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- バラのアーチが見事!16種類の花々が彩る庭へ
バラを育てて20年、バラ栽培のコツや自作の庭、花に囲まれた暮らしを発信するバラ愛好家・奥野多佳子さん。5月はいよいよバラの季節!奥野邸の前庭ボーダーガーデンを華やかに彩る、3つのバラのアーチをご紹介します。
季節のタペストリー「風が生まれる」

庭で過ごしていると、ふわ~~と風が吹き渡るときがあります。とても新鮮で心地よく、まるで庭の植物たちが揺れて風が生まれているようで、庭のエネルギーを感じます。そんな庭を、いろんな角度で切り取って、布で表現しました。
お茶をしているときも……揺れるアレカヤシの葉……。
毎日見る植物、毎日使う道具たち、庭は私の遊び場でもあり、私を受け入れてくれるHomeです。染めた布やオーガンジーなどを使って、ミシンで刺繍したりコラージュしたり、楽しみながら作りました。
5月はバラの季節!
5月はバラの季節! 静かだった庭の幕が開き、華やかで色鮮やかなバラたちの競演が始まります。甘い香りが庭中に広がり、心弾む1か月! 幸せな時が流れます。
私はこの季節を夢に描いて、励みにして、1年間バラを育てます。だからこの1か月は、バラを思う存分楽しむことにしています。
細く長い前庭には、3つのアーチでバラを
我が家には2つの庭があります。一つはリビングの前に広がる、丸い芝生の裏庭。もう一つは門扉から玄関まで伸びる前庭。写真のように幅3m、長さ20mほどの細長いボーダーガーデンです。
この前庭には3つのアーチを作り、つるバラを這わせています。幅3mといっても植物が植えられる土の部分は両サイドの幅30cmしかないのですが、その30cmを最大に生かして、平面の広がりより縦の空間を使ってバラの風景を作ろうと思いました。
今回は、前庭の3つのバラのアーチをご紹介します。
前庭のアーチは、アイアン門扉の上の焦げ茶色の太いアーチに合わせ、門扉入ってすぐの場所に6cmの角材をコの字に組み立てて、こげ茶色のペンキを塗っただけのとってもシンプルなものです。横幅280cm、高さ260cmあります。
1つ目のアーチの2種類のバラ
1つ目のアーチは外からもよく見えるので、植えるバラは樹形や花の姿がきれいなこと・香りがいいこと・そして華やかな色合いであること、を基準に選びました。最初のアーチなので、早咲きのバラを選んでいます(奥に進むほど、遅咲きのバラを植えています)
※写真は複数あります。Yahooなどでご覧の方は、次へ進むマーク(>)をクリックしてご覧ください。
左にはスパニッシュ・ビューティー(CL)、右にはガートルード・ジェキル(ER)を植えています。
スパニッシュ・ビューティー

好きなつるバラは?と聞かれると、迷わずスパニッシュ・ビューティーと答えるほど大好きなつるバラ(CL)です。スパニッシュ・ビューティーは、とげが少なく、しなやかな枝が長く伸びてとても誘引しやすく、枝数がそれほど多くなくても花付が良くて豪華に咲きます。
ヒラヒラとウエーブした花びらが軽やかで、とても優雅に咲きます。ステム(花茎)が長く枝垂れて咲くので、アーチや壁面にはもってこいのつるバラです。5月に入ってすぐに咲き始める早咲き大輪のバラです。
ガートルード・ジェキル

ガートルード・ジェキルはイングリッシュローズ(ER)です。このバラの特徴は何といっても香りがいいことです。咲いた姿が崩れず樹勢もまとまっていて育てやすいバラですが、とげが多いのがちょっと困ります。このバラの樹形はシュラブで直立にきれいなV字に広がる半つる性です。
写真を見ると歴然ですが 半つる性は枝数は大変多いですが、スパニッシュ・ビューティーのように枝がまっすぐに長く伸びるということがないのでアーチにはなかなか届きません。シュラブはやっぱりシュラブでつるにはなれない……と経験からわかっているので、剪定のとき長い枝を選んで伸ばしていきました。でもシュラブだけに、咲いたとき全体にたっぷりと量感が出ます。
2つ目のアーチの2種類のバラ
左にはキャメロット(CL)、右にはつるアイスバーグ(CL)を植えています。
キャメロット

