公開日:2021/09/22
更新日:2022/05/30
「50代からの女性のための人生相談」は、専門家が読者のお悩みに答えるQ&A連載。今回は、54歳女性の「おひとりさまの終活の進め方」のお悩みに、生活研究家・消費生活アドバイザーの阿部絢子さんが回答します。50代60代から始める終活の準備とは?
一人暮らしで身寄りない人(おひとりさま)の終活の進め方を知りたいです。
頼める親戚はいないので、自分の死後対応の準備を知っておきたいと思います。
まだ動ける今のうちから、死後の始末を考えておきたいのです。
(54歳女性・はなももさん)
通常であれば、人が死を迎えたとき、近親者がその人の最後の見送りをするのが基本です。
しかし、最近では、家族の有り様も変わってきて、近親者の存在もさまざまな状況なのが実態です。そのような現在では、近親者にも縁遠い、一人暮らしで身寄りもいない人もいるでしょう。
私も、そのうちの一人。もちろん、一人暮らしですから、ご相談者と同じように、終活には大いに困難を感じております。
早めに、準備をしておきたいとは思っていますが、日々、目の前の暮らしに追われ、なかなか手が付けられておらず、実現できていないのが現状です。
とはいえ、時はあっという間に過ぎていきます。ウカウカしていると、何もしないまま死を迎えるかもしれません。早いうちに終活への準備を考え、道筋だけでもつけたいものです。
終活への道筋の一つ目は、最後に死を迎えるための居場所の確保です。死を迎えるまで暮らす「終の棲家(ついのすみか)」は、施設なども視野に入れて検討します。
もし、施設などへ引っ越す場合には、現在使用中のモノ(書籍・食器・衣類・寝具など)を絞り、必需品だけにしておきましょう。
二つ目は、死後の事務処理についてどうするかを決めること。死後には葬儀だけではなく、入院費用の清算、施設退去の手続き、私物の整理&廃棄、役所への届け出、納骨、SNSアカウント削除、預貯金整理など、膨大な手続きが必要です。
これらをどう始末するか、「自分がどうしたいのか」を決める、ここが終活における一番の難題です。
この死後事務を行ってくれる、専門的な立場で施行する団体や人は多数あります。例えば、弁護士・司法書士・行政書士・税理士・NPO法人・社会福祉法人などが挙げられます。
「自分がどうしたいのか」をあらかじめ決めて、その上で、専門的な立場の人・サービスに任せるかどうかを、自分の意志で決めていきます。つまり「死後事務委託契約」を結ぶということです。
といっても、すぐに契約を結ぶ先を決めるのではなく、契約を結ぶための情報収集を十分にして、いろいろと検討を重ねるのが大切です。
私自身は、日本司法書士連合会などへも相談に行ってみるのがいいのかな、と考えています。その上で、自分の納得のいった団体や人と契約を結び、死後事務委任をしておきたいと思っています。
あくまでも、これは私の考えですが「その歳(とし)にならなければ、人生の終わりは見えて来ない」と思っています。
終活、特に死後事務に関することは、早すぎても遅すぎても決めるのが難しいので、そろそろ後期高齢者と言われる年齢(70代頃)から動いてもいいように、私は考えます。
その準備として、まず私は「終の棲家(ついのすみか)」探しをし、その数年後に、死後事務を任せる所を探していくつもりです。もしその前に亡くなったら、それも仕方なしです。
あべ・あやこ 生活研究家・消費生活アドバイザー。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。
構成=竹下沙弥香(ハルメクWEB)
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