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簡単エクササイズや悪化を招くNG習慣も紹介!
マリオネットラインの原因と予防・改善法を医師が解説
東京皮膚科・形成外科品川院 院長
松宮詩依
公開日:2018.07.02
更新日:2024.02.22
50代になると気になり始める「マリオネットライン」。40代と50代を見分けるポイントと言われるくらい、老け見えの原因に。解消することはできる? 原因や悪化させてしまうNG習慣、予防・改善する7つの対策を医師監修のもと、詳しく解説します。
監修者プロフィール:松宮 詩依さん(東京皮膚科・形成外科)
まつみや・しえ 東京皮膚科・形成外科品川院 院長。小顔治療(フェイスリフト)、若返り治療を得意とする美容外科医。形成外科、リハビリテーション科、抗加齢医学科3つの専門医を持つ。観点から筋肉アンチエイジングやインナービューティに関する講演を行う傍ら自らもエアリアルシルクやコントーションなどのダンサー活動をしている。
公式インスタグラムもチェック→ 美容外科:@drshie ダンサー:@shiematsumiya
老け見え!マリオネットラインとは?
口の両脇から下に伸びる2本の溝は「マリオネットライン」と呼ばれています。腹話術の人形に見えるので、この名前がついています。マリオネットラインの存在は、ほうれい線以上に見た目年齢を大幅に老けさせます。
一部では、40代と50代を見分けるポイントといわれているくらいです。パッと見ただけで間違いなく存在しているなら50代後半、へこみや影があるかなという程度なら50代前半。よく見ればあるかも?なら40代といった具合に……。この溝は、見た目年齢を見分ける要となる溝なのです。
マリオネットラインができる原因
マリオネットラインができる原因や悪化してしまう原因は、いくつかあります。ここから詳しく見ていきましょう。
顔面骨の萎縮・脂肪細胞の増加・巨大化、靱帯のゆるみ、上方向の表情筋の衰え、広頚筋のゆるみ・皮膚のたるみ
マリオネットラインは、加齢とともに顔の土台である骨が縮む×口元の脂肪細胞が増える・大きくなる×脂肪をおさえる靱帯が緩む×広頚筋がゆるむという形状的な原因に加え、上唇挙筋や大小頬筋のような上方向に縮む筋肉が衰えることにより皮膚・脂肪組織が垂れ下がってできるラインをいいます。
表情筋の弾力低下(ゆるみ)
表情をつくる筋肉である表情筋の衰えも、マリオネットラインの原因の一つです。
普段から笑うことが少ない人や、表情の乏しい人・しかめっ面が多く口角を下に下げる癖のある人は口周りを上にあげる筋肉があまり使われず、加齢によって口角が下がりやすくなります。そして、マリオネットラインができる原因の一つになります。実際にコロナでマスク生活が長くなり、“マスクたるみ”のお悩み相談がとても増えました。
また、表情筋の衰えはマリオネットラインだけではなく、ブルドッグライン(ブルドッグ顔)、ゴルゴライン(ゴルゴ線)などの原因にもなります。
表情筋を衰えさせないためにも、普段から笑顔で過ごすことを心掛けましょう。
噛み合わせ
歯の噛み合わせも、マリオネットラインに影響する要素です。噛み合わせが悪いと口周りの筋肉のバランスが崩れやすく、左右の頬の筋肉に差が出てきます。それにより、皮膚にたるみが生じてしまうのです。
片方だけで咀嚼する噛み癖も口周りの筋肉のバランスを崩してしまうため、左右同じように噛む癖をつけましょう。一度信頼できる矯正歯科医師に診てもらうのもおすすめです。
姿勢
姿勢が悪い人は、マリオネットラインが現れやすいといわれています。猫背やストレートネックになっていると、顔顎が前に傾きます。
人間の体は皮膚一枚繋がりなので猫背などで体の前面に緊張が無い状態がつづくと顔が前傾すると鼻から下が力の抜けた状態になるため、マリオネットラインやほうれい線もが生じやすくなるのです。鏡の前で背筋をピンとのばし後頭部を斜め上に引き上げる意識をしてみましょう。
肌の乾燥・炎症などによる酸化ストレス
肌の乾燥は、シワやたるみを引き起こします。乾燥して潤いがなくなると、肌のバリア機能が低下してしまい、水分を保持する力も弱まります。
肌に水分が不足すると弾力が失われ、シワやたるみが起こり、マリオネットラインができやすい状態になります。
注意!マリオネットラインの悪化を招くNG習慣
すでにマリオネットラインができている場合でも、これ以上、頬をたるませないことが大切です。
以下のようなマリオネットラインの悪化を招くNG習慣を行ってしまっていないか、注意してみてください。
- 姿勢が悪い・うつむきがち
- への字口になり口角が下がっている
- 急激な体重の増減
- 片方だけで食べ物を噛む
