「ひょっとして認知症かも」と心配になったらどうすればいい?(前編)
2025.03.14
公開日:2025年03月18日
健やかな毎日は食事から
認知機能の維持のために健康的な食事をとりましょう
いつまでも健康で活発でいたい。そのために認知機能をキープするのに、積極的に食べたい食品や栄養素をご紹介します。また取り入れた栄養を生かすために心がけたい生活習慣もお伝えします。
気になる!認知機能をキープするためにとりたい食べ物3選

① 魚
魚の中でもイワシやサンマなどの青魚に多く含まれる、DHA(ドコサヘキサエン酸)は、人間の脳の中の細胞膜に多く含まれていて、脳の働きに関係すると考えられています。
血液中のDHA濃度の高い方と低い方で、10年後の認知機能低下リスクを調べたところ、高いあるいは中程度の方は、低い方に比べて認知機能が低下しにくいという結果があります(※1)。
② 大豆
豆類を使った納豆や豆腐、味噌や豆乳など、日本の食卓に欠かせない大豆食品には植物性たんぱく質や食物繊維、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が含まれます。特に女性は豆類や総イソフラボンの摂取で認知機能低下のリスクを低下させる可能性があるという報告があります(※2)。
③ 牛乳や乳製品
良質なたんぱく質やカルシウムやビタミンA、ビタミンB2やB12、脂質など、牛乳や乳製品は栄養価が豊富です。特に60歳以上の女性では、牛乳や乳製品の摂取が多いほど、認知機能の低下リスクが小さいという報告があります(※3)。
好き嫌いやアレルギーなど摂取が難しい方もいるでしょうが、体質上問題がなければ積極的にとるようにしましょう。
食事以外の脳の健康にいい活動
運動や地域社会とのつながりなど、脳の健康にいい活動は食事以外にもあります。
認知機能を維持するための運動は?

ジョギングや水泳といった有酸素運動は、脳の中でも人の感情や意欲をつかさどる前頭葉の萎縮を遅らせることがわかってきました(※4)。
またウォーキングや、仕事や家事で歩く歩数の多い方の前頭葉も、萎縮が悪化しにくい傾向があります。毎日のラジオ体操やストレッチといった体を動かす習慣も身に付けたいものです。プラスアルファとして椅子を使ったスクワットなど、軽い筋力トレーニングもお勧めです。
毎日続けられる運動習慣を、健康なうちからつけておきましょう。
地域社会とのかかわりも大切です

最近は若者に限らず、年配の方もスマートフォンやパソコンを使って気軽に遠方の方と連絡を取り合えるので、昔ながらの「ご近所づきあい」は希薄になっています。しかし、人との会話や交流が認知機能の維持に関与すると言われています(※5)。
この記事では認知機能の維持につながる食べ物をご紹介しました。食事以外にも運動や人との交流の機会をもつことで、認知機能の維持につなげましょう。
(参考)
(※1) Otsuka R,et al;Serum docosahexaenoic and eicosapentaenoic acid and risk of cognitive decline over 10 years among elderly Japanese. Eur J Clin Nutr. 2014;68(4):503-9.
(※2)Nakamoto M, et al:Soy food and isoflavone intake reduces the risk of cognitive impairment in elderly Japanese women. Eur J Clin Nutr. 2018;72(10):1458-62.
(※3)Otsuka R, et al:Cereal intake increases and dairy products decrease risk of cognitive decline among elderly female Japanese. J Prev Alz Dis. 2014;1(3):160-7.
(※4)Yuki A, et al:Relationship between physical activity and brain atrophy progression.
Med Sci Sports Exerc. 2012;44: 2362-8.
(※5)国立長寿医療研究センター:対人交流. あたまとからだを元気にするMCIハンドブック. p.48-49.
[https://www.mhlw.go.jp/content/001100282.pdf]
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