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- かゆみの元!アレルギーの原因となる意外な物質とは
かゆみを引き起こす、意外なアレルギーの原因を知っていますか? 日本人に起きやすいアレルギーの具体例などをもとに「自分に合う化粧品」を考えていきましょう。化粧品の安全性を検査する、国立医薬品食品衛生研究所の小島肇さんに伺いました。
自分に合う化粧品の選び方とは?違和感があったら使わない
「何を基準に化粧品を選んでいますか」と質問されると、「自分に合うもの」「肌に合うもの」と答える人が多いようです。では、そもそも自分に合う化粧品とはどんな化粧品のことなのでしょう?
その答えは、小島さんによると「使っても、肌に違和感がないもの」だそう。違和感とは、使用する人の体質や体調、季節や年齢などによって、使用中や使用後に現れる肌の異常のこと。
「“ピリピリ”“ちくちく”“赤み”“ほてり”“腫れ”など、少しでも違和感があったなら肌に合った化粧品ではない」と小島さんは言います。
「自分に合う化粧品は短期間に試しながら見つけるしかありません。試している過程で肌や体調に違和感があったら、使用をやめましょう。その原因は化粧品かもしれませんし、そうでないこともあります」
肌の違和感はアレルギーが原因?
違和感がある、といってもその程度や感じ方は人それぞれ。違和感の目安となるのは、皮膚にカブレが見られたときだそう。
カブレとは、化学物質などに触れて皮膚に湿疹ができるほか、赤み、かゆみ、痛み、ほてり、腫れなどが現れる症状で、接触皮膚炎のこと。多くのカブレは、刺激性接触皮膚炎とアレルギー性接触皮膚炎の2つの種類に分かれます。
刺激性皮膚炎は、物質や製品自体の刺激が強いために生じるものです。一方アレルギー性接触皮膚炎は、日常生活の中で皮膚に接触したり、体内に入ったアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)によって、一部の人に起こる皮膚炎です。アレルゲンはホコリやダニ、アクセサリーや衣服、化粧品、樹木・樹液、花粉、植物などさまざまで、人によって異なります。
「よく知られるアレルギーの一つにアトピーがありますが、最近になってその原因の多くがダニであることがわかってきました。布団をクリーニングすることで症状が大分緩和したという報告も挙がっています」
この他、衣服によるアレルギーの原因として、洗濯用洗剤によるものが増えているとか。
「洗剤に含まれた抗菌剤などは、衣類につくことで、ニオイや菌に効果を発揮します。ですが、菌だけでなく、人の体に影響することもあります。洗剤や柔軟剤の香料を吸引することで、アレルゲンともなりえるのです」
アレルギーの原因物質で多いのは化粧品より金属アレルギー
では具体的に、日本人がどのような物質でアレルギーを起こしやすいのか見ていきましょう。
「上の表の通り、一番アレルギーが出やすいのがニッケルです。ニッケルは多くのアクセサリーに使われている金属で、(ニッケルを使ったアクセサリーを使っている人の)約14%もの人がアレルギーになっていることになります。
アクセサリーを身に着けるだけでは発症しないのですが、汗で「金属イオン」が溶け出し、皮膚のたんぱく質と結合することでアレルギーを発症することがあります。強い成分ではないのですが使用量が多く、夏に身につけていたアクセサリーのニッケルが原因で秋口になってアレルギーが出る人も多くいます」
2番目に多いのが、漆の成分であるウルシオール。3番目に多いコバルトは、アクセサリーに多く入っている成分です。化粧品に含まれるものは、5位のp-フェニレンジアミン。どんな色でも作れる順応な原料で、他に代わるものが見つからないという理由から、染毛剤には欠かせない成分になっています。6位の香料、9位のペルーバルサムも一般的な化粧品に入っている成分です。
「このほか、光が当たることで構造や性質が変わったり、活性化して、アレルギーを発症する物質です。香料や染料、紫外線吸収剤などに含まれ、化粧品に配合されていることがあります」
化粧品の全成分表示はアレルギー成分が見分けづらくなった
日本では、厚労省による化粧品基準の遵守、動物由来のコラーゲンやプラセンタの使用を自主規制するなど、化粧品はたくさんの法的規制と厳しい業界内基準のもと製造販売されています。
例えば、衣料品と化粧品の間にある医薬部外品は日本特有の分類です。欧米ではこの分類はありません。化粧品の規制緩和によって義務付けられた全成分表示は、消費者目線で見ると「ちょっと微妙」と小島さん。
「それまではアレルギーを起こす可能性のある成分だけが表示されていましたが、全部記載されることで一般消費者にはどれがアレルギーを起こす成分がわかりにくくなってしまいました」
また、安全性を担保するために各国が設けている試験や規制、制度のうち、化粧品における動物実験の廃止が世界的に進んでいるそう。しかし小島さんによると、現時点では動物実験の代替法だけで安全性を評価するのは現実的に厳しく、今後の課題も多いそう。
化粧品を安全に使うために、自分ができることは?
