菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法

たんぱく質を摂取して、健康と美の基本を手に入れよう

菅沼 薫
2019/06/19 15

今、厚生労働省が、たんぱく質の摂取量の不足を指摘しています。なぜたんぱく質が必要なの? その役割は? 第45回は、体を作るために必要で健康と美の源でもある“たんぱく質”について、菅沼薫さんに教えてもらいます。

タンパク質の摂取量
【目次】
  1. これからの美容は「体が体を変える」が主流に!?
  2. 厚労省も指摘する!たんぱく質不足の恐ろしさ
  3. たんぱく質の必要量は50g。バランスよく摂取を
  4. 美肌のためにもビタミンCとEを食べよう!

これからの美容は「体が体を変える」が主流に!?

時代が令和になり、しばらく経ちました。テレビや雑誌で「平成で一番」平成の時代を振り返っていたのが、だいぶ前のことにようにも感じてしまいます。

私も平成を彩ったビューティートレンドについて寄稿する機会があり、平成の化粧品の遍歴を考察してみました。

改めて感じたのは、化粧品の進化のすばらしさです。それと同時に、平成はスキンケアやメイクといった外からのケアだけでなく、サプリメントや美容ドリンクなど「内からのケア」が定着した時代でもあったのだと感じました。

今では当たり前の、化粧品とサプリメントで内外から「足す」美容の概念は、平成の時代に作られたものだったんですよね。

この「足す」美容が、令和の時代にどのように発展していくのか? 私は、何かを足して体を変えるのではなく、人間の体の中にあるものを目覚めさせる、つまり体の中で健康や美を再構築するようなものになっていくのではないかと予想しています。

最近話題になっている、美尻トレーナー岡部友さんのボディメイキングのように、「トレーニングで体が体を変える」美容が主流になる、そんな時代が到来するかもしれません。

厚労省も指摘する!たんぱく質不足の恐ろしさ

タンパク質は美容の源

時代を問わず、また、美容のトレンドが変わっていても、食事が体を健やかに保つために重要な役割を果たすことに変わりはありません。特にたんぱく質とビタミンの各種を食事で摂るのが、健康と美の基本だと私は思っています。

たんぱく質は体を作るために欠かせない栄養素。肌や髪、爪もたんぱく質で構成されています。また、ビタミンの中でもビタミンC・Eは、肌の弾力やうるおいの源でもあるコラーゲンを体の中で生成するために必要です。

ですが、体が必要とする分のたんぱく質を摂取できていない人が、特に高齢者に多いそうです。たんぱく質が不足すると、筋肉量が低下したり筋肉が衰えたりしてしまい、「フレイル」(虚弱)や「サルコペニア」と呼ばれる運動・認知機能が低下した状態になってしまいます。また、肌のハリやツヤがなくなるので美容的にも好ましくありません。

厚生労働省の「健康増進法に基づく日本人の食品摂取基準」(*1)によると、50歳以上の女性の場合、たんぱく質の1日あたりの推奨量”は50g。同じく、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、成人が健康的な生活を送る上で最低限必要な1日のたんぱく質摂取量は、体重1kgあたり1gと報告されています。

毎日のたんぱく質摂取量を正しく把握するのは難しいかもしれませんが、この機会に、毎日の食生活を振り返ってたんぱく質が足りているかを確認してみてください。

*1 「健康増進法に基づく日本人の食品摂取基準」は5年に1度改定されており、「フレイル」や「サルコペニア」を予防するため、2020年版において「たんぱく質摂取の目標量」の引き上げを検討していると、厚生労働省が報告しています。50歳以上の女性の場合、”1日あたりの推奨量”は現行のまま50g、”たんぱく質の総エネルギーに対する摂取目標量”は、50歳から64歳で14~20%、65歳から74歳および75歳以上で15~20%へ変更することが検討されているそうです。
 

たんぱく質の必要量は50g。バランスよく摂取を

たんぱく質の毎日の必要量が50g、と言われても何をどのくらい食べればいいピンとこない人もいると思います。

たんぱく質は肉や魚介類、豆類や豆腐などの加工食品にも多く含まれています。具体的に少し紹介すると、100gあたりに含まれるたんぱく質は、動物性たんぱく質の場合、豚バラ肉(脂身つき・生)が13.4 g、鶏ささみ(生)で23.9g、マイワシ丸干しが32.8g、マアジの開き(焼き)で24.6g程度です。植物性たんぱく質では、糸引き納豆が16.5gで、絹ごし豆腐は5.3g程度。ゆで卵は12.9g、牛乳だと3.3g程度になります。(出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂))

極端に言えば、豚バラ肉だけを357g食べるとたんぱく質を50g摂れるわけですが、肉は脂身が多く高カロリーです。しかも、たんぱく質を構成しているアミノ酸20種のうち、9種の必須アミノ酸は体で合成することができないので、さまざまな食べ物から摂取する必要があります。ひとつの食品に偏ることなく、肉、魚、牛乳、卵、チーズ、大豆食品、穀物、根菜類、緑黄色野菜など、なるべくたくさんの食品をバランスよく食べましょう。そして、高たんぱく低カロリーで、たんぱく質の必要量50gを目指しましょう。

今は、食品の栄養表示にエネルギーやたんぱく質含有量などが記載されていますので、参考にすると摂取量の管理がしやすいと思います。
 

美肌のためにもビタミンCとEを食べよう!

ビタミンCとE

 

たんぱく質のほか、美肌のためにも積極的に摂りたいのが、ビタミンCとEです。ビタミンCとEは、たんぱく質がアミノ酸に分解、コラーゲンに生成される時に必要な栄養素。また、ビタミンC・E自体に抗酸化作用があり皮脂の酸化を防ぐ働きもあるので、毛穴の黒ずみやシミやくすみケアには欠かせません。

ビタミンCは体の中に貯めることができず、数時間で代謝されてしまいます。そのため、サプリメントでマメに摂っている人もいるようです。ですが、私としてはやはり食事で摂ることをおすすめします。食事で摂れば食物繊維などと複合して胃で分解され、ゆっくり腸の中で吸収されるので、腸内環境を整えるなどうれしいメリットも。ビタミンEはナッツ類やゴマに多く含まれているので、サプリメントではなく、おやつにナッツを食べるなど、工夫して“食べて摂る”を心がけてください。

ビタミンCはたくさん摂っても体外に排出されるので問題ありませんが、ビタミンEのサプリメントなどでの過剰摂取には気をつけてください。

健康も美も食が基本! バランスのよい食事を意識して元気に過ごしましょう。

次回は、美容サプリメントについてお話しします。

 

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取材・文=田中優子

 


◆参考資料

厚生労働省『「総合医療」に係る情報発信等推進事業』

 

菅沼 薫

すがぬま・かおる ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、日本化粧品技術者会役員、日本香粧品学会評議員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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