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- ほうれい線の原因を知って日頃から対策を
見た目の年齢を一気に上げてしまう「ほうれい線」。お肌のたるみや骨格などで生まれてしまうのに加え、普段の何気ない行動がほうれい線を深くしているかもしれません。年齢的なものと諦めず、原因を知って対策しましょう。
ほうれい線って何?シワとの違いは?
老けた印象を与えてしまう「ほうれい線」。年を取ったからほうれい線が目立つのか、ほうれい線が目立つから年齢以上に見えてしまうのか。もはやどちらが先かわからないけれど、気になる人は気になってしまう。そんな、お肌のお悩み上位の症状です。
でも、ほうれい線っていったい何なのでしょうか。
シワとは違う、お肌の「溝」
ほうれい線はシワと表現されることが多々ありますが、正確にはシワではありません。シワは、ハリや弾力がなくなることで皮膚がよれてできてしまったもの。それに対し、ほうれい線は頬と口元の境界線にできる溝で、皮下組織の構造上から生まれる溝となります。
そのため、実際には年齢に関係なく生まれてしまう可能性があるのですが、肌のハリの具合や筋肉、骨格などから目立つ人と目立たない人がいます。肌のハリがなくなれば目立ちやすくなるため、加齢によってほうれい線が気になるようになるのです。
ほうれい線はナゼ目立つようになるの?5つの原因
それでは、誰にでもあっておかしくないほうれい線が、目立つ人と目立たない人がいるのはなぜなのでしょうか。それを知るにはまず、ほうれい線のタイプとそれができる原因を理解することが必要です。
加齢によるハリ不足が引き起こすほうれい線
ほうれい線は頬と口のまわりの境界線にある溝ですが、溝から上の頬の部分は主に表情筋と肌そのもののハリによって保たれています。
加齢や長年にわたって蓄積された紫外線ダメージが、肌に悪影響を与えるとハリが失われ、頬が下がることでほうれい線の溝が深まってしまいます。そして、そこから肌のヨレ、つまりシワが刻まれて、ほうれい線が深く長くなっていきます。
肌のハリの衰えは、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの細胞外基質の減少によって起こり、ホルモンバランスが崩れやすくなる40代以降は特に注意が必要です。50代になると、ハリや表情筋がさらに衰え、できてしまったほうれい線が深くなっていきます。
規則正しい生活などで肌のターンオーバーを正常に保つと同時に、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を皮膚に補充してゆく必要があります。
骨のくぼみで深まるほうれい線
ほうれい線は構造上、どうしても生まれてしまうもの。その構造のもとになっているのが骨格です。
鼻の横、小鼻の部分には骨がくぼんでいるところがあり、このくぼみが深いと溝が生まれやすくなり、ほうれい線が深くなります。小鼻のあたりからほうれい線がある人や、20代など若いうちから目立つ人はこのタイプのほうれい線が多いと言われています。
50代以降になると、加齢で骨が縮小していくため、くぼみが深くなり、加えて肌のハリがなくなることで、ほうれい線が目立つようになります。
年を重ねることで原因が増えるため、「骨格だから仕方がない」で済ませずに、影響が少なくなるようケアをしていきましょう。
筋肉が作り出すほうれい線
顔にも表情筋をはじめとした筋肉があります。たるみなどをある程度支えてくれるため、筋肉は衰えていないほうがいいものの、一部の筋肉だけが発達してしまったり、左右差があったりとバランスが悪いと、ほうれい線を悪目立ちさせてしまうことがあります。
例えば、ほうれい線周辺の筋肉が強すぎると、皮膚が引っ張られて溝やシワができてしまうことがあります。このタイプのほうれい線は、小鼻から口元にかけて線が長くなり、真顔の状態でもほうれい線が目立ちます。
また、ストレスなどで食いしばる力が強くなってしまっていると、咬筋(こうきん)という筋肉が発達してしまいます。すると、顔の輪郭が逆三角形から四角い形に変化して頬のたるみが強調されてきます。
