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- 女性の「足トラブル」原因は?症状チェックリストも
足は体を支える大切な部位ですが、ケアを怠りがちです。特に50代以上の女性の9割が「足のトラブル」を抱えています。外反母趾や巻き爪の症状がある方はもちろん、痛みを感じない方も要注意。簡単な足のケアで健康な足を保ち、姿勢も美しく改善しましょう。
教えてくれた人:高山かおる(たかやま・かおる)さん
済生会川口総合病院皮膚科部長。一般社団法人「足育研究会」代表。医学博士。1995年、山形大学医学部卒業。足トラブルの治療法、セルフケア法を多くのメディアで発信。近著に『外反母趾、巻き爪、たこ・うおの目を自力で治す』(扶桑社刊)などがある。
足トラブルの兆候はこんな症状から
- 靴底がかかとの内側、または左右非対称にすり減っている。
- 靴の横幅がきつくなってきた。
- 足先をギュッと丸めたとき、足指の付け根に骨が浮き出ない。
- 爪が厚くなってきた。
- 爪の一部が白や緑に変色している。
- 足裏の皮膚に硬くなっているところがある。
“3つのアーチの崩れ”が足トラブルを引き起こす
50代以上の女性なら、9割が何らかの足トラブルを抱えています。足トラブルの症状はさまざまですが、「最も大きな元凶は足のアーチの崩れ」と話すのは、皮膚科医で足トラブルの専門家の高山かおるさん。
「足は、両足合わせて56個もの細かな骨で形成され、それが腱や靭帯(じんたい)、筋肉と緻密に組み合わさり、3つのアーチ構造を保っています。しかし、加齢や運動不足で筋肉・腱などがゆるむと、このアーチが崩れ、全身のバランスをとる力や、歩く際の衝撃を吸収する力が衰えます。結果、足にかかる重みが偏るなどして、骨の変形や爪・皮膚の異常を引き起こすのです」
健康な足は3つのアーチ構造が保たれています
内側の縦アーチ
土踏まずを形成するアーチ。歩く・走る際のバネの役割を果たし、衝撃を吸収する。崩れると扁平足などに。
前側の横アーチ
親指の付け根から小指の付け根までを結ぶ。足指で地面をとらえバランスをとる。崩れると開張足や外反母趾などに。
外側の縦アーチ
小指の付け根からかかとまでを結ぶ。効率よく体重を支え、歩く際の重心の移動をスムーズにする。崩れるとO脚などに。
女性はじん帯がゆるみやすいからリスクが高い
特に女性は靭帯がゆるみやすく高リスク。
「特に多いのが、足の前側の横アーチが崩れてベタッと広がってしまう“開張足”。放置するとタコやうおのめ、外反母趾の発症にもつながります。最近靴の横幅がきつくなってきた方や、足の指でグーをしたとき、MP関節という指の付け根部分の骨が浮き出ない方は要注意です」
「それでも痛まないうちは大丈夫」という考えに、高山さんは警鐘を鳴らします。
「下の積み木を動かすと、上の積み木がバランスを崩すように、全体重を支える足のアーチの崩れは全身に影響します。吸収しきれなかった歩行の衝撃が下肢から上半身へも伝わり、ひざや腰の痛み、肩こりを引き起こし、姿勢の悪化やぽっこりお腹、O脚など脚のゆがみにもつながります。実際に足トラブルを抱える方は、そうでない方より下肢機能が衰えているという研究結果もあります。症状が重くなり治療が必要になる前のケアが肝心です」
よくある足トラブル3つの症状と対策
「爪の異常」特に多いのは巻き爪
爪の端が内側に巻き込み、歩くとき痛みを伴うこともある。足指での踏み込みが弱いことや外反母趾、合わない靴の圧迫が原因の場合があり、爪のケアも大切。痛みが強い場合、皮膚科やフットケアサロンなどで矯正治療を受ける選択肢も。
「皮膚の異常」特に多いのはかかとの荒れ
かかとは皮脂腺がなく乾燥しがちで、皮膚が厚くなってガサつき、ひび割れが起きやすい。予防・改善には入浴後のケアが重要。水虫の白癬菌が原因のケースも。
「骨の異常」特に多いのは外反母趾
足の親指の付け根の関節が外側に出て、親指が内側に曲がる足の病変。ハイヒールだけでなく、筋力低下やもともとの骨格筋の柔軟性、骨頭の形も原因に。軽度なら足エクササイズ(第2回でお伝えします)などが有効。
健康寿命も左右する足トラブルを防ぐならセルフケアを
まさに健康寿命を左右するともいえる足トラブル。セルフケアの方法も伺いました。
「足の筋肉や腱の働きを改善し、アーチを回復するには、足指のストレッチが有効。外反母趾の予防や進行を食い止めるのにも役立ちます。また足に負担をかける生活習慣や、合わない靴を履き続けることも、足のアーチの崩れを増長させるため、そこへのアプローチも重要です。
特に靴について、日本は欧米と違って靴を脱ぐ習慣があるため、『脱ぎ履きのしやすさ』を重視する傾向があり、柔らか過ぎたり、かかとや横幅が緩いものを選びがちです。本当に合う靴の選び方を知っておきましょう」
次回から3回にわたり、こうしたセルフケアの具体的な方法をご紹介します。第2回は、足指の変形を予防・改善する特効セルフケアについてお伝えします。
取材・文=新井理紗(編集部) イラストレーション=太田裕子
※この記事は、雑誌「ハルメク」2022年8月号を再編集しています
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