キャメロットは淡いピンクに濃いピンクのスポットが入る、とても個性的なバラです。中輪で丸い花びらがかわいい雰囲気です。とても樹勢が強くよく伸びてシュートもよく出ます。そして何より病気に強いバラです。黒星病やうどん粉病になりにくく葉がよく茂ります。少し遅咲きです。
植えてまだ3年目のバラですが、旺盛にシュートを伸ばしてもうアーチまで届いています。写真では枝数が少ないですが、4月にはここからたくさんのシュートが出て花芽をつけています。
つるアイスバーグ

つるアイスバーグは、私が愛してやまないバラです。透き通るような薄い花びらの重なり、甘い香り、上品な姿……どれをとっても素敵で、特に香りは最高です。近くを通るだけでうっとりとするほど。
つるバラといってもシューと長い枝が伸びるスパニッシュ・ビューティーのようなバラではなく、しなやかな枝がたくさん伸びてこんもりと茂ります。花付もよく、とても育てやすいバラです。
3つ目のアーチの2種類のバラ
左にはアブラハム・ダービー(ER)、右にはジャスミーナ(CL)を植えています。
アブラハム・ダービー

アブラハム・ダービーはERで、5月の連休頃から咲き始めます。このバラの美しさは何といっても色合いでしょうか。アプリコットピンクで中心にいくほど黄色っぽく、気温の低い秋にはピンクに変わります。カップ咲きからロゼット咲きに変化して、何十枚もの花びらがフリルのように集まって、とても美しいバラです。ER独特のフルーツ香が強く広がります。
アブラハム・ダービーは、今までに何度もカミキリムシの被害に遭って株は悲惨な状態。シュートはほとんど出ないのですが、それでも5月になると見事に咲いてくれるので愛おしくて……なかなか別のバラに植え替えることができずにいます。
ジャスミーナ

ジャスミーナは遅咲きのつるバラです。ハート型の透き通ったピンクの花びらが集まった中輪のカップ咲きで、房になって咲くとても愛らしい花です。そんな花の雰囲気とは対照的に、樹勢は強くたくましく、たくさんのシュートが出ます。とげも多くので誘引の際は大変ですが、耐病性があって丈夫です。ステムが長く枝垂れて咲くのでアーチや壁面に最適です。
1月の様子:ここが大事。バラの剪定と誘引
お正月が終わると、さぁ剪定しなくっちゃ……と今年もバラの作業が始まります。
つるバラをアーチから降ろして、葉っぱをすべて取り、剪定してアーチに誘引していきます。剪定・誘引の仕方は、以前書いた記事「素敵なバラの庭づくりは、冬の剪定と誘引が決め手」もご覧ください。
アーチは誘引がとても重要です。
我が家のようにアーチを壁に沿わせて作っている場合は、アーチだけではなく、それを挟む左右の壁面の3か所に誘引します。枝数がないとその3か所にうまく配分できないこともありますが、まずはアーチへの誘引をメインに考えます。
そして横へ横へとカーブを描くように枝を誘引しています。アーチの上部の幅が細いので、咲いたときの厚みを持たせるためにアーチの上から20cm下の辺りにステンレスの細いワイヤー(#20)を横に渡すこともあります。
剪定と同時に(1月~2月中に)、株元を3~4か所掘って遅効性の肥料(寒肥)と堆肥をあげます。肥料はバイオゴールドを。堆肥は牛糞、くん炭などを肥料と一緒に埋め込みます。そしてバーグ堆肥をマルチングしています。
3月の様子:バラの新芽が出てくる
3月末になるとバラの新芽が出てきます。新芽が出始めたら液肥を1~2週間に1度与えます。
4月の様子:バラの蕾(つぼみ)が付き、咲き始める
葉が展開して緑が茂って蕾(つぼみ)が付き始めます。日に日にガーデンの幅が狭くなってきます(笑)。私は散布しないのですが、病気や害虫対策の薬剤散布はこの時期に行います。
今年は4月28日にスパニッシュ・ビューティーが咲き始めました。

