が向けられていました。
国に税金の使い道を任せるのではなく、「自ら、助けたい身近な人を助ける」「困っている人を直接応援したい」……そんな気持ちの表れと読むことができます。シニア世代の女性は、自分自身が判断して(実感を伴って)消費や行動をすることに喜びを感じる特徴があります。
年代別にみると給付金の使い道は異なりますが、自分で使い道を決めることが、当該世代の女性には重要なことなのでしょう。
さて、10万円の給付金。使うも、貯めるも、自分次第。みなさんは、どのように使いますか?
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