これだけ厳しい環境下でも、アレルギーや化粧品トラブルがゼロになることはありません。成分に小麦が含まれていた「茶のしずく石鹸」や、カネボウの美白化粧品「ロデノール」による白斑問題などは、記憶に新しいのではないでしょうか。
そもそも化粧品の安全性は完全ではありません。例えば、1000人に一人のアレルギーが出るものを現在の科学では予測できません。この数字を少ないと捉えるか、多いと考えるかは人によると思いますが、一つ確実なのはたとえ0.1%であっても自分がこの中にならないという保証はないということです。
このことから、「化粧品を安全に使うためには、自分が何にアレルギーを起こしやすいのを知っておくことがとても大切」と小島さん。
「アレルギーで厄介なのは、自分では何がアレルゲンなのかは知ることができず、一度発症すると治ることはほぼないことです。肌にカブレが見られると、化粧品によるアレルギーだと自己判断する人が多いようですが、それは間違い。化粧品ではなく、衣服やアクセサリーなど、他のアレルゲンが原因であることも。肌に違和感が現れたら、自己判断せず、病院でパッチテストを行うなどして、違和感の原因を特定してもらいましょう」
化粧品による肌トラブルを避けるためのポイント
※参考「化粧品成分ガイド第6版」(フレグランスジャーナル社)
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今の自分の体調と肌の特徴を知ること
妊娠中や更年期などのホルモンバランスの崩れや季節、疲れなどによっても体調や肌の状態は変化します。状態の悪いときにアレルギーは発症することが多く、一度出ると治ることはほぼありません。体調や肌がいつも同じ状態ではないことを自覚しましょう。 -
あれこれ化粧品を変えない。初めての化粧品は時間をおいて使用する
次に、自分に合う化粧品を見つけたら、あれこれ化粧品を変えないようにしましょう。体調や肌は変化しても、アレルギー体質が変わることはほとんどありません。化粧品を変える場合は、ラインナップを一気に変えるのではなく化粧水、乳液など、1品ずつ時間をおいて、少しずつ肌にならしていってください。 -
使う化粧品を知り、正しい用法・容量で使うこと
例えば、シャンプーにはアニオン、リンスにはカチオン、一般的なクリームにはノニオンなど、カブレの原因になりやすいとされる界面活性剤が含まれています。正しく使えば、ほとんどの場合問題ありませんが、長時間塗布したままでいると、刺激によってかゆくなるなどの肌トラブルを引き起こします。重曹を大量に使って素手で掃除すれば、手が荒れますよね。使うものを知り、安全な量と時間を守ることができれば、カブレを予防することが可能になります。 -
トラブルが起きたときは使用をやめ、皮膚科へ
最後に、トラブルを起こした化粧品の使用はやめ、皮膚科に行くこと。症状がひどい場合は、アレルゲンを特定し、今後そのアレルゲンを含むものの使用を控えましょう。
日本における化粧品によるトラブル防止対策は、世界的に見ても厳しいもの。だからと言って、自分の肌がトラブルを起こさないとは言い切れません。自分の肌を知り、使う化粧品を理解して自己防衛することが、自分に合う化粧品との付き合い方と言えるでしょう。
教えてくれた人
小島 肇
国立医薬品食品衛星研究所 安全性生物試験研究センター安全性予測評価部 第二室室長。日本動物実験代替法評価センター事務局に所属。
東京理科大学のオープンカレッジは、一般の方も聴講が可能です。興味のある方は、公式ホームページでチェックを。
取材・文=田中優子
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