5月の様子:バラが次々と満開に!
【5月6日】
右側のガートルード・ジェキルも満開です。

スパニッシュ・ビューティーは上へ上へと咲き、ガートルード・ジェキルはこんもりと目線の高さでたっぷりと咲きます。
【5月10日】
1つ目のアーチのスパニッシュ・ビューティーは散り始め、2つ目のアーチの白いアイスバーグが満開になってきました。

ガートルード・ジェキルも散り出しますが、クレマチスのアフロディーテ・エレガフミナが咲き出して雰囲気が変わります。

【5月15日】
2つ目のアーチの左側、キャメロットがやっと咲いてきました。今年は遅いキャメロット!

右側のアイスバーグは枝数も多いので、ボリュームたっぷりに長い期間咲きます。

キャメロット、今年は3年目ですが、よく咲きます。蕾はオレンジっぽい赤で、咲くとピンク! 本当にかわいい表情を見せます。
【5月18日】
3つ目のアーチのジャスミーナが満開です。

3つ目のアーチが咲き出す頃は、1つ目のアーチのバラはもうほとんど散っています。5月初めから日を追ってバラは奥へ奥へと咲いていきます。一番奥の白い出窓のバラ、ピンクのランブラー、フランソワ・ジュランビルが最後に咲きます。

アーチとアーチの間もたっぷりの花々で
塀側の様子

1つ目と2つ目の間には、赤いバラのオデッセイアや、白いERのスノー・グース、黄色いERのゴールデンセレブレーション、クレマチスのパミセット・セルツァとシーボルディを植えて、華やかな空間を作ります。手前の淡いピンクはERのセント・スウィザン。

2つ目と3つ目の間はスモークツリー、白いクレマチスの華川、クレマチスのザ・ベルベット、ERのラジオタイムス、クレマチスのプリンセスダイアナ、カラーなど。

白い鉢植えは遅咲きのピンクのバラ・ニュードーン、アーチを這うERのアブラハム・ダービー、クレマチスのロウグチ、遅咲きの赤いバラ・エクセルサ、鉢植えの黒みを帯びた深い赤色のバラ・スヴェニール・ドゥ・ドクタージャメイン、右上の塀を這うハニーサックルのミントクリスプなど。
建物側の様子

ガートルード・ジェキルの左には香りのいいピンクのラ・レーヌ・ビクトリア、クレマチスのアフロディーテ・エレガフミナなど。

アイスバーグの左隣には赤いバラ、バロン・ジロー・ドゥ・ラン。
そして咲き始めたクレマチス、マダム・ジュリア・コレポンともコラボ! 白いバラを赤と組み合わせるのが大好きです。
1年でたった1か月のぜいたくな時間
3つのアーチをくぐって振り返ると、16種のバラやクレマチス、小さな花たちが集まって作る華やかな世界に癒やされます。日々移り変わるシーンを見ていると、心が豊かに潤っていくのを感じます。
1年の中でたった1か月足らずの贅沢な時間……心行くまで楽しみます。
アーチに植えるバラは年とともに変わっていきますが、バラのアーチが生み出す空間の美しさや豪華さは唯一無二のものです。香りと色彩で他では作れない立体的な空間が生まれます。
そのアーチが2つ3つと連なっていくとトンネルになって囲まれ感があって、空間が特別なものになります。
小さなたった一つのアーチでも庭の景色が変わります。ぜひアーチ作りにチャレンジしてみてください。
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