- ハルメク365トップ
- 暮らし
- 生きるヒント
- 人生にイエスと言い続けたレニ・リーフェンシュタール
「ハルメク」でエッセイ講座などを担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、映画監督・写真家の「レニ・リーフェンシュタール」さん。時代に翻弄されても、やるべきことを見つめ、自分にイエスと言う生き方とは…。
好きな先輩「レニ・リーフェンシュタール」さん
1902-2003年 映画監督・写真家
ベルリン生まれ。舞踊家、女優を経て映画監督に。ヒトラーに見込まれ、「意志の勝利」で名声を確立。戦後はナチス協力者として批判を浴び、新天地を求めてアフリカへ。71歳でダイビングを始め、水中写真家に。
自分のすべきことだけを見つける強い眼差し
自分のエネルギー不足を突きつけられるようなとき、ふと目の前にレニ・リーフェンシュタールの面影があらわれ、何も云(い)わずにこちらを見ます。自分がするべきことだけをみつめる、つよい目で。
「人生に『イエス!』と云う」これこそは、1902年ベルリンに生まれ、2003年101歳で死去するまでの生涯を通じてこの女の内に燃えつづけた信念です。
第一次世界大戦、ヒトラーの台頭、ベルリン・オリンピック、第二次世界大戦、ニュルンベルク裁判を身近に目撃したレニ・リーフェンシュタール(以下レニ)とは何者か。
ダンサー。映画女優。記録映画の監督。芸術のために最善の道を突き進んだと自ら云いきり、世間をもそれにちがいない、と納得させるだけの女性です。
しかしその納得のなかには、いまだ激しい批判が含まれています。ヒトラーからナチ党大会の記録映画の製作を依頼され「意志の勝利」を完成させることとなったレニ。結果としてユダヤ人迫害や武力による独裁という悪魔の手をとることとなったのが彼女の最大の不幸であり、罪でした。
戦後、軍事裁判の法廷において、レニもヒトラーや宣伝相ゲッペルスとの関係について追及されます。レニについては、「特定の犯罪としては無罪だが、同調者」とされました。こうして同調者はその後、ふたたび自らの芸術活動に戻ることができたのです。
重荷を背負いながら自分にイエス!と言い続ける人生
わたし自身がレニを認識したのは1995年、記録映画「レニ」(1993年/監督レイ・ミュラー)が日本で公開されたときのこと。当時90歳だったレニが監督の問いかけに淡々と、いや時に落ち着きを失いながら答える姿、映画撮影のため海にもぐるブルーの潜水服姿が脳裏に刻みこまれました。
ですから、第三帝国と関わりを持ち同調者となったという過去の出来事より、年齢を超えてエネルギッシュに活動をつづける生き方が印象に残っています。
人生には、時として何かにからめとられ、どうすることもできなくなる宿命的なめぐり合わせがもたらされます。
死後なお、改悛(かいしゅん)しない女との評価からのがれられないレニを庇(かば)うのではありません。そうではないけれど、重荷を背負いながらも、自分の人生にイエス!と云うひとの面影をわたしは胸に抱いています。
随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。
※この記事は雑誌「ハルメク」2017年10月号を再編集し、掲載しています。
>>「レニ・リーフェンシュタール」さんのエッセイ作成時の裏話を音声で聞くにはコチラから
「だから、好きな先輩」は、雑誌「ハルメク」で毎月好評連載中! 最新情報もあわせてチェックしてくださいね。
※ハルメク365では、雑誌「ハルメク」の電子版アーカイブを12か月分見ることができます。詳しくは電子版ハルメクのサイトをご確認ください。
-
スマホで医師に健康相談
24時間365日OK!30秒以内に医師・看護師・薬剤師などの医療チームがあなたの「健康相談」に応答してくれる♪ -
最高のワイナリーツアー♥
家族・友だちと!雰囲気バツグンの熟成庫見学・高価な貴腐ワインのテイスティングはいかが?お得なクーポンも! -
やばっ、冬の尿モレ
寒い冬、なぜ尿モレが増える…?3つの原因&4つの「効果的な尿モレ対策」を専門医に教えてもらいました! -
人生で1度は訪れたい場所
ミネラル豊富な美人の湯、最高のオーシャンビューなど、心もカラダも癒やされる魅力が盛りだくさん!人生で1度は訪れたい名所をcheck -
生前親に●●聞き忘れると
老親の契約や登録しているサービス、これらを子が把握していないと将来ムダな出費や面倒なトラブルに発展する可能性が!特に見落としがちなのは… -
60日で英語が話せる!
英語をマスターするのに「完璧」はいらない!初心者でも60日で英語が話せるようになる、驚きの3つのコツとは? -
おひとり様の備えはOK?
この先「おひとり様」になったら意外な落とし穴がいっぱい…。そんな不安に備える、おひとり様専用お助けサービスが誕生! -
体験談:50代やって正解
銀行は断然「紙の通帳」派!そんな「デジタル嫌い」の私が 銀行アプリを使ってみたら想像よりもはるかに便利すぎて… -
健気な姿がかわいい!
「思わず笑顔になる」と巷で話題の「永遠の2歳児・ニコボ」!ハルメク世代の2人に、ニコボとの生活にハマる理由をお聞きしました! -
50代~お金の増やし方
将来を見据えて、50代から「まとまった資金の調達」が重要になります。どんな選択肢があるか、ご存知ですか? -
認知症リスクに40%も差
最近、驚きの研究結果が…!「犬を飼っている人」は「飼っていない人」に比べて認知症リスクが… -
今なら無料でお試し!
将来、自分の認知機能が低下するリスクがあるか、簡単に予測できるサービスが誕生。今なら無料で先行利用できます!