一方で、たるみを軽減させるために、顔のエクササイズやマッサージなどをし過ぎるのも、注意が必要です。顔の筋肉に連動して皮膚が動くため、動かせば動かすほどシワができやすくなるためです。
ほうれい線部分にできてしまったシワが定着してしまわないためにも、負荷の高いエクササイズやマッサージは頻度に注意し、やり方をきちんと読み込み、正しい方法で進めていくと良いでしょう。
むくみで生じるほうれい線
むくみは、老廃物や余分な水分などが肌に留まってしまっている状態を差します。すると重みが加わり、重力で頬が下がってきて、ほうれい線を目立たせてしまいます。
これまで紹介した他の原因と同じく、その状態を放置しておくと溝にシワが刻まれ、ほうれい線を悪目立ちさせていくので、むくみケアは怠らないようにしましょう。
なお、むくみのセルフチェックは簡単にできます。眉間や目尻、小鼻の横などがむくみやすい箇所ですので、この3ヶ所をペンなどで軽く押します。10秒ほど経っても押した後や凹みが消えなければ、むくんでいる可能性が高くなります。
強すぎない刺激のエクササイズやリンパマッサージなどで、むくみを解消しましょう。
原因が重なり合う混合型ほうれい線
ほうれい線ができる原因は、骨格的なもの、筋肉の動きによるものなど、【ほうれい線が出やすい体質が原因】の場合と、加齢によるハリがなくなったためにできるもの、むくみで頬が足れやすくなり目立つものなど、【後天的な原因】の場合があることがわかりました。
20代、30代など若いうちからほうれい線が目立つ人は前者の体質的な原因が大きい場合が多いのですが、加齢によって後者の原因が絡み合うようになり、複数の原因が重なり合う混合型とでもいうべきほうれい線へと変化していくのです。
見直したい、ほうれい線を生み出す生活習慣
ほうれい線が出やすい人がいる一方で、できやすい生活習慣というものもあります。ほうれい線を助長してしまうような癖を改めて、少しでもほうれい線がひどくならないように気を付けましょう。
頬杖をつく
頬杖をつくと、頬の皮膚と筋肉に負荷がかかります。皮膚も引っ張られるため、戻ったときにシワが残る場合があります。乾燥や紫外線などでダメージを受けているなど、ターンオーバーが活発でない状態で普段から頬杖をついていると、シワが固定化されていってしまうので注意が必要です。
食事の時に片方の歯でばかり噛む
左右どちらかばかりで噛む癖がある人は、顔の筋肉の左右バランスが崩れている可能性があります。どちらか片方のほうれい線が濃い、長いなど左右差がある場合は、意識して両方で噛むようにしましょう。
食事は1日3回、毎日の動作ですので、思っている以上に影響力があります。ほうれい線の左右差は、余計に目立ってしまうこともあるので、気を付けたい癖です。
寝るときに同じ方向ばかり向いて寝る
寝るときはいつも右側を向いて寝る、左側を向かないと落ち着かない、など寝るポジションが決まっている人は多いかと思います。
しかし、頬杖と同じ理由で、顔の筋肉と皮膚に負荷がかかり、シワができやすくなることから避けたい生活習慣です。特に寝入ってから数十分から数時間はそれほど大きく寝返りを打たないため、長い時間プレスされているのと同じことに。シワが戻らなくなってしまいます。
気になって念入りにメイクしてしまう
ほうれい線を隠したくてついつい口元と小鼻のメイクを念入りに。これはかえって逆効果になりかねません。化粧崩れや乾燥などで、ほうれい線にファンデーションが埋まってしまうと、悪目立ちしてしまいます。
対処法としては、メイク前の保湿をしっかりし、メイクが厚塗りにならないようにします。ほうれい線は溝が生む陰影によって濃く浮き出てしまうこともあるので、パール入りフェイスパウダーのような光を拡散させるパウダーで仕上げると良いでしょう。
取り入れたい、ほうれい線を目立たなくする対策
続いては、ほうれい線を目立たなくする対策を紹介します。とはいえ、ほうれい線は一朝一夕で消えるものではありません。その原因から考えても「ほうれい線を消す」のではなく、「これ以上、目立たなくするため」のものと考えたほうが良さそうです。
保湿
ほうれい線対策で気を付けたいのは、できてしまったほうれい線が消えなくなり、シワと二重になって定着してしまうこと。ほうれい線の原因である、ハリを保つための保湿と、シワをつくらないための保湿。二つの意味で保湿を心掛けましょう。
