花の少ない冬の楽しみ方・育て方

チューリップの水耕栽培でひと足早く春を感じて!

公開日:2024.02.20

バラをはじめとしたさまざまな草花を自邸の庭で育てる人気ブロガー奥野多佳子さん。そのセンスのよさは一目置かれています。今回はチューリップの水耕栽培に挑戦。冬の部屋の中に春が来たようです。苗の選び方・育て方のコツをご紹介!

チューリップの水耕栽培に挑戦!

チューリップの水耕栽培

2月も立春を過ぎると春一番が吹き、急に春めいてきます。バラの剪定も芽が動き出すので大慌て! 寒肥をあげたり、植え替えしたり、春になるまでに庭仕事はいっぱいです。

そんな忙しい中、秋に植えたチューリップの芽が出ているのを見つけるとうれしくなってきます。春にチューリップはマスト! でも、今年は一足早く、冬にチューリップを咲かせてみたくて水耕栽培に挑戦しました。

チューリップは土に植えて、じっと春に咲くのを待つ……と思っていましたが、いえいえ部屋の中で早く咲かせられるんです。

チューリップの球根を冷蔵庫(3~9℃)で保存して「冬ですよ~」とひと足早く寒さを体感させます。そして十分に冬に慣れたところで「春ですよ~」と暖かい部屋に出すと、球根はもう春が来たんだと思って活動を始めます(春化処理というそうです)

チューリップの球根をだますようでなんだかかわいそうですが。うまくだませるでしょうか(笑)

実はこんなふうにあらかじめ冷凍処理して開花を早めたアイスチューリップと呼ばれるものが販売されています。アイスチューリップは11~12月に庭に植えると、1~2月頃に花が咲くそうです。雪の中から咲くチューリップ……一度見てみたいですね。

準備するもの

球根

チューリップの球根

  • パープルフラッグ…4個
  • マリリン…4個
  • クイーンオブナイト…4個

咲く時期の違う3種類を育ててみました。球根はしっかりしていて重たいもの、傷やへこみがないものを選びます。

容器

水耕栽培用の容器やガラスの器、フラワーベース、コップ、アクリルの容器など。

発根後は薄めのバイオゴールドバイタルや液肥を少し加えました。

段ボールの箱

球根の育て方

冷蔵庫で2か月間保存します。

球根

11月5日、冷蔵庫に入れました。
紙袋に入れたり紙でしっかり包んで2か月間、冷蔵庫の野菜室で寝かせます。

球根の皮をむく

球根の皮をむく

1月10日、冷蔵庫から出して皮をむきます。
茶色い皮は水につけるとふにゃふにゃになるので、カビを防ぐためにも皮は剥いておきます。

ガラス器にセット!

ガラスの器

球根の底に水が触れるぐらいの位置でセットします。

根が出るまでは球根の底が水につくかつかないか、つかないのはだめですが(笑)、すれすれの位置で!

水につかると腐る原因になるので水の量には気を付けます。根が伸びたら根の半分の高さが水につかるようにします。

アクリル片
アクリル片

私はお気に入りのガラス器にクリアなアクリル片を入れて水を注ぎ、少し球根の底がつかるように水の量に気を付けていました。

根が出るまで暗い場所に置きます。

暗いところに置く

セットした球根を段ボールに入れて蓋をして、真っ暗な状態で冷たい場所(玄関やエアコンをつけない部屋)に置いて発根を待ちます。球根を土の中と同じ状態にして根を出させます。

根が出てきた球根

3日ほどで根が出てきました。根が水につかっているか水の量を確認します。

芽が出たらお日さまにしっかり当てます。

芽が出た球根

1月17日、かわいい芽が出てきました。
これはパープルフラッグ。根をもっと張らせたかったのですが、思ったより早く芽が出たので段ボールから出して明るい場所に移動させました。
 
ヒヤシンスのように白い根っこが長~く伸びるのかと思っていましたが、あまり伸びなかったのは段ボールの中(暗い中に置く)の期間が短かったからのようです。

このガラス器は 水耕栽培用のKINTOのフラワーベースです。上のお皿のような部分が下の部分に乗っているだけなので、球根に触らずお皿を持って水替えができてとても便利でした。

芽が出た球根

みんな芽が出てきました。左はマリリン、右はクイーンオブナイトです。

アクリル片

いろんな容器にアクリル片を入れて球根を置きました。透明だと水の位置もよくわかるし、成長が見えて楽しいです。

陶器の器にアクリル片を敷いて載せたマリリン、上からのぞいて水の位置を確認します。

肥料

根が出るとバイオゴールド バイタルを規定より少し薄目にして水に数滴加えます。ダイレクトに根が吸うので、濃い液だと刺激が強すぎるので薄めに。これで根を活性させ、そのあと水替えのときに、薄めた液肥を数滴加えました。

パープルフラッグが一番早く芽が出て伸びてきました。

1月25日、明るい光を浴びてぐんぐん伸びます。
お日さまに当てると水分も減るので、4~5日に一度、水替えしました。

2月1日、葉も繁ってきました。

2月6日、パープルフラッグのつぼみが膨らんできました。つぼみが見えるとホッとうれしくなります。

すっくと伸びた姿が美しい。

パープルフラッグ
パープルフラッグ

2月10日、花が咲きました。
最初はちょっと小さいかなって思いましたが、次第に大きく開いてきました。冷蔵庫から出してセットして31日目。

右端は、先ほどのKINTOのフラワーベースでお皿の部分を外して使っています。

マリリン
マリリン

2月17日、マリリンも咲いてきました。かわいいです。ユリ咲のマリリンは、白に赤のストライプがかわいい、大好きなチューリップです。左後ろは、まだつぼみが硬いクイーンオブナイト。

クイーンオブナイト

2月24日、クイーンオブナイトが咲きました。黒系のクイーンオブナイトは明るい色合いが多いチューリップの中で秀逸です。このシックな雰囲気が好きで毎年必ず植えています。


3種類が順番に咲いてくれたので長く楽しめました。クイーンオブナイトが咲く頃には、もうパープルフラッグは散っていましたが、かろうじて残った1本は切って花瓶に生けました。

今までチューリップは地上の部分しか見えませんでしたが、球根から真っすぐに茎が伸びて、意外に背が高くなります。水耕栽培では土の中のように根が張れないので不安定になりがち……。球根をセットする容器は、球根を固定するか背の高い容器の方が安定します。

初めて挑戦したチューリップの水耕栽培! 

透明な容器で育てたので、庭では見えない球根から根っこが出てゆっくりと成長していく様子が楽しく見れました。

今回は球根のたくましい力を改めて感じました。土に植えたときは球根は茎を支えるために根を張り、土から養分を吸い上げ花を咲かせるので根の働きがとても大事ですが、水耕栽培では、球根にたっぷり詰まった養分を使い果たすように花を咲かせる感じがして、あの小さな球根の生命力に驚きました。

冬枯れの庭を見ながら、チューリップがにぎやかに咲くリビングで、ひと足早く春の訪れを感じられてウキウキでした。

みなさんもぜひ試してみてくださいね。

■もっと知りたい■

奥野多佳子

1952(昭和27)年、兵庫県生まれ、大阪府在住のバラ愛好家。82年にタペストリー制作を始め、2000年に陶芸、04年に庭づくりを始める。豊中市美術協会会員。兵庫県立美術館で解説ボランティアに参加。ブログ「Soleilの庭あそび…布あそび♪」は人気です。

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