- 紫外線
マリオネットラインができているということは、ほうれい線もすでに深く長くなっているはず。マリオネットラインを生まない、消していくためには、ほうれい線にも効果的な「たるみケア」を始めましょう。
溝の近辺だけでなく、こめかみから頬、フェイスラインのすべてを引き上げるつもりで。ハリ対策のスキンケア、美容機器でのケア、美容医療が効果的です。
マリオネットラインを予防・改善する7つの対策
ここからは、マリオネットラインの予防や改善に役立つ7つの対策をご紹介していきます。
マリオネットラインを消したいという方はぜひ参考にしてみてください。
対策1:リンパマッサージ
マリオネットラインの溝が深く見える原因の一つに、フェイスラインのたるみが挙げられます。フェイスラインは老廃物や水分がたまりやすい部位です。手が空いたときに、まめにリンパを流すケアを心がけ、老廃物や溜まったリンパ液を流しましょう。
人差し指を耳の後ろにあて、中指は手前におき耳を挟む。両手で頬杖をつく感覚で、手のひらはフェイスラインを下から包むようにあてる。
そのまま圧はかけずに後ろから手前にやさしく全体を小さく回すように動かす。目元にシワができない程度に、小さくゆるく動かすのがコツ。これを20回繰り返す。
対策2:簡単顔エクササイズ
マリオネットラインができる原因に関係するのは、広頚筋、口角下制筋及び頬の筋肉です。EMS機能や筋膜を鍛える美容機器でのケアに加え、顔ヨガや顔エクササイズなどと呼ばれるトレーニングが効果的です。
顔面の筋肉トレーニングは、顔の上半分は自己流になりやすく、余計なシワを増やすことになりかねませんが、下半分に関しては、やや自己流になったとしてもそれほど大きなダメージはありません。以下にご紹介するエクササイズなどを、続けてみるとよいでしょう。 オフィスでテレビを観ながらでも。いつでも簡単にできるエクササイズを習慣にしましょう。
口角下制筋エクササイズ
目はそのままに口角だけで笑う(口角を上げる)、戻す。これを10回繰り返す。
広頸筋エクササイズ
正面を向き、顎を上げる。
のどの筋が引っ張られる感覚を感じながらそのまま5秒→顔を右に回す、左へ回す、ゆっくりと戻す。これを5回繰り返す。この時、顔のインナーマッスルである舌を顎と同じ方向にぐーっと伸ばすと、顎下フェイスラインの張りがでます。
対策3:顔ヨガ
あまり表情を動かしていない、顔の運動不足状態になっているときは、顔ヨガで顔を動かしてあげるのもおすすめです。 顔ヨガでは、凝り固まった顔の筋肉をほぐすことで、表情筋を鍛えられます。
顔を動かすトレーニングが基本となっているため、家事の合間、お風呂に浸かりながらなど、手軽にマリオネットライン対策が可能です。
対策4:ツボ押し
ツボ押しも、手軽にできるマリオネットライン対策の一つです。強すぎる力ではなく、気持ちいいと感じるくらいの強さで5秒ほど指圧。これを4〜5回ほど繰り返すといいですよ。
- 夾承漿(きょうしょうしょう)
下唇の下の凹み部分の中心から、1.5cmくらい外側にあるツボ - 地倉(ちそう)
口角のすぐ外側にあるツボ
対策5:スキンケア
マリオネットライン対策では、スキンケアも重要です。保湿力の高いスキンケア化粧品で保湿をしっかり行い、肌の乾燥を防いでマリオネットラインを予防しましょう。
肌に水分と油分を補給してあげればバリア機能も整い、シワやたるみ、その他の肌トラブルも起こりにくくなります。
また、美顔器もおすすめです。美顔器には超音波美顔器、EMS美顔器、ラジオ派美顔器などいくつもの種類があるため、自分にぴったりのものを見つけてみるといいでしょう。
対策6:紫外線対策
紫外線対策はマリオネットラインだけではなく、シミやシワなどの予防にも有効です。
紫外線を浴びると肌内部のコラーゲンやエラスチンの減少・変性が起こり、ハリが失われていきます。
日焼け止め、帽子、日傘などで徹底的な紫外線対策がおすすめです。紫外線は1年中降り注いでいるため、紫外線対策はオールシーズン行いましょう。
対策7:美容医療の施術
マリオネットラインを今すぐ解消したい、大幅に改善したいという場合は美容医療の施術を選ぶという選択肢もあります。
マリオネットラインの治療方法はさまざまですが、大きく分けて2種類です。
- 切らないマリオネットライン治療
- 切るマリオネットライン治療
希望や症状に合わせ、最適な治療法を選択しましょう。
切らないマリオネットライン治療
メスで皮膚を切開することなく治療できる方法としては、ハイフやサーマクールなどの照射系とヒアルロン酸注入などの注入系があります。
注入系は“マリオネットライン・ほうれい線の上に乗っかっている脂肪や筋肉を注射で減らす+皮膚のタイトニング”が王道の治療法となっています。ヒアルロン酸などボリュームを増やす系の治療は、減ってしまった顔面骨の補填目的に輪郭形成を行います。