ハリを保つためには、年齢に合わせて肌のエイジングケアに必要な成分を配合した化粧品にするなど、スキンケアを変えていきます。シワ対策には、化粧水をたっぷり使い、クリームなどでしっかりフタをする基本のスキンケアを徹底しましょう。もちろん、乾燥を促進する紫外線への対策も重要です。
表情筋を鍛える
肌のハリをアップし、むくみを撃退するためにおすすめなのが、表情筋を鍛えること。マッサージやエクササイズなどが挙げられますが、前述したようにやり過ぎは禁物です。強い刺激は、逆にシワをつくりかねませんので、ほど良い頻度と力加減で行うようにします。
なお、頭皮マッサージなどはリフトアップに効果があるので、たるみ防止になります。
お肌のターンオーバーを整える
化粧品でコラーゲンやヒアルロン酸を与えても、真皮層には届きません。あくまでも表面の乾燥を抑えるのみ。やはり、一番大切なのは、肌のターンオーバーを正常に保ち、健康な肌をキープすることです。
そのためには規則正しい生活と、バランスの取れた食事が欠かせません。喫煙やカフェイン、甘いものの取り過ぎに注意するのはもちろん、ビタミンB2やB6、ビタミンC、カリウム、カルシウムなどを意識してとり、十分な睡眠を心掛けましょう。
美容医療
ほうれい線の原因であるハリの不足や、骨のくぼみなどは、化粧品だけではなかなか成果が現れません。気になるようなら、ヒアルロン酸やボトックスの注入、またはウルセラ(ハイフ)という機器によるレーザー治療、糸によるたるみ治療であるスレッドリフト手術などの美容医療に頼ってみるのも良いでしょう。
美容医療で注入するヒアルロン酸は、固さなどにバリエーションがあり、加齢によって骨が縮小して生まれたたるみや、もともとある骨のくぼみを補うことができます。物理的にハリを与えることができるため、ほうれい線を目立たなくすることが可能です。
また、筋肉の動きによって生まれるシワやほうれい線を抑えるなら、筋肉を麻痺させるボツリヌス菌を注射する療法があります。ほうれい線がどの原因でできているかによっては、最初にボツリヌス菌を注射し、後日、ヒアルロン酸を注入するといったこともあります。
なお、ウルセラ(ハイフ)によるレーザー治療は、顔の皮膚を支える組織(表在性筋膜:SMAS)を狙って収縮させ引き締めるマシンです。皮膚面に当てた探子から、超音波を発射してあらゆる場所のたるみを引き上げることで、ほうれい線を目立たなくすることも可能です。
そして、スレッドリフトは特殊な糸を使ったリフトアップ法。皮下組織をつかむためのフックのような“返し”のついた溶ける糸で、組織を引き上げてほうれい線を目立たなくさせる方法です。個人差がありますが、他の施術法に比べてより長くリフトアップの効果を実感できるのはうれしいポイントです。
ほうれい線は構造的にどうしてもできてしまうもの。根本的な解決を望むなら、ヒアルロン酸注入やボツリヌス菌注射などとあわせて検討してみましょう。いくつかのクリニックで相談してみるのがおすすめです。
監修者プロフィール:小松 磨史さん(みずほクリニック 院長)
こまつ・きよし みずほクリニック院長。札幌医科大学卒業、札幌医科大学・形成外科入局。札幌医科大学・大学院卒業、医学博士取得。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)。札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大手美容形成外科入職(院長歴任)をへて、みずほクリニックを開院。
日本形成外科学会・形成外科専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士。
私達が目指すのは、一人ひとりのコンプレックスを克服し、自信に満ちあふれた笑顔と晴れやかな気持ちでいて頂けることが何よりもの願いです。そのためには真摯に患者様と寄り添い、これからも美容外科医としての使命を果たしていきたいと考えております。
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