手足なくとも光あり・中村久子#第3回

中村久子|20歳、自立。見世物小屋で「だるま娘」に

公開日:2023.05.04

更新日:2024.01.14

中村久子さん(1968年死去)をご存じでしょうか。3歳で病気のために両手足を失うも、すさまじい努力と強い精神で、家事も仕事も切り開いて生き抜いた人です。見世物小屋で「だるま娘」として舞台に立ち自立を目指した姿、久子さんの生涯を紹介します。

中村久子|20歳、自立。見世物小屋で「だるま娘」に
20代後半の頃、見世物小屋の宣伝用に撮影したと思われる写真。口には編み棒をくわえています

「これが本当の親なのか」と冷たいまでに厳しい母

1年ほどたち、幸いにも光を取り戻した久子さんに、母は厳しいしつけを始めます。まず言いつけたのは、仕立て替えするきものをほどくこと。「できません」と音を上げる娘に、母は容赦なく言い放ちました。

「できないからといってやめてしまったら、人間は何もできません。やらねばならんという一心になったら、やれるものです。できないのは横着だからです」

冷たいまでに厳しい母を「これが本当の親なのか」と恨みながら、...

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