また、症状によってはボトックス注射が選ばれることも。スレッドリフト(糸リフト)には溶ける糸と溶けない糸があり、糸の形状もさまざまです。ただし、溶けない糸は感染時のトラブルや、他の治療器を受けられなくなることもあり、現在は推奨されていません。
- 照射系
マリオネットラインには、「サーマクール(※1)」や「ハイフ(※2)」などの照射系の治療が有効です。最新かつ最強の皮膚を縮める機器に、「フェイスタイト(※3)」があります。
- 注入系
ほうれい線やマリオネットラインそのものに脂肪注入をするのは昔の治療です。線が目立たなくなっても顔が大きく膨れた感じになるので、現在は脂肪注入はまずしません。現在の注入系の手順は以下の通り。
1.膨らみの原因となっている脂肪や筋肉を減らして小顔にする(脂肪溶解注射やボトックス系)
2.萎縮した骨を補填する(ヒアルロン酸など)
3.皮膚を厚くする(PRPやベビーコラーゲンなど)
- スレッドリフト(糸リフト)
物理的に糸で引き上げる治療も有効ですが、すぐ後戻りしたり期待したほどの変化が得られなかったという話も聞きます。特に脂肪が多い、皮膚が厚い、場合は糸の効果は期待しづらいため、適応があるかの判断が大事です。どの治療法も同じですが、医師の経験とセンスと技術力が問われます。残念な結果を回避し、完成度の高い仕上がりを求めるのなら、信頼できる医師に相談するようにしましょう。
- ボトックス注射
口角下制筋が原因と考えられる場合にはボトックス注射によって筋肉の過剰な働きを緩める治療を行うこともあります。ただし、ボトックス注射は筋肉への作用となり脂肪のたるみの改善はできません。また、皮内に浅く多数注入するマイクロボトックス法では皮膚の張りが改善しブルドッグが多少目立たなくなります。
(※1)サーマクール ラジオ波(高周波)を照射し、主に真皮層のコラーゲンに働きかけ、たるみを改善する照射系医療機器。個人差があるが、1度照射すれば、少なくとも半年から一年程度は効果が持続する。
(※2)ハイフ(HIFU) 高密度焦点式超音波(HIFU)の熱エネルギーで筋膜(SMAS)と真皮層に働きかけ、たるみを改善する照射系医療機器。主にフェイスラインに効果を感じやすいといわれている。個人差があるが、1度照射すれば、少なくとも半年から一年程度は効果が持続する。ハイフの代表的な機器としては「ウルセラ」がある。
(*3)フェイスタイト
皮下に針を通し皮膚を挟みながら皮下脂肪を焼いて縮める最新のタイトニング治療。皮膚の老化細胞を除去することで皮膚全体の若返り効果、小顔効果を得られる。ダウンタイムはあるが効果は絶大。休みがとれるタイミングがおすすめです。
切るマリオネットライン治療
本格的なマリオネットライン治療では、メスで切開し、たるみの原因となっている筋膜(SMAS)を縫合し、余分な皮膚を切除して縫合するフェイスリフトを行うこともあります。
術式や切開する場所は症状によっても変わってきますが、耳のシワに沿った目立ちにくい場所を選んで切開します。クリニックによっても施術方法は変わってくるため、いくつかの美容皮膚科・美容クリニックを比較するといいでしょう。
マリオネットライン・ほうれい線をカバーするメイク術
気になるマリオネットラインやほうれい線は、皮膚の上にできたへこみです。カバー方法を間違えてしまうと、悪目立ちしてしまうことも。
自分の肌よりも1〜2段ほど暗めの色を使い、顔の下半分に影を作りましょう。そうすることでマリオネットラインやほうれい線が目立ちにくくなります。
チークは頬骨よりも少し高めの、内側に乗せましょう。頬を高く見せることで、たるみから目線をそらせます。
気になるマリオネットラインは早めの対策が鍵!
ほうれい線以上に見た目年齢を老けさせてしまうといわれる、マリオネットライン。頬の脂肪のたるみ、口元から首にかけて広がる広頚筋のゆるみ、口角下制筋の硬化が大きな原因であるマリオネットラインは、早めの対策が重要です。
リンパマッサージや顔のエクササイズ、顔ヨガなどで表情筋を動かし、スキンケアや紫外線対策で肌を守りましょう。
たるみやシワを大幅に改善したい場合は、美容クリニックや美容皮膚科で美容医療の施術を受けるという選択肢もあります。
ぜひ自分に合った対策で、マリオネットラインをケアしてみてください。
写真:7つの対策部分(人物撮影=中西裕人、ヘアメイク=小島けさき、モデル=桂智子)、その他=PIXTA
※この記事は2018年7月の記事を再編集して掲載しています。
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